軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

2ヵ月ちょっとのメッセージ

部屋へ戻って早々。

俺は装備やその他を置き捨て、身体をソファに投げ出す。

手にするのは旧友ベルザフォンことベルとのメッセージカードだ。

皇都に到着した段階で、新着があったのはわかっていた。

つっても、更新がかかっただけでメッセージ自体は遥か前に送られていたものだったが。

細々としたものから、日々の愚痴まで。

相当数が送られてきていたが、進展がありそうなメッセージは以下の3つ。

『貴族学園における人事異動。それに伴う採用・補充教師の背景』

『貴族学園への接触・及び介入について』

『軍部の動き。皇都で発生している盗難騒ぎ』

これらは流し読み程度でも目についた重要事項だ。

まずは、『貴族学園における人事異動。それに伴う採用・補充教師の背景』からだ。

貴族学園に置ける人事異動とは、一部教師の退任と新任教師の採用のことだった。

退任になったのは旧来からの教師であり、貴族学園に引き抜かれてから勤続10年を超えていたベテランで、評判が悪かったなどということもなく、優秀な教師だったようだ。

だが、今年の春になったタイミングで唐突にクビにされたらしい。

理由は特定の生徒との諍い。

ただこれは本当に些細なことで、しかもすでに当該生徒とも和解しており、原因とするにはあまりにも無理筋で、本人もそう主張したそうだが・・・結果は変わらず。

退任後も引き抜かれる以前に務めていた地元の学園で教職を続けているようで、無職になっていないだけマシなんだとか。

こんな感じで去年、一昨年にも。勤務年数の長い教員が退任している。

違いがあるとすれば、去年までは幼少部の教師が。今年は中等部の教師が退任になったことだろう。

その理由はおそらく、今年から中等部に入った生徒の中にある。

そして、補充の新任教師。

こっちについては碌な情報がなかった。

それは去年までの補充教師も一緒だ。

全員がどこかで教壇に立っていた程度の人物。

学園・私塾・貴族の家庭教師など。

だが、どの人物にも共通していたことがある。

それが、出身地だ。

全員揃って”ルーヴェント領”が出身地となっていたらしい。

ルーヴェント。

あんまり有名じゃねぇが、東にある領地で、領主はルーヴェント男爵だったはず。

特別教育に強いだとかそういう噂はなかったと思うが・・・なにか引っかかる。

そこでハッ! と思い出し、机の引き出しに突っ込んだままだった資料を引っ張り出す。

ヨハン・S・ルーヴェント(13)

そう。教官から渡された駆け出し6人のことが書かれた資料の中に、ヨハンの名前に続いて書かれていた。

「・・・・・・はぁ」

大きく息を吸って、大きく吐く。

なんて言っていいのやら。

だがこれで、学園の件で動いているのが”望福教”ということはわかったと言っていい。

ヨハンはそれが原因で捨てられたようなもんだしな。

謎についてはかなりの進展を見せた。が、本当に言葉が出ない。

このことは本人には伝えるべきか?

伝えるとして、なんて言えばいい?

とりあえず、《ルーヴェント領では望福教が広く信仰されている可能性が高い》とだけ、ベルに送っておく。

新たな頭痛の種を抱えて、しかして次だ。

次は、『貴族学園への接触・及び介入について』とあるが。

内容は無く、全部丸投げ状態の質問だけが来ていた。

『なにかいい案はないか? 心当たりでも構わない』

まぁ、気持ちはわかる。

俺達の世代で現在貴族学園に関わりのある奴なんて本当に少数だ。

早くに子供を作った奴か、年の離れた兄弟が居る奴。

あるいは、親戚筋に丁度その年代の子供が居る場合だけ。

ベルに子供なんて居ねぇし、俺だってそうだ。それどころかお互いに結婚の予定すらない。

俺には年の離れた兄弟が居るが、居るのは上だけだ。

兄上の息子である甥にしても、貴族学園に入るのは来年の春から。しかも幼少部だ。

問題の中等部に関わるのは難しいだろう。

ベルがこういう質問をしてくるってことは、向こうも似たような状況ってわけだ。

これについてはどうしようもないな。

俺とベルじゃ助けを求められるような友人も少なく、しかも被っている。

横に話を広げてもどうにもならないどころか、下手に情報が広まるだけだ。

《特筆する手立てはない。なので様子見を続けよ》と冗談交じりに上から目線で送ってやった。

愚痴の中に『部下が言うことを聞かない』とか、国民の不満や軍上層部からの励まし以上に、特定の貴族からの『よろしく頼むよ? うん?』が一番腹が立つと書かれていたからだ。

『誰のせいだ‼』という一言は間違いようがない。

せめて笑ってやるのが友の務めだろう。

そうして。

最後に残るのが、『軍部の動き。皇都で発生している盗難騒ぎ』なんだが。

こいつはちょっと・・・厄介かもしれねぇな。