作品タイトル不明
side――ゼネス5
そう思っていた―――が、甘かった‼
「どうした‼ 出直してこいだの、偽物だのと言った相手にすらも苦労するのか? お前は‼」
至近距離で盾を押し付けながら、さらに拳で追撃してくるパチモン騎士。
ただの拳ならわけないが、当然ながらそんなはずもなく。
風の魔法で攻撃範囲をごまかしている。
そのせいで大袈裟に避けなきゃならねぇんだが、
「次の態勢を気にしすぎるのもよくないよ? ほらほら! 魔法をもっと上手く使わなきゃ! 隙だらけじゃないか!」
自称師匠はそういう隙を許すことはない。
動こうとする先を潰すように、体ごと割り込みながら切りつけてくる。
鬱陶しい助言のおまけ付きでだ。
狙った動きができない以上、仕方なく強引に、体を預けるようにしてナイフを避け、腕を取って捻り、関節を固めつつその細い腰を掴み、体ごとパチモン騎士の方へ押し込む。
2人纏めて魔法を叩き込もうとしたところで、
「まったく! 世話を焼かせる! 油断のし過ぎだぞ!」
密着した2人を中心に竜巻が発生し、それを阻む。
竜巻の発生に合わせて闇の魔法を展開。
逆巻く風に影を絡ませ、内側にいる2人の視界を奪うと同時、ギルドマスターへ詰め寄る。
しかし、
「目くらましなど意味なし‼」
黒く染まった風の壁を食い破り、パチモン騎士が突っ込んできて振り出しだ。
「もう! いいところだったに‼」
「なにを言っている! ダラけきった攻撃をしたせいで反撃を受けそうになっていただろう‼」
「ダラけてなんかないし、油断もしてませんー‼ あれは魔法を見てから避けるつもりだったの!」
「ならば初めからそう説明しておけ‼ そうすれば放っておいてやる‼」
まだ遊び半分なのか、下らねぇ言い争いをしているが・・・。
面倒くせぇったらねぇな。
わかりやすく相性のいい3人編成。
高耐久で防衛力のある前衛。高機動で抑止力のある中衛。高水準で決定力のある後衛。
尚且つ3人共が風の魔法を使う。
ここも誤算だった。
締め切った部屋で使う風魔法はわかりやすい。
わかりやすいが故に、気が散らされる。
あからさまに当たらないような場所へ風を集められたとしても、そのことがわかっちまう。
そんな無駄にデカいだけの魔法・・・使うわけがねぇと思っていても、状況は3対1だ。
効率なんざ度外視で無理にでも轢き殺そうとしてくるかもしれねぇ。
そういう思考がちらつくだけで、
「どこを見ている?」
パチモン騎士の拳が当たる。
直撃じゃねぇ。腕で防げちゃぁいるが、次も防げるとも限らねぇ。
「気になるか? 気になるだろうな。貴様は優秀だ。話に聞いていた以上に・・・だがやめんぞ? そのためにこの3人を揃えたのだからな。よもや、卑怯などとは言うまい?」
「過大評価じゃねぇか?」
「だとすれば、貴様はすでに倒れているはずだろう?」
ニヤリと笑う顔にはまだまだ余裕が見て取れる。
相手の力を推し測るには、まずあのニヤケ面をどうにかしねぇとな。