軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

約束の果て

これはなんだ? とジーナに視線で訴える。

鬱陶しい態度を取るドラゴンに反応したくねぇからな。

「んん! 虹霓玉。その名の通りドラゴンを意味する宝玉だよ。ドラゴンの魔力を高密度に圧縮したものだとは知らなかったけれど、ドラゴンが出てくる英雄譚などではよく登場するね。大体は主人公がドラゴンに認められたり、見染められたりしたときに渡されるんだけど・・・こんなに小さいとはね」

《石が小さいのは我の魔力が尽きそうだからだ・・・我が力が十全であれば、拳ほどの玉石になっていたはずだ! これで今の我には、この山の頂上へ向かう程度の魔力しか残っておらぬのだからな》

「まぁいい。それで、お前はこれを感知できるのか?」

《問題ない。その大きさであっても見失うことはないだろう》

「俺は見失いそうだけどな」

《黙れ‼》

「・・・・・・・・・」

《・・・・・・・・・》

黙れというので黙った結果、いかんともしがたい沈黙が流れる。

「ま、まぁ重要なのは大きさではなく、その性質だよ。これがドラゴン君の魔力の塊であるのなら、これほど研究しがいのあるものは滅多とお目にかかれないからね。ああ、そうそう。虹霓の意味だけどね? それは雨上がりに空へ架かる虹が、光の反射によって2本対になって見えることがあり、それを昔の人が竜のようだと言ったのがきっかけで、虹霓とは竜。あるいは竜種のことだといわれるように―――」

その沈黙に耐えかねたのか、ジーナが口早に詰まらねぇ講釈を垂れ流すが・・・そうか。

「だったらこれはお前にやるよ」

「へぁっ⁉」

《汝‼ どういうことだ‼ 今の件だけで我に協力せぬと言うつもりか‼》

憤るドラゴンを無視して固まるジーナに石を渡す。

「別にそうは言ってねぇだろ? 協力はしてやるよ。どうせ、こっちとしても放置は出来ねぇだろうからな。それより、お前から連絡があるまでの時間でコイツに、なんか1つでも。役に立つ魔法道具を作ってもらっといた方が助かるってだけの話だ」

他意はない。

俺が持っててもそれはただの連絡用の石で、最悪失くす可能性すらある。

「それに、コイツは変態だが転移の魔法道具も開発してて、俺が住む皇都への移動手段も持ってる。だから、お前から連絡があればすぐ知らせに来るさ。そうだろ?」

「え? あっ・・・ああ、うん。もちろんだとも‼ 任せておきたまえ‼あっはっは‼」

《理由と協力の意思があるならば認めるが、それならばそれで先に説明をするべきだ》

「言ってることは尤もかもしれねぇが、それは理由も言わずに襲い掛かってきたやつが言う台詞じゃねぇな」

「・・・・・・・・・」

《・・・・・・・・・》

あまりにもつまらねぇことを言いやがったお返しに、どこまでも手厳しい態度で望んでいたところ、

「話がすんだんならおめぇさん・・・こっちも手伝ったらどうだ? ええ? ゼネスよ」

久しぶりの見知った顔が話しかけてくる。

「アルガムのおっさんか」

「見ろ! 広場周りがめちゃくちゃだ。ここに露店を開いて負った連中をはじめ、商品どころか店まで失っちまった奴もおる。それをどうにかせえっちゅーわけじゃあねぇがよ。ちっとばっか手伝ったって罰は当たんねぇだろ?」

「そっちの工房は?」

「被害なしよ。ここいらの連中にはワリィがな」

「そりゃ僻まれるな」

「おうよ。だから復興を手伝うのさ。それで、そっちのデカいアンタのは? 話がすんだんなら、早いとこココをあけてほしいんだがな? 俺ぁ僻まれてるが、アンタは恨まれてんだぜ?」

《仕方あるまいな。では我は山頂にて魔力を回復する。その後は竜の住まう地へ帰還し、龍王を集い己を高める。汝‼ 我らとの約束、忘れるなよ‼》

「アドレスの山頂に居るわけじゃねぇんだな。竜の住まう地とやらがどこなのかは聞かねぇが、急げよ? 場合によってはこっちから呼び出すからな」

《汝がか? どうやるつもりだ?》

「お前にできることなら俺にもできそうだからな。同じ方法でだ。ま、油断してんなよってことだ」

《フッ! 言うではないか! その鼻、いずれ必ず明かすとしよう‼》

ではな。と言い残し、翼を一度だけ大きくはためかせて浮き上がり、あっという間に雲の向こうへと消えていった。