軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

side――栄光ある騎士団:TP1

ジェイドは意気込んでいた。

もし、ここで2匹のニアラプターを同時に。危な気もなく討伐できれば、教育係のゼネスに自分を、自分達を認めさせられるのではないかと考えているからだ。

言葉だけじゃなく、態度で、表情で、体感できるのではないかと期待していたからだ。

作戦自体は全員で決めた。

ゼネスからの助言もあった。

だが、それでも。

その期待を、その憶測を、大きく上回る結果であれば、今度こそ。

なにより、上手くいけばB級昇格。

晴れて一人前と認められるのだから、そうなるに違いないと。

それほどに意気込んで標的となるモンスター達を探していた。

作戦の概要は大まかに言えばこうだ。

1.ジェイド、ヨハンの両名で発見したニアラプターの注意を引く。*その際にはエイラによる強化魔法を多く受けること。

2.戦闘発生し次第、周囲を観察し、モンスターが隠れられそうな場所が近い場合には、上手く引き付けつつ、その場から移動すること。

3.ニアラプターが1匹の場合、キューティーのサポートにはリミアがあたり、炎と相反する水の援護で魔法を制御すること。ケイトはジェイド、ヨハンと協力し敵の足止めを行うものとする。

4.止む負えない理由(釣り出そうとしたがニアラプターが移動しなかった場合など)により、2匹を同時に相手する場合、キューティーのサポートはケイトとエイラの2名で行い、リミアは敵の足止めに尽力せよ。魔法使用後に倒れると予想されるキューティーの回収はジェイドが担当すること。

5.キューティーの魔法を発動しても、ニアラプターの討伐に失敗した場合、即座に撤退すること。又、監督官が指定した撤退の合図を見た場合にも同様とする。

以上を5か条とし、それに従う範囲内であれば行動に制限はないものとする。

だから、敵が追って来ないことをジェイドは期待していた。

逃げることなど、考えてもいなかった。

6人で森へ入り、昨日の現場近くからニアラプターの住処を探した。

傷付けられた木を頼りに痕跡を探し西へ。

折られた枝、爪後の残る幹、踏み潰された根、食いちぎられた棘。

ケイトはこれらを見て、鉄の花の状態が悪い理由を理解した。

木と花は共生関係にあり、木が大きな障害を棘で寄せ付けず、花が小さな虫から木を守っていたのだと。

そして、木は花へと栄養を分け与えていたのだろうと。

それがこの有様では・・・・・・。

木には他所へと栄養を分け与える余裕など無かったのだ。

だから花の質が落ちていた。

ゼネスが言っていた通り、意外と原因は1つのものから来ていたのだった。

それなりに進んだところで、6人は悪臭に鼻を曲げた。

糞だ。

まだ固まっていない巨大な糞が、そこにはあった。

畑の持ち主が見れば、肥料には困らなさそうだと考えるところだろうが。冒険者にとっては緊張が走る瞬間だ。

排泄と睡眠は自然界では一番隙をさらす行為。

そのものにとって安全たる場所でなければ行うことはない行為。

つまり、この巨大な排泄物の主が近くにいるということだ。

この辺りには他のモンスターの気配はない。

当然、これはニアラプターのものだと考えられる。

呼吸が出来ないままでは困ると、ケイトとエイラが魔法で空気の流れを作りだし、臭いを排除して先へ進む。

1本、2本と木を通り過ぎた先。

「――・・・いたぞ」

身体を立ててキョロキョロと辺りを窺うニアラプターを発見した。

「じゃあ、仕掛けますね」

そう言って前に出ようとするヨハンを、

「待って!」

強い囁き声でエイラが止める。

「接敵までに余裕があるなら先に周りを確認しろって言われたでしょ? 5か条の2.は先に見つかった場合よ!」

「あッ⁉ そうでした! すみません!」

つい大きな声が出たヨハンは自分で口元を抑えながら謝った。

けれど、ニアラプターが気付く様子はない。

ホッと胸を撫で下ろす一同は、もう一度確認する。

「どう? 隠れられそうな場所はありそう?」

身を潜めながらでは十分な情報は得られなさそうだったが、

「こちらでは確認できませんわ」

「こっちも・・・大丈夫」

「こっちもだ。一斉に出てくれば楽なのによ」

キューティー、ケイト、ジェイドから次々と問題なしの報告が上がる。

エイラ自身も来た道を振り返ってみたが、ほとんどが平坦な地面に木が疎らに生えているだけで、あの巨体が隠れられそうな場所など見当たらない。

そんな中、

「どうしたの?」

ヨハンがなにかに気が付いたリミアに声をかける。

「いえ、あれなのですが・・・・・・」

指を差すのはニアラプターのさらに後ろ。

6人が隠れている場所からは見辛かったが、木々の隙間を埋める1本の木は。あからさまにその1本だけ大きく、太く、さらには少し高い場所に生えており、巨体を隠すにはうってつけの場所となっていた。