軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

夢にして

「この村の近くに住むゴブリンは根絶やしにした。この首がその証拠だ。住処にいたのはおよそ100匹。上位種はこの1匹のみ。行方不明の子供達についてはそれらしい手足ならば発見したが、衛生的にも焼却した方がいいと判断したためその場で焼却処分とした。遺品になりそうなものはなかったため報告は以上だ」

マルチナを連れて村長宅へ出向いた俺は結果を報告すると同時に、持って帰ってきたデカいゴブリンの首を渡す。

「本当にあの子達だったので・・・?」

「残っていた手足や骨は子供のものだった。頭はなかったのだから4人分という状況証拠だけで判断するしかないだろう。まぁ、頭が残っていたとしても、容姿については元村付きのハンターから渡された資料でしか知らない以上、特定できたかは怪しいがな」

「それならば、遺品の1つでも!」

「いっただろう? そんなものはなかったと。持ち帰れて骨か爪か、あるいは散乱した髪の一部ぐらいのものだ。それで本人だと納得できるのか?」

「それは・・・しかし本当になにもなかったので? 身に着けていた衣服などは⁉」

「アイツらがなんのために人間を襲うか考えればわかるだろう? 武器ならともかく服など剥いて、それで終いだ。どちらにせよ。残ってなどいない」

どちらにせよってのは、男でも女でもって意味だ。

食うにしても使うにしても、ゴブリンにとって服なんてのは邪魔以外のなにものでもない。

だから、残ってるはずがないんだ。

「・・・・・・そう、ですか・・・・・・わかりました」

これまで食い下がっていた村長も、ようやく俺の言葉に折れる。

本当は村長だってわかってるに違いない。

だが、それを伝えるのが心苦しいのだ。

僅か数日で、こんなにも世界が様変わりしてしまうことを。

ほんの些細なことで、どれほどのものを失ってしまったのかを伝えるのが。

嘘であればどれだけいいか。

そう思ったところで現実は変わらねぇ。変えられねぇ。

それを宣告するこっちの身にもなってくれりゃ、もっと話が早かったんだけどな。

中途半端に責任を負う立場になるとそれも難しい。

立場ってもんがあるからな。どっかに肩入れするのは当然なんだ。

「では、我々は本日限りで村を出る。今夜は祝いに宴会をするだろうから、うるさくしても多少目を瞑ってくれ。大人からすれば、ゴブリンの討伐などちっぽけな成果だが、子供にとっては大きな戦果だ。気兼ねなく喜ばせてやりたい」

「わかりました。ですが、火の扱いにはくれぐれもご注意を」

「心得ているつもりだ」

これらのやり取りを見て最後にマルチナがでは・・・と、綺麗に頭を下げて踵を返す。

ここまでマルチナは横で愛想よく突っ立ってただけだが、これはこれでいい態度で、貴族らしい厳格な振舞いであり、打ち合わせ通りの毅然とした態度でもある。

そのまま部屋を出ようとしたところ―――、

「大変だ! 村長‼ ―――っ⁉」

振り返った先の扉が勢いよく開かれ、見覚えのない男が慌てた表情でこちらを見る。

「と、取り込み中だったか⁉」

「今終わったところさ。構わないから続けてくれないか?」

入ってきた男は俺達を一瞥したが、

「それが―――‼」

村長の促しに従って続きを話そうとする。

俺達には関係ないだろうとその横を通り過ぎ、部屋を出ようとしたところで、とんでもない言葉が耳に飛び込んでくる。

「皇都で反逆が起きたらしい‼」

「はぁ⁉」

あまりの言葉に村長よりも先に反応し、振り向いてしまう。

「なんですと⁉ それは確かな情報で⁉」

「ああ! 領都セイルスルーに居る兄弟からの連絡だ‼ 間違いねえ‼」

力強く首を縦に振る男から嘘は感じられない。

「しかも‼ かの英雄様も一枚噛んでるらしい‼」

「ハァ⁉⁉」

更に聞き捨てならない言葉が続き、俺は声をなくしてしまった。