軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

白魔導師、と獣王祭 五日目!

獣王祭で最も盛り上がりを見せる予定だった、多くの人が期待を募らせた4日目……魔王軍の四天王の一角、クラウンと『剣の名家』が起こした騒動により、決勝戦が行われることはなかった。

クラウンの起こした騒動は以前、魔王軍四天王のテラが引き起こした騒動に比べると、あまりにも唐突で、かつあまりにも呆気なく解決した。

あっという間だったため、街の被害は大したものではなく、幸いにも一般人に死者は出ていない。

例のクラウンの身代わりと、一部、抵抗した暗殺者が隠し持っていた毒薬で自死した以外に、死者は出てない。

元々、以前の騒動に加え、バイオレットからの事前情報もあったのだ。そうして施した対策が、功を成したと言える。

素早く鎮静化された騒動。その甲斐あってか、そもそも何が起こったかさえ分かっていない国民も多かった。

それはそうとて、帝都全土を巻き込んだ騒動に違いはなく、獣王祭の中断は必然。

決勝進出予定だったムラサキがとても戦えるような状態ではなかったことも大きいだろう。

とは言えだ。あれだけ優勝賞品が豪華と銘打って開いた大会。それが結局、誰にも渡らなかったと言うのは、あまり良い印象を受けない。特に大会の中止が帝国の判断で、しかもその原因が長らく帝国と深く繋がる剣の名家にある以上、なおさらである。

そんなわけで、暫定ではあるが優勝となり、賞品を手にするユイだったが。

「一旦、その賞品は預けておくわ。ムラサキが全快したらまた、その時に貰い受けに来るから」

ユイはそう、毅然とした態度で言ったのち、用意された賞品を突っ返した。帝国一の剣士であるムラサキを倒さずして、優勝というのは納得がいなかいと。

そう言い切ったユイには、Sランク冒険者としての風格があった。

あの後も色々あり、結局、帰る頃には夕方になってしまった。あれだけのことがあった上に、その渦中で活躍したユイら。色々、聞かれるのも仕方あるまい。

その帰り際、俺はユイに問いかける。

「よかったのか?」

「……」

格好はつけたユイだったが、万年懐の寒いユイにとって、あの発言は結構痛いものだったはずだ。実際、今はあの時の態度とは違い、少し名残惜しそうな表情をしている。時折、名残惜しそうに賞品の保管されているであろう場所の方角を振り返っている。

おそらく場の流れもあり、勢いで言ってしまったのだろう。

しかし、一度はっきりと言ってしまった以上、今更引っ込めるわけにはいかない。ユイにもSランク冒険者としてのプライドや世間体がある。

未だあから様に未練を残したユイを見て、ダッガスは言う。

「ちょうどよかったんだ。いくら帝国最強の剣士とは言え、今のユイが負けるとは思わない。つまり、その時期が来るまでは絶対に引き下ろせない貯金ができたようなもんだ。それに、鍛錬を怠らない理由にもなる」

