軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

模擬戦 終了

問題は装填数。

弾切れまでに決着をつける。

幸い・・・と言っていいのか、迷いまくったおかげで残弾は10発。一発たりとも無駄になってはいない。

だから当然、威力だ効果だは一切確かめられていない。

出来れば一発目は確実に当てたい。

「どぉしたぁ‼ 来るんじゃなかったのかぁ⁉」

「準備してんですよ! こっちは縛りが多いもんでね!」

「そいつは悪いなぁ! 待ってはやらんがなぁ‼ ぜぇい‼」

下から上へ、さらにそこから一回転してフルスイング。

「いつまでも付き合ってやれるほどの暇なんぞ、こっちにもないからな‼」

それはそうだろうな。

この模擬戦自体、無理やりねじ込んだんだしな。

ならば・・・。

一発。

確実に当てるために距離を取る。

「またそれか? 随分悠長だなぁ‼」

息もつかせぬ追撃を入れ替わるように斜めに回避し、間に土の壁を作る。

縛りの都合上、壁と言ってもただの目くらましだ。振り返ればすぐに壊されるだろうが、その一瞬でいい。

雑に振った斧が合図だ。

ガッ! っと土の壁を壊す音に紛れさせ、石弾を一発。

崩れる壁から顔を見せた石弾が襲う。

「むっ⁉」

気付いた教官が腕で払う。

無意味に上半身裸なせいで、音という音は聞き取れなかったが・・・、顔を見ればそれなりに効いたのは一目瞭然だ。

そのしかめっ面には、出来るだけ避けようと出ていた。

「どうですか? 準備してたものは?」

「つまらん小細工だ」

「その割には効いてたように見えましたよ?」

「時間をかけたにしては・・・・しょぉもないもんが出てきたなってだけだ」

「そりゃ悪かったですね。やめるつもりはないですが・・・」

強がってくれるからやりやすくて仕方がない。

くだらないやり取りだが、距離を離すには十分だ。

「数に限りがあんだろ? なら、当たらなきゃいい話だ!」

「まぁそうなりますね?」

一歩、踏み出し、止まる。

また、一歩、踏み出し、止まる。

「おいおい。そりゃぁズルいじゃねぇか」

「いやいや、当たり前のことでしょう?」

「それが教え子に見せたい姿かぁ?」

「安全で堅実で一方的な戦い方だ。当然、教えるべきでしょう?」

”軸ずらし”。

生物は素早く斜めに長距離移動できない。出来るのはせいぜい最初の一歩ぐらいのものだ。

だからその最初の一歩。動き出しに合わせて、こちらも同じく距離を取るように動く。出来るだけ、同じ以上の距離を。

そうすれば、両者の差が詰まることはない。

遠距離で戦う時の基本中の基本だ。

実際には身体的能力の差や種族差、体力差で幾らでも違いが出る机上の空論だが・・・。

「頑張ってください?」

「後で覚えとけよぉ⁉」

そんな泣き言を言いながらも、教官は動き出す。

こういう場合に出来ることと言えば、地形を使うか道具や魔法に頼るといったところだが・・・地形については、ほぼただの広場だしお互いによく知っている。道具と魔法は縛りの都合上用意もしてなかっただろう。

となれば、残された道は運動性能の差を見せつけるしかない。

「ぬぉぉぉおおお‼‼」

撃ち出された大砲の弾のように、身体強化魔法で体を固めた教官が突っ込んでくる。

一発、二発と石弾を撃ってみるが、前に出された左肩を盾のようにぶち当たり、それでも 怯(ひる) むことなく 臆(おく) することなく突っ込んでくる。

追いつかれるわけにはいかない。今追いつかれるとなにをされるか分かったもんじゃないからな。

負けじと動き位置を変え、魔法をばら撒き視界を奪いながら二発、三発と石弾を撃ち込む。

「そんなものぉおおお‼」

それらすべてを真正面から受け尚、止まるところを知らず、ついにはその差を埋め尽くす。

わずか数秒。

残された時間でも、やるなきゃならないことがある。

「こいつでぇぇえ‼」

最後の一歩。

踏み込みに合わせて足元で雷撃を爆発させる。

土が弾け、草が燃える。

それがどうしたと、止まらないのは知っている。

だが、目の前で閃光が 迸(ほとばし) れば 瞬(またた) くし、その一瞬があれば次につながる。

下に構えられた斧の先に 蔓(つる) が巻き付く。

「仕舞いだぁぁあああ‼‼」

振り出す腕の違和感に教官の視線が落ちる。

それに合わせて身を 屈(かが) め、背中側へ滑るように氷の壁を展開させる。

構わず、視界の端に捉えた影に一閃。

薄氷を切り裂き、さらけ出された――

「これで俺の勝ちですね」

その背に最後の石弾が命中した。