軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

魔法実技の授業:破

「適性判断のやり方だが、一番手っ取り早い初級魔法で診断を行う。注意事項はただ一つ――”全てを自分の魔力で賄うこと”だ。どういうことか?」

そこまで言ってから、いつぞやと同じように同じだけの魔力量を使って、土で的を作り、火の弾で攻撃する。

当然ながら、結果も同じ。

地面の土を利用した的は消滅しきらずに残る。

「こんな感じで。その場にあるモノを利用すると、同じ量の魔力を使っても効果の度合が違うからだ。その場のモノを利用する戦い方は効率がよく、推奨されるべきものだが、適性を見る上では妨げになる。注意しておくように。お前らの適性が正しくなかったとしても俺は困らねぇが、お前らにとっては一大事だ。成長も遅くなるし、限界も早く来る。それを嫌うなら、キチンと測定しろ。自分の適性が不安なった奴は、今から一緒にやっておけ」

そう説明してから、壁際で待っていた奴らを横に並べ、初級魔法の指導をする。ついでに、志願者も同時に適性判断を行った。

やり方は簡単。

的に向かって初級魔法を撃たせるだけ。

後は的となっている魔法道具が威力を数値として算出したものを本人に伝えて終了だ。

俺がやったのは、その過程で間違いがなかったか。あればその場で指摘し、修正すること。

ここまでは滞りなく進んだ。

「全員の適性がわかったところで、さっきの続きだ。今日の課題はあの的を落とすこと。やり方は自由。で、その手本を見せろ? だったな?」

「ええ。出来るんですよね?」

「そりゃぁな。動きもしねぇ的に当てるだけだ。そう難しい事でもねぇだろ?」

適性判断のため一時的に手元へ戻していた的の内、1つを奥に設置する。

「最初に説明した通り、あの的には魔法を吸収する機能が備わってる。それはさっきの適性判断でも見ただろう。その上であの的を落とす方法はなにがあるか・・・わかるか?」

手本を見せる取っておいてからの質問。

ざわつきつつも、1人が手を挙げて答える。

「吸収されないだけの強い魔法で攻撃する!」

そういったのはエイラス・マンサ。

マンサ商会の関係者だ。

「それも1つの手だな。じゃぁ強い魔法ってのはなんだ? 初級魔法を強くするにはどうすりゃいいと思う?」

「えー・・・と、おっきくする! とか?」

「そうだな。それもありだ。だが、できるか?」

「っ⁉ せ、先生ならできる・・・よね?」

「まぁ魔力量を増やすだけだからな。けど、俺ができても、お前らができねぇなら、手本にはならねぇんじゃねぇか?」

「やり方は教えてくれないの⁉」

「魔力を込めろ。それだけでいい。つっても、呪文に頼ってるお前らじゃぁ厳しいだろうな」

リミア達もそうだったが、適性判断をしているこいつらも、全員が目をつぶって呪文を詠唱して魔法を発動させていた。

そんな状態じゃ魔法を強化するのは難しいだろう。

「呪文を改良とか! ダメかな?」

「いいんじゃねぇか? さっきの”火よ。玉となりて我が敵を祓え”を改良するなら、”炎よ。砲弾となって貫き壊せ”とすれば、威力は上がるだろうな。試してみるか?」

エイラスの頷きをもって、俺はそれぞれ、呪文を詠唱して魔法を放つ。

前者はただの初級魔法。掌に収まる程度の火の玉が、的へ向かって飛んでいき、吸収されて消える。

後者は強化された初級魔法。前者の火の玉より直径にして倍、体積ならば4倍はありそうな弾が、的へ向かって飛んでいき、やはり吸収されて消える。

「呪文は大まかに分けて4つの要素で構成される。属性・形・動き・効果。これらを知っていれば、今みたいに呪文を改変してより強力な魔法を作れるが、お前らにそれができるか? さっきより魔法を強くするにはどうすればいい?」

「それを教えるのが教師の役割では?」

ライザードが横から口を挟むが、

「この数に1人1人、呪文構成の意味や変化のさせ方まで教えろってのか? この場で? 時間の無駄だろ。魔法を使う授業だぞ? 魔法を使って自分で考えろ。わからねぇことがあったなら、その後図書館にでも行って自分で調べろ。それを知るために試行錯誤するのが今だ。自分にできることを想像しろ。それがお前に使える魔法で、お前にとっての魔法だ」

そんなのは理想論だ。

1人躓けば全体が止まるような教え方じゃ、近いうちになにもできなくなる。

「魔法を強化する方法は教えた。手本も見せた。もう十分だろ?」

「ですが、的はまだ落ちていないでしょう⁉」

「なら、その呪文を教えりゃぁお前は満足するのか?」

「そういうことを言ってるんじゃない‼ 結果を見せろと‼ そう言っているのです‼」

「結果ねぇ?」

俺は魔法を使って的の下、地面を迫り上げる。

「これでいいか?」

「貴方が言ったんですよ? 的を落とせ、と・・・」

「じゃぁ聞くが、あの的は浮かんでるのか?」

「それは――・・・⁉」

俺達が的としていた魔法道具は、俺によって迫り上げられた地面と密着している。

あの魔法道具は魔力で作られたものこそ分解・吸収するが、魔力によって作られてねぇ物体などは吸収できねぇっつー特徴がある。

だから俺は、地面のさらに下へ土魔法を送り込み、周囲の土を移動させる形で地面を迫り上げ、的に吸収されない方法で、的と地面を密着させた。

現象で言えば地面が飛び出ただけだが、状態で言えば的は地面に落ちたと言える。そんな状況を作った。

「魔法は想像力だ。やり方は自由。そう言ったはずだな?」