「なるほど……そう言う味方あるのか」

そう言われると、この収まり方がよかったのではないかとさえ思えてくる。ユイはあまりにも納得の言い分に、悔しそうに口を閉ざす。

「むむむ……そういうロイドこそ良かったの? 彼女、知り合いだったんでしょ?」

咄嗟に話題を変えんとするユイ。

彼女とは、結局姉であることを伝えら得ずにいるアイラのことではない。

あの場で、数多の剣士からムラサキを守り抜いたバイオレットのことだ。今、帝国軍の基地の牢で取り調べを受けているであろう、バイオレットの光景が浮かぶ。

ユイの問いを聞き、俺は天を仰いだ。

俺の複雑な心中を察してか、ユイは慌てて「なんでもない」と会話を終える。また、シリカはそんな空気を察して、別の話題を切り出す。

「それにしても、凄いですよね。まさか、獣王祭は明日も継続するなんて」

「全くだ。これだけのことがあったのにな」

シリカとクロスの言う通り、帝国は獣王祭そのものは中断しなかった。五日目は大方予定通りに行うという。

ユイたち四人の期待の眼差しが、俺へと集まる。

それだけで彼女らが、聞きたいことを理解した。

「そんな目で見られても、俺は、帝国の公式発表以上のことは知らないぞ」

残念ながら、ユイたちのご希望に添えるような情報は知り得ない。

「えーっ、でもほら! なんかロイドって行く先々でその国と深い繋がり持ってるじゃん」

「そんなことは……なくもないが」

ユイの言葉を否定しようと過去を回想し、あながち否定できないことに気がつく。

しかし、今回に限ってはそれ以上のことは知らない。

あの後、クラウンのおこした騒動からしばらくして、騒動はあらかた解決したこと。そして一般人と帝国軍の兵士、互いに死傷者が出なかったことが伝えられた。

そしてその首謀者は戦闘不能な状態で逃走したらしい。

一応は、セリオンの功績とされているが……本当のところは俺も知らない。

それらを発表した魔将クラウディアが言うには「例の魔族は、帝国軍地下に投獄されたテラの奪還を目的としていたが、それは氷晶の勇者により防がれ、深傷を負いながら逃げた」と。

また、クラウンの手下も暗殺者も全員捕縛したと。

流石にこの四日目は、中断となったが明日はさらに多くの兵士の警備ののち、再開される。

「でも、セリオンも出てくるなら安心かもね」

セリオンとは氷晶の勇者と呼ばれ、最強の勇者とも名高い獣人だ。

「不安の声もありましたけど、お店の人たちは喜んでましたね」

「屋台に限った話じゃない。旅館にしろ、一般の飲食店にしろ、この日のために多くの時間と労力、後金を投じてきた。まぁ、帝国は魔導国には屈しないって、そういう意味合いもあるんだろうが」

