軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

side――栄光ある騎士団6

圧巻だった。

人がドラゴンに殴り勝つ。

そんな状況を誰が予想できただろう?

原理も方法も不明・・・けど事実であり現実だ。

しかも、それをよく見知った相手がやっている。

そして、その人物はすでに冒険者を引退した後だというのだから酷い嘘だ。

もう見ているだけでいいんじゃないか? という考えがジェイドの頭をよぎる。

だが、なぜだ? ゼネスは会話を選ぶ。

『今までなにかと戦ったことねぇだろ?』

『弱者をいたぶる趣味はねぇ』

『一度帰って修行でもしてきたらどうだ?』

優勢であるにもかかわらず――なぜ、このまま押し切ろうとしない?

特にこの言葉。

『弱者をいたぶる趣味はねぇ』

そんなはずがない‼

というと、ゼネスの性根が腐っている風に聞こえてしまうが・・・ジェイド達は知っている。ゼネスという人間が必要ならば非情になれることを。

人を。モンスターを。殺せるということを。

その意味を、その意義を、教えるためだけに里帰りに付き合わされたのだ。忘れるわけがない。

ということは、だ。

一見優勢に見える現状は、実際そうでもないのかもしれない。

このままでは負ける? そこまでいかなくとも、勝てないとか?

ゼネスが戦闘において手を抜いているところは見たことがない。

もちろん自分達との模擬戦を除いて。

ならば当然、あの会話にも意味がある。

戦っても勝てそうにないからドラゴンの戦意を挫きたい? まさかそれだけが理由なわけがない。

なら、単純に時間が欲しいとか? だとしたらなんのためだ?

戦闘で重要なのは観察することだと、確かそう言われたなと思い出す。

つまりゼネスはドラゴンに勝つため、ドラゴンの情報が欲しいのか!

いかに長く冒険者をやっていたとはいえ、ドラゴンと出会ったのは初めてに違いない。必要な情報が足りないから攻めあぐね、止めを刺しきれないと考えているんじゃないだろうか?

そこへ、吹き飛ばされたままだったクライフが合流すると、負けじとアンナ・エリック・フェリシアの元パーティーメンバーがゼネスのもとへ駆けつける。ついでにジーナも。

これなら勝てる‼ と思ったのも束の間。

ドラゴンを囲むあの壁のような魔法が復活した。

時間をかけすぎたんだ! 状況は劣勢に――ッ‼ なるわけでもなく。

無敵に見えていたあのドラゴンへ、いくつかの攻撃が届いていた。

改めてその凄さを実感する。

なにより、引退して離れていたはずの元仲間との連携には一分の隙も無い。1人は部外者であるはずなのにだ。

このままいけばゼネスが勝つだろう・・・そう見えた。

そう見えたが故に、その光景に全員が見入っていた。

しかし、事態は急変する。

魔力の回復だ。

どうやらゼネスがドラゴン相手に善戦していたのはドラゴンの魔力が失われていたから。

なのに、エリックが魔力を回復する姿を見て、ドラゴンが同じようにその魔力を回復させた!