作品タイトル不明
新たな繋がり
ほんの一瞬、面を喰らったような間をおいて、
《そんなものはそこにいる翼竜にやらせればよい》
さも何事もなかったかのような態度で答えるドラゴン。
言われた方の翼竜はいきなりのことに理解が追い付かず、同じく動きを止めてから、いやいや! と首を振り翼を交差させる。
そのせいで荷車に積んで運んでいた瓦礫を崩してしまい、慌てるところに応援が駆けつけて難を逃れる。
ジーナが会話に入ってきた辺りから、クライフ達やジェイド達を筆頭に、街の復興をするためそれぞれが動き出している。
俺も手伝った方がいいんだろうし、なによりドラゴンがここに居座るのは邪魔だ。そういう意味でも、この話にはさっさと決着をつけたいところだが、生憎と連絡方法に心当たりがあるでもねぇ。
「ここにはいねぇ龍王と会話できるなら、同じ方法じゃ無理なのか?」
《龍王にのみ許された特殊な魔法というわけではないが・・・難しいだろう。存在感。言ってしまえば魔力の量が多い必要がある。汝はその、な・・・》
ダメ元で聞いといてなんだが、それが理由だと言われちゃどうしようもねぇな。
コイツから魔力を奪った超越状態でなら出来そうだが、いつ来るかもわからねぇ連絡のためにその状態を維持するわけにもいかねぇ。
かといって、手紙を出せるとも思わねぇし・・・さて、どうしたもんか。
「ときにゼネス。1つ聞きたいんだけれど、いいかな?」
「どうした?」
「君はどうやって私のお風呂場に侵入してきたんだい?」
「はぁ⁉」
なんつーことをなんつー場所で聞きやがる⁉
案の定。
『そのお話! 詳しく聞かせていただきたいのですが⁉⁉』
とか、ちょっと遠くでフェリシアが面倒な反応してんじゃねぇか!
『落ち着きなさい‼ そんなの後でも聞けるでしょ‼ 復興作業が先よ‼』
『ですが――っ⁉』
『いいから! ほら‼ 行くわよ‼』
幸いにもアンナが力ずくで取り押さえてくれているようだが、あれの説明は俺がしなきゃならねぇのか? いや、ジーナに任せて安心なんざ出来ねぇよな。面倒くせぇ・・・。
「ふむ。いい反応だね。わざわざ聞こえるように言った甲斐があるよ」
腕を組んでしたり顔でうんうん頷いてるんじゃねぇよ‼
と・・・言いたいところだが、
「どういう意味だ?」
「あっはっは! 紛らわしい言い方をしてしまったね? 私が気になったのは、君の魅せた次元跳躍魔法だよ。ドラゴン君との戦闘より前。君はどこか――いや、恐らくはギルド本部から私の研究所へと移動して来たんだろう? それをどうやったのかと思ってね?」
「それがコイツとの連絡になんか関係あんのか?」
少なからず俺は不機嫌な態度を取っただろうに、ジーナはさらりと笑って。
「ドラゴン君の言う存在感とは、そういうことなんじゃないのかな?」
・・・・・・・・・。
思い出してみれば、あの時。
確かに俺は、遠くに自分自身の存在を感じていた気がする。
《話が見えぬが、どういうことだ?》
「君自身の魔力なら、遠くからでも感知できるんじゃないか? って話さ」
《我自身の?》
「そうだとも! 存在感が君達の魔法にどう関わるのか、私には想像もつかないが、自分自身の魔力を探すのであれば、膨大な魔力は必要ないんじゃないのかと思ってね」
《それは可能かもしれぬが・・・良く思いついたものだな?》
「私が、そんなことができるのか? と聞いたとき、君は自分が次元龍だからだと答えた。だとすれば、その魔法は次元魔法なのだろう。それを扱える人間は少ない。けれど、目の前の1人はその次元龍が受け継いだ記憶の中にいる人格すらも驚かせた使い手だ。同じ性質や感覚を持ち合わせていても不思議じゃないだろう? 後は閃きさえあれば、誰にだってわかることだよ」
《普通はそんなことには気付かぬと思うがな。汝らがおかしいのだ・・・》
「それは賛辞として受け取っておくよ。賛辞はいい。かさばらないからね」
「そいつの頭がおかしいってことには同意しとくが、俺まで一緒にするんじゃねぇよ。で? 魔力を分割する方法に心当たりはあるか?」
《我からすれば我に勝ち、我らを雑魚と呼んだ汝の頭が一番おかしいのだが、まぁそれは良い。その方法なら丁度良いものがある。手を開いて前に出せ》
俺は言われた通りに右手を開いて差し出す。
すると、ドラゴンの口元に魔力が集約し、
《今度こそ、汝にドラゴンブレスをくれてやろう‼‼》
そのふざけた言葉に周囲へ緊張が走る。
だが、そういった殺気は感じねぇ。
ドラゴンの顔が下りてきたかと思うと、小さな、一滴のような宝石? が俺の掌へ落ちる。
摘まみ上げ、光を透かすように見てみると、どこかあの絶対防御の壁を思わせる虹が踊っている。
なんだこれ? そう言葉にしようとした時、
「 虹霓(こうげい) 玉‼‼」
真横からジーナのデカい驚愕声が鼓膜に突き刺さった。
「なんだ? それ?」
《言ったであろう? 竜の祝福(ドラゴンブレス) だ》
俺は隣で目を輝かせているジーナに聞いたつもりだったんだが、向かいに座るドラゴンが満足そうに答えやがった。