作品タイトル不明
餞別3
「まるで卒業式だな。学園より渡されるもんに価値があるだけで」
「そうかもな。ま、似たようなもんだ。新たな門出ぐらいは祝ってやらねぇとな?」
「チッ! なんでもかんでも勝手に決めやがって・・・」
「なにが不満だ? あれだけ早く一人前に~って言ってたじゃねぇか?」
「俺様はまだアンタに認めさせてねぇ!」
「認めてるさ。じゃなきゃ・・・こんなことまでして送り出したりなんざ、しねぇだろ」
「そうじゃねぇよ‼」
頑なに。ジェイドは否定する。
「俺様の凄さを! 強さを! まだアンタに見せつけた覚えはないんだよ‼ それなのに! なにを認めてるんだよ‼ そんなのじゃ納得できねぇんだよ‼」
だがそれは・・・勘違いだ。
「お前の活躍は十分見たさ。ただの独りよがりでしかなかった蟻の頃から比べたら、今のお前は別人だ。自分の為じゃなく、仲間の為にどうすべきか、なにをすべきか、一番望んでたはずの攻撃って手段すら奪われても腐らず、表向きな技術の向上だけじゃねぇ。精神的にも成長してる。そのことをお前自身がわかってなくても、俺はお前を認めざるを得ない」
振り返れば、俺のやったことは褒められたことじゃないだろう。
踏み込み過ぎて仲間ごと危険にさらした前科を吊し上げ、パーティーのバランスを言い訳に、やりたくもなかったはずの役目を押し付けた。
あの時にはそれが最善だと思ったのは確かだ。
パーティーのバランスは悪かったし、ジェイド自身の能力も不足していた。
だが、それを理由にやりたいことをやらせない。あるいは、やりたくないことをやらせる・・・ってのは、人を育てるって考えた時には随分と非道な行いだんじゃねぇかと、今なら思う。
死んでほしくない。死なせたくない。そのためには――なんて、押し付けすぎた。
やりたいようにやらせてから、足りない部分は他で補うなり、後から足すでも良かったはずなんだ。
それを。お前は文句こそいいながらも、途中で投げ出すこともなく、一人前と呼べるところまで。
そこまでやった奴を認めねぇなんざ言えるはずもねぇ。
「そんなこと言われたってな! 俺様が納得できないことに変わりはねぇんだよ‼ なんかねぇのかよ‼ アンタに俺様を認めさせるようなことは‼」
「それを俺に聞くか?」
「仕方ないだろうが‼ こんな・・・皇都なんて危険なモンスターもいねぇんだぞ‼ それでどうやって俺様の凄さを証明できるってんだよ‼」
「なんなら直接相手してやってもいいんだぞ?」
「それで勝てるなら苦労してねぇんだよ‼」
それでなんで俺がキレられなきゃならねぇんだか。
にしても、どうすっかな?
俺にはジェイドのこだわりがよくわからねぇ。っつーのに、ジェイドの納得する強さの証明を俺が考えるって・・・無理があんだろ。
即席で課題を出そうにも、アイツの言う通りここは皇都だからな。大したことは――と思ったが、
「認めさせるってのはお前が納得できりゃぁいいんだな?」
「あ? ああ・・・! そうだ‼」
「なら、別に今すぐじゃなくてもいいよな?」
「いや早いに越したことはねぇよ。けど、まぁ・・・俺様の凄さを証明できるなら最悪なんでもいい」
「だったら――」
最後の。ジェイドへ渡す荷物を並べ立てる。
「お前には憧れの自由騎士になってもらう」
「はぁ⁉」