軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

魔法実技の授業:実践4

一通りの説明を終えたところで、ビューティーの急かすような反応に負け、各自での訓練へと移行。

それぞれが横並びになり、自分へ用意された的を使って魔法を練習する。

わからねぇことがあれば手を挙げろと言って実技場の壁に背を預けていればいいと思っていたが、意外にもあちらこちらで手が上がる。

大抵は家庭や個人で魔法と関わってこなかった生徒達の質問だったが、これは予想できたことだ。適性判断やそれに便乗した子供を1箇所に集めていたおかげで、同じような質問は起きなかったし、問題にもならなかった。

それでも感じたのはやはり人数の多さだ。

20人にも満たない数とは言え、それを1人で管轄するのは相当に骨が折れる。さらに言えば、相手がまだ幼い子供だという点もある。

この学園へ入るのは大方が貴族の子息で、将来的に軍や政治に強い結びつきが欲しいと思ってるか、あるいは政略結婚などを考えてる場合に、子供へ価値を与えたいと思っているかだ。

だからこそ、入学前からそれなりの教育を行っていて、それ故にある程度の知能を有しては要るんだが・・・どうやっても精神面は未熟で、感情的になりやすい。

しかしだ。

決してそれが悪いことだけじゃねぇと―――教えてくれるのもまた、子供達なんだな。

驚いたことに全員が手を抜かねぇ。

なにかしらの目標を見据え、一心不乱に挑んでいる。

それがなにかまではわからねぇ。

隣にいる誰かなのか、すれ違った時に話に聞いた誰かなのか、親兄弟の可能性もあるだろう。あるいはその全て・・・いや、国中をも対象としているかもしれねぇ。

そう思わせるほど真剣に取り組んでいる姿がある。

未来の皇王を自称するライザード。

その才能は皇族らしく一際輝いて見える。

豊富な魔力量とそれを扱えるだけの知性。高度な教育を受けたと想像できるほどの発想力と優秀たる血縁を証明するかのような向上心。

そこから得られる成果たるや、他と比べて引けを取るはずもない。

授業時間内に的の撃墜を。いや、それどころか一番乗りを決めるものだと。

誰しもが思っていた。

「やってやりましたわーー‼‼‼」

だが、予想とは裏切られるものだ。

訓練が各自の手に移ってから、最初に歓喜の声を挙げたのはビューティーだった。

誘うように会話を進め、一刻も早く試してみたいんだろうなと感じさせられるほどには魔法に詳しいようだったからな。

俺の話の途中でなにかに気付いて、方法を思いついてたのかもしれねぇ。

落とされた的の破損が小さい辺り、魔法障壁を貫通させる方法を選んだんだろう。あれだけ話を急かしたのにも納得だな。

それを横目で見ては苦い顔をするライザードだが、悲劇は続く。

「できたぁー‼‼」

背を反り、胸を張り、両手を一杯に突き上げて声を出すのはエイラス。

これは予想の範囲外過ぎたのか、ライザードも驚愕を隠せてねぇな。

しかもこっちは正統派。

魔力障壁を飽和させるやり方で的を撃墜させたらしい。地面に転がる的の破損が大きい。

それでいて周囲の友人と喜び合うだけの余力があるって言うんだから末恐ろしい。

マンサ商会はこの力に気付いて、エイラスを学園に寄こしたも知れねぇな。

「―――なんという体たらくッ‼」

己の不甲斐なさにそう零しながらも、次に続く辺りは流石。

ライザードも授業時間内での撃墜には成功。

方法はエイラス同様、力でねじ伏せた感じだ。

撃墜され大破した的から、正攻法で! という執念が伝わってくる。

無視する方法を取ればもっと簡単だっただろうに・・・それを許さねぇのは良くも悪くも意地のせいか。

それが拗れず成長につながることを願うばかりだ。

その後まだしばらく授業時間はあったが、3人に追従するものはなく、修理及び廃棄に出される的は3機となった。

全体としては、全員が初級攻撃魔法の発動に成功。さらに的への攻撃にも成功。魔法という手段への着手という意味では十分な授業だったと言える。

逆に個人しては、的の撃墜が3人だけ。しかも我が甥たるバロンはその中には入れず。それなりに不満の残る結果だった。

バロンに関して言えば正直、それほど魔法への才覚は感じられなかった。魔力量は多いみてぇだから、それで困ることがなさそうなのは幸いか。

取り敢えず、兄上への報告はまだ先にしようと思う。