ダッガスの推論は、あながち外れてはいなかった。実際、不安を覚える国民も多い反面、中止を恐れる国民も多かった。

帝国で最も盛り上がる祭だ。

そこに多くをかけてきた人は多い。それは楽しませる側も、楽しむ側もだ。

「でもあのガオンって人はちょっと可哀想ね。明日から仕事なんてさ」

ガオンは今日の敗北により、五隊長入りが決定した。まだ詳しいことは決まっていないが、とりあえず明日の警備を頼まれ、ガオンは「仕方ない」とそれを許諾した。

「あの五隊長と氷晶の勇者が警備につくのであれば、安心かもしれませんね」

「えぇ、お陰でクレアも街に出れるし」

セリオンは明日、クレアと共に帝都を歩いて回るらしい。

おそらくはそれが、セリオンが帝都を警備する条件なのだろう。いかにも、彼の考えそうなことではある。

「剣の名家の方には、帝国軍の兵士に加え、つきっきりでスミレさんも監視につくそうですし、心配はなさそうですね」

シリカの随分と親しげにスミレを呼ぶ言葉に、俺は引っ掛かりを覚える。

「知り合いなのか?」

「実は俺たち、帝都きてからはスミレさんの家にいたんだ」

俺の質問に、クロスはそう返した。

それは何故、ユイらがスミレと繋がりを持っているのかという疑問には答えられていなかったが、お陰で晴れた謎もあった。

「そうだったのか。ってことは、俺のことを伝えたのはクロスたちだったのか」

なるほど、納得だ。どうしてバイオレットの妹……イリスが俺を頼ったのか疑問だったが、クロスたちが泊まっている際に、出会い、何かしらを聞いたのだろう。

「……あ、あぁ、そうだな」

俺の呟きに、クロスはぎこちなくそんな言葉を返した。

ユイに限っては、あからさまに目を逸らしている。

察するにどうやら、そう言うことではないようだ。益々深まる謎を問い詰めようとするも、クロスが急ぎ口を挟む。

「そ、そうだ。ロイドは姉さんと止まってる旅館があるんだろ? 今日までは俺たちもスミレにお世話になるから、ここでお別れだな」

「そうですね。本当はロイドとの再開を祝したいところですが、ユイも疲れてるでしょうし。再会の祝会はまた明日にしまよう。何より、今日はそういう空気ではないですしね」

「あ、あぁ」

「安心して、良い店予約しておくから」

結局、その疑問は解決することなく、むしろ増やされたのち、俺は一人、いつもの旅館に帰った。

翌日。俺は帝国軍の基地にある牢獄を訪れていた。牢獄、と言うよりは留置所というのが正しいかもしれない。

彼女の罪状と刑はまた、定まっていないのだから。

鉄格子の向こうにいる顔に傷のある彼女を見て、俺はバツが悪そうに視線を逸らしてしまう。

いや、逃げちゃダメだ。

俺は深く一呼吸し、目の前の彼女と向かい合う。

「初対面もこんな感じだったな」

あの時も、鉄格子ごしに会話していた。屋敷の地下で出会った、懐かしい光景を思い出す。

あの時と違う点と言えば、健康面はそれなりに良さそうなところだろうか。

そんな、やんわりとした会話の入りは不要だったのか、バイオレットはいきなり本題を口にする。

「まさか。驚いたよ。騒動が収まるや否や、お前が私を拘束するとはな」

普段より少しだけ低い声で口にした言葉に、俺は罪悪感を強める。

あの日、刺客らと戦い疲弊しながらも逃げようとするバイオレットを捕らえたのは、同じくその場でムラサキを守っていた俺だった。

俺は、会場での騒動があからか片付いたことを確認してから、バイオレットを捉えた。疲弊し、かつ俺に対して油断しきっている彼女を捕まえることはそう難しくはない。

俺の取った行動にその場にいた面々の多くが驚く中、当然ながらバイオレット本人も驚いていた。まさか、俺がこんな行動に出るとは思っていなかったのだろう。

きっと、彼女はまた騒動にかこつけて、どこかへと姿を消すつもりだった。

この場にいる五隊長であれば彼女を捕らえられるだろうが、何が起こるかわからない今、ここにいる大勢の観客を放ってまで、無害とわかりきっている彼女をどこまで本気で追えるか。鎧将は例の暗殺者を取り押さえていたし、ムラサキはそんな状態じゃなかったしな。

クラウディアがバイオレットを追い、この場を離れるのはリスクが大きい。かといって一般の兵士では、本気で逃げる彼女を捉えられまい。

「どう、して!?」

残った力を振り絞り、俺の拘束を解こうとする。俺はバイオレットを取り押さえる力を一層強めた。

彼女をどうするか。

俺の出した結論はこれだ。

この先、暗殺者として活動を続けたとしても、彼女の性格では上手くはいかないだろう。

そして、逃げ続けた先に、彼女の幸せがあるとは思えない。

何より、

「これは、お前の妹の……イリスからの依頼だ」

「!?」

何も知らないバイオレットは目を丸くする。

あの日、俺の受け取った手紙は一言で言えば依頼だった。

姉を、バイオレットを捕まえて欲しい。流石は名家の娘、それが娘本人のものだとわかるのだが、歳の割には随分と綺麗で丁寧な字で、そんな願いが綴られていた。

『同じ家に住めずとも、また会って話したい』

『もうこれ以上、危険なことをしてほしくない』

『どんな形でもいいから、この街に帰ってきて欲しい』

そんな旨の言葉が並んでいた。

確かに、暗殺業を続けるよか、帝国軍の管理する檻の中の方がずっと安全だ。それに、イリスの側には帝国で強い影響力を持つスミレやムラサキという帝国軍のトップがいるため、バイオレットとの接触は不可能ではない。

