軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

作戦会議

「今回は大規模な掃討戦だぁ‼ おめぇらぁ‼ 死にたくなけりゃぁ準備を怠るんじゃねぇぞぉ‼」

ギルド近くの広場に集めたC級以下の冒険者達に、そこら中からかき集めたあらゆる物資を支給品として振舞いながら、教官が声を張る。

群がる冒険者達にサンパダら商人が対応している様は、これから見る光景に似ているな。

ここにいるほとんどが最前線に立つことはないだろうが、支援は必要になる。いざ、という場面が来るかは知らないが、備えておくに越したことはないだろう。

それはヨハンとリミアも同じで・・・この二人にはそれ以外にも、装備のことなんかも教えておかないとな。

A級パーティー” 蒸気の騎乗者(スチームライダー) ”が戻るまでに。

「ゼネス‼ お前さんはどう思う⁉」

黒幕について考えていたところに、教官の声が。

「あー・・・聞いてませんでした」

「しっかりしろ! もう一度確認するぞ!」

いつの間にか状況説明が終わり、今は作戦会議になっているようだ。

どこから持ってきたのか、テーブルに地図を広げ、それを数人で囲みながら印やらを書き込んでいる。

「捜索対象はC級パーティー”栄光ある騎士団”。こいつらは昨日の昼過ぎにアスクレ岩床地帯に向けて馬車で移動したと思われる。構成人数は4人。男1人と女3人だ」

地図の上に馬車のミニチュアを置く。街道とアスクレ岩床地帯の間、ちょうど入り口ぐらいだ。

「調査依頼だ・・・流石に奥まで馬車で乗り付けてはねぇと思うが・・・こればっかりは、見てみんことにはわかりゃぁしねぇ。偵察に行った時に確認してくれ」

「本当に確証はないんですか⁉」

「駆け出しなんだ。なんにも知らねぇでも不思議じゃねぇってこった。もし、手前になかったら・・・どこまで行ったのか、最悪目安だけでもいい。見つけてやってくれ」

「「「・・・はい」」」

一同が顔を合わせて頷く。

万が一・・・という言葉は使いたくないが、昨日のうちに奥まで馬車で乗り付けて巣を刺激していたとしたら、囲まれて一晩を過ごせるなんて実力はあいつらにはない。

現時点ですでに、跡形すら残ってないかもしれない。それを想像するだけで、知らずのうちに拳に力が入る。

「問題は見つけたとして、助けに入れるか・・・だが、ゼネス。お前さんの意見を聞きたい」

アスクレ岩床地帯は旧採掘場だ。そこまでの道も切り立った崖に挟まれた迷路のようなもので、上からの捜索すら困難でありながら、見つけたとしても支援攻撃では崩落の恐れがあり、飛び降りようにも蟻の数が多すぎる。下手な手なら出さない方がマシだ。

「場所と・・・誰がやるかによりますよ。あいつらが生き残ってるとするなら、脇道の端でしょう。となれば、そこは一面蟻だらけ。降りれるのは相当の手練れだけ」

テーブルを囲むメンツを見て、問いかける。

「この中にA級以上の奴は? 個人でもパーティーでもいい」

「うちのパーティーがA級だ」

「それ以外は?」

手を挙げた一人を除いて残りは全員、首を振る。

「パーティーの人数と蟻相手の戦闘経験は?」

「人数は5人。蟻との戦闘経験はない」

「なら降りるのは無理だな」

人数の多いパーティーは役割分担がしっかりしている傾向にある。5人というのは基本的な数だが、この場合には多い。5人で飛び降りて同時に着地など出来ないからだ。仮にそれが出来たとしても、戦闘経験がなければ連携が取れない。ましてや今回は、正面からの戦闘ではないんだから尚更だ。

「後は上からの支援だが・・・足場の壁を強化して、一面の蟻を薙ぎ払うだけの魔法を使える奴に心当たりはあるか?」

「ちょっと待ってくれ」

A級のパーティーリーダーが言う。

「普通に正面から入って、対象を救い出すというのは考えないのか?」

「入り口から近いんなら、それもありだろうがな・・・」

「近いかもしれないだろう?」

「本気か?」

入り口付近で仕掛けたんなら、追い込まれる前に相手の数を見て、さっさと逃げ出してるだろう。そうじゃないから、あいつらはここにいないんだ。

「いや・・・。そうじゃなくても、入り口で殲滅戦をすれば通路の敵を減らせるかもしれないだろう?」

「敵の数がもっと少なければ、な」

いくらでも代えが利くと思っている相手なんだ。わざわざ通路から移動させなくても、巣から押し出せばいい。

「それなら先に巣を叩けばいい! 供給を絶ってしまえば、敵も動くはずだ! なにより! 巣を叩けば通路の蟻も女王を守りに行くかも・・・」

「当然、先に巣に仕掛けるさ。だがそれでも、時間がかかりすぎる。女王はおそらく旧採掘場の一番奥だ。引っ張り出すのも楽じゃないだろ。その間、いつまで駆け出しが耐えれるか」

「だったら、先に助けよう! B級の魔法使いなら何人もいるんだ。人数をかけて先に助けてから、巣を制圧すればいい‼」

「先に末端に手を出せば、あいつらは散らばるぞ? 数の差は歴然だ。被害はどうなるだろうな?」

くだらなそうに言う俺の胸ぐらをつかみ、

「アンタ教育係だろう‼ 助けるつもりはないのか‼」

吠えるA級リーダー。

見たところ18かそこらだろう。A級までパーティーを押し上げた自負か、単に俺の態度が気に食わなかったか。わかりゃしないが、

「事実だろ? それすら認められねぇのか?」

難しいことを言っているつもりはない。

難しいのは駆け出しの置かれた状況だ。下手を撃つことは許されない。生きていると、信じるならば。

「そんならゼネス。 お前さんがやりゃぁいい」

見かねた教官が、そんなことを言い始めた。