軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

隙間の密談

村を出て数日。

俺達は領都セイルスルーへと帰ってきた。

「今日はまだ日も高いが、宿からは出るなよ。外が騒がしいからな。なにかあったのかもしれねぇ。危険がねぇかの確認が済むまで、お前らは待機だ。いいな?」

不承不承と言った子供達の返事を待ってから俺は外へ出た。

マルチナには宿に残って子供達の監視を勤めてもらっている。

それから・・・言うまでもねぇことだとは思うが、領都は騒然としていた。

もちろん皇都で起こった反逆のことで、だ。

ただ、そのせいでどうも情報が錯綜しているように思う。

出来るだけ正確な情報が欲しい。

こういう時は酒場以外で話を聞くのが基本だ。

酒場で手に入る情報は不明確なものが多いからな。

自分で確認できる範囲の情報ならいいが、今回は遠く皇都の話。

真偽を自分で確かめることはかなわない以上、信頼できる筋からの情報である必要がある。

そういう意味じゃ領主様あたりから話を聞けるのが一番いんだが・・・、残念ながらその手の繋がりは持ち合わせちゃいねぇ。

俺個人では、な。

だからまぁ、心当たりのある場所へ来たわけだが・・・・・・。

「どちらさんだ? アンタみてえな小綺麗な人がこんな場所になんのようだい? 事と次第によっちゃあ―――痛い目見てもらうことになるぜ?」

やけにガタイのいいハゲに暑苦しい歓迎をされた。

ここは領都を囲う壁の外に積み上げられた瓦礫町。いわゆる貧民街だ。

俺はここを取り仕切っている鼠の王を名乗る女に用が合って訪れたんだが、数人のハゲに囲まれちまった。

着ている服やガタイの良さから、いつかに受け入れられた来た大陸からの難民だってことは予想できるが、どうしたもんか?

「なんでい? 答えちゃくれねえってわけかい? でも、いいのかい? そしたら俺たちゃアンタを通せないんだがなあ?」

「まあ? 理由に寄っちゃあ答えても通しゃしねえんだけどな!」

だぁっはっは! と馬鹿にしたように笑い合うハゲ共を、俺は殴り倒してもいいだろうか?

色々と考えた結果、面倒臭いな。という結論に至り、殴って黙らせようとこぶしを握り締めた時――、

「なに騒いでんのさ! 馬鹿共‼」

ガラの悪い女が奥の店から顔を出した。

そして、俺の存在に気付くと・・・。

「な、に、を、騒いでたんだ‼ 馬鹿共が! 下がってな‼」

急いで表まで出てきては並ぶハゲ頭を順番にしばき上げると、

「悪かったね。恩人のあんたに。アイツらはただ馬鹿だから、気を悪くしたならあたしが謝るよ!」

そそくさと謝罪する。

「なに頭下げてんすか! 姐さん‼ そんなやつに‼」

「そうっすよ‼ こんなやつ、俺達がギャンッ言わせてやりますよ‼」

そんな女の姿にハゲ共が吠えるが、

「誰のせいで頭下げてると思ってんだい‼ いいから失せな‼ こっちは大事な話があるんだ‼」

話の分からないハゲを女が一蹴。

そのうえで、そうだろ? とこっちを見てニヤリと笑うところから、皇都で起こった反逆の情報を掴んでいるようだ。

「詳しく知ってるのか?」

「どうだろうね。なにせここは南の果てだ。正しく情報が伝わってるという保証はないよ。でもね、領主様んとこから出た話だ。ある程度は信用できると思うよ」

「なら、聞かせてもらおうか」

「もちろんだよ。さっ! 続きは中で!」

颯爽と店の奥へと進む女の尻を追いかけるように、俺は以前訪れた狭い空間へと向かった。