何故、依頼先が俺だったかは不明だ。

変な噂でも流れているのか、あるいは俺を知る何者かから聞いたのか。

ただ、一旦そこは忘れることした。考えたって仕方がない。

手紙という名の依頼書を見て、俺は悩んだ。ずっと、悩み続けた。

勿論、冒険者ギルドを通さずに依頼を受けて良いのか、なんて粗末な疑問ではない。

この依頼……受けるべきか。断るべきか。バイオレットの未来を、この先の人生を案じた上での二択。

この数日、悩みに悩んだ末、出した結論は『依頼を受ける』だった。

逃げずに償う。

これ以上、彼女の手が汚れる前に。

それが最も、彼女のためになると信じて。

「それで、どうだった?」

俺は檻を挟んで、目の前にいるバイオレットに恐る恐るそう問いかける。

「剣の名家でのことは、情状酌量の余地があるし、今回の再調査で問題はボロボロ出て来るだろうから、何とかなるかもしれないけど。暗殺者稼業での罪は消えないって」

「……そうだろうな」

「何、随分と冷たいのね」

バイオレットの言葉に、俺は押し黙るしかなかった。

正直、未だに迷いはある。本当にこれでよかったのか。

こんな、人一人のその後の人生を左右するような決断を、たった一人で行うのは初めてだったから。

俯く俺を見て、バイオレットは軽く笑った。

「冗談だよ。前の街のこととか、少しでも罪が軽くなるよう、働きかけてくれたんでしょ?」

バイオレットの読みは当たっているが、俺は頷くことさえできなかった。

彼女が暗殺者稼業に身を置いていたからこそ、救われた命も多々ある。もし、あの温泉街での依頼が彼女以外の手に渡っていたら、どれだけ悲惨な末路になったことか。今回の一件も、バイオレットがいたから、事前に様々な対策を立てられた。

ムラサキを守れたのは、彼女のお陰と言っても良い。

しかし、それでも、結局彼女が暗殺者であることに変わりはなく、その行動はどれだけ言い繕っても正当化出来はしない。

俯き、言葉を止めた俺を一度見て、バイオッレットは言葉を続ける。

「ムラサキの一件での情報提供と、さらに色々と情報提供することを引き換えに、少しだけ減刑されるらしいけど」

「そうか。なるべく早く出れるといいな」

そんな言葉しか、俺は吐けなかった。

俺が沈黙を続けていると、バイオレットは再度、かすかに笑った。

「なんだかんだ言ったけど、ありがとね。お陰で、もう逃げなくて済む」

俺の中にある罪悪感を感じ取ってか、あるいは本音か。バイオレットはそう言ってくれた。

「こちらこそ、色々助かった。帝都にくる機会があれば、また、会いに来る」

「いいよ、別に。ロイドがこなくても妹が、イリスが来てくれるから」

そう言い、意地悪に笑ったバイオレットの顔は、俺の勘違いでさえなければ、心なしか幸せそうに映った。重荷から解放されたように感じた。

それからもう少し帝国軍の基地で、俺なりの抵抗を見せたのち、賑わう帝都の街に出た。

剣の名家の屋敷にて。今、事件に携わったと思われる獣人らが、帝国軍の兵士らによる聴取が行われていた。獣王祭開催中ではあるが、ここの住人は子供を含め、一切の外出を禁じられている。

中には不満をこぼす子供もいたが、あれだけのことを起こした剣の名家の一員。万が一を考慮し、そんな子供の思いさえ、帝国軍は一蹴する。

可哀想ではあるが、妥当な判断だ。

この家に住まう獣人は、大抵、そこらの兵士より強い。しかし、それでも、彼らは帝国軍の兵士を前に何もできずにいた。

素直に、とまではいかないが、少なくとも大人しくはしている。

それは兵士の背後に、スミレがいるからだった。この家の獣人は過去に、幼きムラサキを毒牙にかけようとし、スミレの怒りを食らっている。

故に知っている。頭のみならず、体が理解しているのだ。

あの女には勝てない、と。

剣の名家に関する本格的な調査は獣王祭が片付いてからになるだろう。

スミレは変わるであろう剣の名家の未来を想像しながら、遠くを見つめる。

(ロイド……あれがマーリンの息子、か)

