作品タイトル不明
side――ゼネス6
そのための手段は3つ。
1つは高威力広範囲に及ぶ魔法攻撃。
これは対多数相手に最も有効な手段だ。
敵の数に関係なく、全員巻き込めれば行動の管理もしやすい。
上手くいけば怪我を負った仲間の治療に手を取られてくれる可能性もある。
今までなら、俺にはこの手段は取り得なかった。
理由は魔力不足。
高威力広範囲の魔法なんざ使えもしなかった。
だが、今は違う。
ジーナが超越と名付けたあの現象を使って、周りに感じられる魔法道具から魔力を吸い上げれば、実行は可能だ。
つっても、それに見合うだけの効果が挙げられるかどうか・・・。
恐らく3人全員を巻き込むことは容易い。
なぜなら俺を舐めてるからだ。
実際、ギルドマスターが本気で魔法をバラまけば、俺にできることはたかが知れてる。
そうしないのは俺に納得させるため、あるいは――俺がワンダーゴーレムをどうやって倒したのか、その力の底を探ろうとしているのかもしれねが、手加減されているのに違いはない。
だから、不意を突いて魔法をブチ当てることはできるだろう。
問題なのは威力。
全力で撃っても死にゃしねぇだろうが、効かな過ぎればただ魔力を無駄にするだけ。
魔力の吸収も無制限じゃねぇ。やりすぎれば魔力酔いを引き起こす。
そうなっちまったら、逆転は不可能だ。
なにより、魔力を吸収できる上限も定かじゃねぇ以上、この案は使えねぇ。
2つ目は各個撃破。
これが一番簡単だが、それをさせねぇための連携。そいつを崩せねぇことにはどうしようもない。
狙うなら手近パチモン騎士になるが・・・ここでも要になるのはギルドマスターの存在だ。
随所で邪魔してくる自称師匠も鬱陶しいが、それ以上に俺の行動を制限してくるギルドマスターをどうにかしなきゃならねぇ。
直接的な攻撃以外にも、視覚的な妨害、回避の強制、意識の誘引とまるで自称師匠みたいな真似を・・・もしかして指示でも出されてやってんのか? と勘ぐって観察してみたが、そんな素振りもなく。事前に打ち合わせてやがったのかもしれねぇな。
俺の能力についても、自称師匠ならある程度知ってるし、ここへ来るのを後回しにしすぎたせいで、対策され放題。
だったら先にギルドマスターを狙うとどうなるか―――・・・は、すでに実践した通り、近付かせてすらもらえねぇ。
となりゃ残るは3つ目。
超難関・・・支配。
戦場・戦況・戦闘を思いのままに操ること。
狙いを絞り、敵の行動を縛り、頭に描いた場景を作り、1人。
最後にしたりと笑って見せる。
それを実現させるために必要なのは圧倒的な実力差だ。
腕力や魔力だけの問題じゃねぇ。
分析力・推理力・演技力なんかも含めた総合力で、相手連中を大きく上回る必要がある。
自分にできる範囲で有効な手を考え、疑われないような範囲で罠を用意し、気付かれないように万事を進め、その瞬間を確実なものにする必要が。
雑魚相手ならなんてことはねぇ。
考えてそうなことも顔を見りゃわかるからな。
だが、相手は腐っても個人S級。
内2人はまごうことなき歴戦の手練れ。
その経験値からくる想像力には及びもつかねぇ。
どこまでを想定内にしているのか、どうすれば明確な隙を作れるのか、どこからが窮地で、どうなれば敗北を認めるのか。
それを戦闘の中から割り出そうなんざ至難の業・・・なんだが、やるしかねぇ。
他2つが無理な時点で、もう選択肢は残っちゃいねぇ。
逃げることも、負けることも許されねぇなら、無理でも通すさ!
足掛かりはパチモン騎士だ。
こいつの実力は自由騎士のそれ程じゃぁねぇ。
ギルドマスターや自称師匠と比べても確実に劣る。
どう見ても2人はこいつのサポートをしてるし、このパチモン騎士も役割をかなり限定した動きをしてる。
こいつを上手く使って、纏めて罠に嵌めるしかねぇ!