軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

言葉にして

上手くいったな。

結構な数の魔法に打ちのめされ絶命するゴブリンを見て、俺は1人でホッと胸をなでおろす。

岩に潰される瞬間の演技は、我ながら三文芝居だったと思う。

アレを撃ち落として、その上でホブだかジャイアントだかわかり辛いゴブリンを殺すことなんざ造作もなかったが・・・それじゃ意味がない。

アイツらに倒させたかった。

それが成長に繋がると思うからだ。

自信に繋がると思うからだ。

そして、あの光景こそがその成功を証明している。

アレをやれコレをやれと口で言うだけじゃダメなのは知っていた。

それを教えてくれたのはジェイド達だ。

こうやるんだと見せるだけでもダメなのは知っていた。

それはサン達が教えてくれた。

ならばと実践させてみて、手応えを感じさせてくれたのもまたジェイド達。

ただ、それでもなにかが足りなかったんだろう。

じゃなきゃ、ジェイド達のあの異様なまでの自信の付かなさを説明できない。

俺に認められたいと言いながら、俺の言葉を受け入れられない姿勢が謎過ぎた。

そうならさせないために、俺はもっと言葉を尽くすべきだったんだろうと、最近は思うようになった。

だから、

「よくやった」

その考えを実行すべく、怪我をしたであろうジェーンとバロンの手当をしながら褒める。

「・・・先生? 無事、だったんですね? ・・・よかった」

「辛くても諦めず、よく最後までバロンの隣に立ってくれたな。ジェーン。この勝利はお前の活躍のおかげだ。お前は俺の想像を軽く超えてたぞ」

息も絶え絶えなジェーンを膝に抱いて魔法で気力、体力共に回復させる。

「そんなこと、ないです! 最期まで戦えなくて・・・ごめんなさい」

そんな状態をジェーンは恥ずかしく思ったのか、身体が動くようになって直ぐ、そそくさと立ち上がり謝罪する。

「バロン君も・・・ごめんね。僕が足を引っ張っちゃって・・・」

ジェーンが離れたので次いでバロンを回復させながら聞く。

「そうなのか? バロン」

「ごめんなさい・・・叔父様・・・僕のせいで・・・」

天を仰いだまま倒れる甥は、覗き込んだ俺の顔を見るなり泣き出してしまう。

「今そんなことは聞いてねぇぞ。それに、アレはわざとだ。あの程度で死ぬようなことはねぇんだよ。お前が気にすることじゃねぇ」

「違う、よ! ううん。違わないけど! ジェーンが倒れたのは、僕のせいだから! 僕が、いけなかったんだ‼」

「なにが悪かったか・・・わかってるのか?」

「・・・うん。調子に、乗っちゃった。僕だけの力じゃないのに。1人で戦ってるような、気になってた。周りを見てるつもりで、見えてなかった。殿下の言葉にムキになって、ゴルドラッセの言い付けも忘れて・・・僕は」

「わかってるならいい。繰り返さないよう肝に銘じておけ。ま、嫌でも忘れられねぇ記憶になっただろうがな」

「・・・――うんっ‼」

泣くほどの悔しさも、火が出るような恥ずかしさでさえ、人は成長の糧にできる。

それを忘れずに、どうすればよかったのかを考え続ける限り、その成長が止まることはないだろう。

そんでもって、もう1人。

「ライザード。お前もご苦労だったな。どうだった? 重要な場面で人の前に出て統率する気分は」

「非常に業腹ですが、得るものはありましたし、感じ入るところもありましたよ。この僕自身の未熟さも知れましたからね。有意義であったことは認めましょう」

「減らず口までは治らねぇか」

「この僕が認めているというのに、相変わらず偉そうですね貴方は・・・。それと、確認しておきたいことがあるのですが」

「なんだ?」

「全ては貴方が企んだこと・・・という認識でいいのですね? 他の教師や、一部の生徒を巻き込んでこの僕を謀ったなどということは・・・ないでしょうね?」

「それについては私にもお聞かせ願えますか? 同じ教師として、なぜこんなことをしたのか。するにしても、なぜ事前に相談すらなかったのか・・・気になりますから」

ライザードとの会話に女教師が割り込んでくる。

「一応ちゃんと断っておくと、全て俺の計画だ。つっても、事前に仕込んでたのは魔法強化と身体強化の魔法道具。後は精神汚染耐性の護符ぐらいで、他に人を巻き込んじゃいねぇよ。事前に話さなかったのは、その場のノリで俺が動いたからに過ぎない」

「その割にはエイラスの対応が完璧すぎた気がするのですがね?」

「アイツを便利に使ったのは確かだけどな。打ち合わせまではしてねぇよ」

「そうだよ! 私は別に先生の協力者じゃないよ! ねー‼」

と、名前を呼んでるのが聞こえたのか、話題に挙がったエイラスがスッと来てはピューっと去っていく。

っつーか、そんなことしたら余計に怪しいだろうが・・・。

「まぁ・・・いいでしょう」

一瞬怪訝な顔をするライザードだったが、ここは本人の言を信じるようだ。

「そんなことより、その場のノリで死にかけたってどういうことですか⁉」