昨日の口径が脳裏によぎる。

スミレも娘がいる身であり、ムラサキを自慢の娘だと思っている。それこそ、どの家の息子、娘にも負けないくらい、立派な娘だろうと。

実際、若くして五隊長になる実力。

国民、帝国軍の兵士共に、慕われており人望も厚い。彼女を煙たがるコミュニティがあるとすれば、それこそこの剣の名家くらいだろう。あとは暗殺者ギルドか。

だが、そんな最愛にして自慢の娘であるムラサキとは違う何かを、スミレはロイドに見出していた。

(認めたくねぇけど、リリィ……あんたがいう通り、大したやつだったよ。イリスに、ロイドを頼るよう伝えて正解だった)

今頃、帝都のどこかにいるであろう金髪の旧友を思い浮かべながら、スミレは内心、そう呟くのだった。

獣王祭五日目の晩。

俺はバイオレット関連で少し仕事を終えた後、祭りを楽しむユイたちと合流した。

獣王祭で盛り上がる中、俺たちはとある居酒屋の一角を予約し、そこで集まった。と言っても、俺以外はずっと一緒に行動していたようだが。

「どう、肩の荷は降りた?」

「どうなんだろうな……分からない。これで良かったのか、解決と言えるのか」

そんな悩みに、ダッガスは答える。

「生きていればそんなことはよくある事だ。間違うこともある、後悔することもある。煮え切らない結末だってありふれている。ただ、過去は過去だ。変えることはできない。俺たちにできるのは、それらを糧に、それでも立ち止まらずに、前に進み続けることだけだ」

その言葉に含まれる重みが、少しだけ肩の荷を軽くしてくれた気がした。

「ま、嫌なことは飲んで忘れましょう!」

そしてユイの空気を読まない言葉が、すべての重さを吹っ飛ばすのだった。

獣王祭の最中は比較的遅くまで店を開けていることが多く、この店も普段より遅くまで開いている。

客で賑わうことも想定のうちだったはずだ。

とは言え、流石に今話題の冒険者が来るとは思っていなかったのか、店員は面食らっていた様子だったが。

今、帝都で話題沸騰中のユイ一行……そう、有名になったのはユイだけではなかった。

会場にいた暗殺者らを一掃し、大勢を守った魔法使いシリカ。

弓将と共に、帝都に潜むクラウンの手下から人質を守った弓の名手クロス。

二人の活躍は、瞬く間に広がった。

唯一、ひっそりと仕事をこなしたダッガスだけが、話題になっていなかったが、当人がそれを気にしている様子はない。

むしろ、シリカは話題になったことに恥ずかしさを覚えている。

ダッガスはそうなるのを好ましく思わなかったから、話題にならずともなんとも思っていないのかもしれない。

各々、流れるように席に着くと、早速飲み物と軽いつまみを注文する。

するとすぐに、各々が頼んだ飲み物が並べられた。

ちなみに、相変わらず俺とシリカはジュースである。

「なんだか懐かしいわね。確か、ロイドを迎え入れた時もこんな感じだったっけ」

「そうだったな」

コップに注がれたジュースに視線を落とす。

水面にうっすらと映る俺の顔は、心なしかあの時よりか、成長しているような気がした。どことなく雰囲気の違いのようなものを感じるのだが。

ふむ……老けたのだろうか?

「何、ロイドもこっちにする?」

ユイがジョッキを手にしながら、ニヤニヤと笑っている。

今なら問題なく飲めるだろうかと、そんな好奇心が湧き上がるも、俺は首を横に振るった。

「いや、まだこれがいい」

そう言いながら、俺は葡萄のジュースの注がれたコップを手に取った。それに続くように、ダッガス、クロス、シリカも各々の飲み物を手に取った。

五つのコップが机の中央付近に集まる。

「それじゃ、」

「「かんぱーい!!」」

五人の明るい声が居酒屋に重なって響いた。