軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

side――ゼネス8

要はあの時やったことを準えればいんだろう。

まぁ、その結果がどうなるかは俺にもよくわかってねぇんだけどな。

ワンダーゴーレムに俺がやったことは大まかに3つ。

拳が砕けるぐらいにぶん殴る。

魔力が空になるまでぶん殴る。

その状態で魔法道具と繋がる。

前半2つに意味があるのかはわからねぇが、取り敢えずやるしかない。

なにより、手を抜いて勝てる相手でもねぇ。

「ぐあ⁉ なんだ⁉ 急に‼」

挑発に乗せられた形になるが構わない。

端から、防ぐ以外に選択肢を持たないパチモン騎士を盾の上から殴りつける。

「ようやくその気になったか! ミスティ! 貴様も師匠の実力を見せてやれ‼」

「もちろんそのつもりだよ! なにかあったときは任せるからね!」

「なにもさせるな! それが師匠の面子だろうが‼ 自由騎士! 貴様も油断するなよ! それで終わりではないぞ‼」

「言われずとも承知している‼」

一層力を込めた一撃は、盾をへこませる程度には効果があった。流石、ワンダーゴーレムから取れる不可思議鋼を使って作った籠手だけはある。

全身甲冑のパチモン騎士から表情は読み取れねぇが、この急激な攻勢とその威力により、多少なりと焦らせることはできたはず。

そこへ。

さらに強く。さらに速く。

融合強化への魔力もどんどん増やして威力を増していく。

ゴン! ゴン! と低く響く音だった打撃音は次第に、ガン! ギン! と、どんどん音を高くし、盾の変形をより強調する。

やがて焦りは恐怖を呼び、それはパチモン騎士の体を侵食し始める。

この盾が壊れてしまえばどうなるのか・・・? と。

それを黙ってみているほど自称師匠も優しくはない。

俺の拳が盾を叩き、僅かにパチモン騎士と離れる瞬間、肩や膝、太ももなんかを狙ってあらゆる角度からナイフを突き出してくる。こっちの勢いや戦意を削ぐのが目的だろう。

だが、多少の怪我なんざ気にしても仕方がねぇ!

「うわ! 無茶苦茶するね‼」

「どうせ急所は狙ってこねぇだろ‼」

それらの攻撃は甘んじて受け、同時に回復魔法を体にかけ続ける。

自称師匠を魔法で迎撃する方法も考えたが、こっちの方が効率がいい。

下手に迎撃して動き回られるのも面倒だからな。

敵を一か所に集めるのが先か、俺の魔力が尽きるのが先か。

畳みかけるなら今だ! 躊躇っちゃいられねぇ。

長期戦に勝ち目はねぇと言われたばっかだしな‼

そのまま自称師匠を無視して踏み込み、パチモン騎士への攻撃を続行する。

「くっ⁉ なにを企んでいる・・・⁉」

殴られ続けるパチモン騎士が言うが、それにこたえる義理はない。

「この‼ 師匠を無視するなんて⁉ 失礼だとは思わないかな⁉」

そんな俺をどうにか引き離そうとする自称師匠だが、いくら強化魔法を使ったところで、元の体格差は埋めがたい。

力押しで負けるはずもねぇ。

そして、このまま押し込んで行けば―――、

「なにをしているんだ自由騎士‼ 弾き返せ‼ ミスティ‼ 貴様もだ‼ 早く引きはがさんか‼ でなければ離れろ‼」

後ろに待ってるのはギルドマスターだ。

ギルドマスターは俺を攻撃したくとも、周りに味方が居ると魔法を使えない。

竜巻じゃぁどうやっても範囲攻撃になるからな。

これは死なねぇ程度の痛みを無視して、さらには相手を委縮させて初めて通じる荒業だ。

ここで自称師匠が一心不乱に致命傷を狙いに来るか、パチモン騎士が奮起しない限りは引っ繰り返らねぇ・・・そう思っていた。

「ミスティ‼ 目を狙え‼」

声が聞こえた瞬間、白羽が目に映る‼

「っ⁉」

すんでのところで回避はできたが、鮮血が目に。

視界の半分が一気に赤く染まる。

傷は治せるが、流れた血は戻らない。

目に入った分もだ。

そこへまさかのパチモン騎士が反撃の魔法。

壁に打ち付けられたような衝撃で前進を止められた上に、

「ってぇ‼‼」

逆側の目も持ってかれた。

「そこまでするかよ・・・」

「はぁ、はぁ・・・こうでもしなきゃ止まらなかったのは誰かな?」

「く・・・なんたる失態だ・・・‼ はぁ、はぁ、はぁ・・・!」

一面黒の世界で荒い呼吸が2つ。

もう1人までの距離はどれぐらいだ・・・?