軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

教育係としての準備

流されたとはいえ受けた以上はやらねばならない。

というわけで、改めてどうすればいいか? と聞いたのだが、

「お前さんの思うようにやれ」

とのことだった。

駆け出しの俺達に色々と教えたのは他でもないブロンソン教官で、その師が好きにしろというのはどうなんだ? と思うが、昔からそういう人だったな・・・と振り返ってみて思い直した。

「とりあえずやってみろ! 間違ってたら教えてやる!」

そう言っている姿が思い出される。

「最初から教えてくれたらそれでいいのですが・・・・・・」

ついでに至極当然のことを言っていた親友の姿も思い出した。

懐かしさに笑っているとギルドカードにメッセージが来てるのに気付いた。冒険者ギルドに来たから更新されたんだろう。中身は元パーティーメンバーから試験を無事に突破したという旨のメッセージだった。各々送って来たので微妙に日付やらが異なるが、大体そんな感じだ。

これは負けていられないな、と教育係として割り当てられた階段上の角部屋、備え付けのソファーに腰を下ろしながら、

「これがお前に任せたい駆け出しの情報だ!」

押し付けられた書類に目を通す。

全部で6人

多いのか少ないのかは分からない。

俺達の時は二人だった。それ以外は知りようもなかった。駆け出し時代は一度しかないのだから当然といえば当然だが。

書類に書かれているのは名前と志望動機くらいでステータスやスキルなどについては載っていなかった。後は年齢や現在の等級、パーティーかどうかといった項目がある。

「なるほどねぇ・・・確かに面倒事の臭いがするな」

書類を見て分かったことは6人の内、4人がパーティーで残りがソロであるということ。パーティーランクこそC級だが全員がD級、駆け出しであるということ。そして、

全員が貴族であるということだ。

一昔前では考えられないことだ。少なくとも俺達が冒険者になると言った時など、それはそれは猛反対の大嵐だった。

時代は変わったな・・・とまた昔を思い出し、気付いてしまった―――

―――元パーティーメンバーが一人を除いて王侯貴族だということに。

まぁ皇族とただの貴族の子供では話が違うのかもしれない・・・それでも、家名まで登録している冒険者はほとんどいないし、当然貴族だなんていう奴もいなかったはずだが・・・・・・いや、そもそも身の上話なんてしたことなかったな。

自分基準で考えすぎていたかもしれない。後で確認すればいいことだ。そう言い聞かせて書類と向き合う。

まずはソロの二人だ。

登録者名:ヨハン・S・ルーヴェント(13)

等級:D PT:未所属

動機:家の意向

備考:影が薄い

備考の内容がひどいな。おそらくはブロンソン教官の所感だろうが・・・それにしても、もうちょっとなんかあっただろうよ。

登録者名:リミア・T・ルーフロンス(13)

等級:D PT:未所属

動機:教会は駄目といわれたから

備考:強い意思は感じる

動機も備考もあったもんじゃねぇな。

なにかしら家であって教会の修道者になるつもりが反対されて致し方なく冒険者にってことなんだろうが・・・強い意思ってのは反抗心かなにかか?

で、ここまでも碌なもんじゃなかったが、こっから先はそれの比にならないほど問題だらけのパーティー組。

登録者名:ジェイド・P・ズダーク(16)

等級:D PT:C( 栄光ある騎士団(グロリアスナイツ) )

動機:偉大なる俺様という存在が故

備考:やる気だけはある

・・・・・・は? この一言しか出なかった。

ズダーク家は確か伯爵だったはずなんだが・・・・・・大丈夫なんだろうか? 人様の家のことをどうこう言える立場ではない・・・ない、が。

故に、なんなんだ? しかも、栄光ある騎士団ってなんだよ‼ 騎士に憧れるならまだ皇国軍のほうが近いだろう! やる気だけってことはそれ以外ないってことなのか?

もはや不安しか感じさせない。

登録者名:キューティー・B・ゼフォー(16)

等級:D PT:C(栄光ある騎士団)

動機:ジェイド様にお声を懸けていただいたから

備考:取り巻きAだな

まだ見たことはないんだが、もうなんか目に浮かぶというか・・・

登録者名:ケイト・M・シークマ(16)

等級:D PT:C(栄光ある騎士団)

動機:断れなくて・・・

備考: 不憫(ふびん) な付け合わせってところだ

これもまた目に浮かぶな。たぶん大人しくて優秀だが人付き合いが苦手・・・とかそんなとこだろう。

登録者名:エイラ・O・サンカーミ(16)

等級:D PT:C(栄光ある騎士団)

動機:放っておけないので

備考:こいつだけが頼りだ

動機・備考共に最重要人物で間違いない。

ここにすべてが 懸(か) かっているといっても過言ではない。

問題はこのエイラがジェイドに言うことを聞かせられるか、だ。

おそらく栄光ある騎士団のリーダーは俺様。そこに歯止めが掛けられる人材か否かが勝負の分かれ目だ。

もしそれが不可能だった場合・・・・・・

いや、考えるのはやめだ。

ギルドカードを手に取って元パーティーメンバーに、こっちは大仕事が決まったよ。とメッセージを送った。

指導日までそれほど時間がないんだが・・・どうしたもんか。

俺は鈍い頭の痛みを抱え悩みながら1階へと降りた。

風を求めて外へと出るついでに、降って湧いた冒険者貴族問題を聞いたところ、

「そんなわけないでしょ‼ お兄ちゃんたちがおかしいの‼」

というのは受付嬢ミリーの言葉だった。