軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

最後の欠片の在処

六つ目の欠片を手に入れてから、一週間が経った。

海域の探索は順調に進み、孤島周辺の島々はほぼ踏破した。全エリア踏破率は──98.4%。

残りの1.6%は、まだ行っていない場所。羅針盤が指す方角──地下。深い、深い地下。

始まりの町に戻って、グランに報告した。

「六つ揃ったか? 残りは一つだな、お前さんよ」

「七つ目は地下にある。だが……どの地下か分からない。BCOには、地下エリアがいくつもある」

「最後の欠片は、他の欠片とは違う。お前さんの足で見つけるのではなく──お前さんが歩いてきた全ての場所が、教えてくれる」

グランが壁の地図を示した。六つの欠片を入手した場所に──光の点が浮かんでいる。銀月の草原、霧底の森、天蓋の遺跡、翡翠の密林、星砂の廃都、深海の珊瑚宮。

六つの光の点を線で結ぶと──六芒星の形になった。

「六芒星の中心を見ろ」

中心は──始まりの町・リベルタの真下だった。

「七つ目の欠片は、この町の地下にある。お前さんが二年間、帰ってきた場所の──真下に」

始まりの町の地下。BCOの最初の場所の、さらに下に──最後の欠片が眠っている。

「どうやって行く」

「町の地下に入る方法は一つだけだ。──町の全NPCから、許可を得ること」

全NPCの許可。始まりの町のNPCは──全員、トワとの友好度がMAXだ。

二年間話しかけ続けた努力の賜物。

「全員と話してくればいいのか」

「ああ。全員に──『地下に行きたい』と伝えろ。友好度がMAXのお前さんなら、全員が許可をくれるだろう」

始まりの町のNPCは四十七人。全員に話しかけて回る。

武器屋。道具屋。酒場のマスター。宿屋の主人。鍛冶屋。図書館の司書。教会の司祭。孤児院の院長。畑の農夫。花屋の少女──

一人一人に話しかけた。全員が、快く許可をくれた。

「トワか! 地下に行くのか! 気をつけてな!」

「トワさん、応援してますよ!」

「あんたなら大丈夫さ。──行っておいで」

四十七人目。最後のNPC。──酒場のマスター。

「トワ……お前がこの町に来た日のことを、覚えているか?」

「覚えている。二年前の初日だ」

「その日から、お前は毎回この町に帰ってきた。消耗品を買い、装備を修理し、俺たちに話しかけてくれた。──二年間、一日も欠かさず」

NPC。プログラムされた存在のはずだ。

それにもかかわらず、彼の言葉は不思議と温かく感じた。

「行ってこい、トワ。この町の下に何があるか──お前が見届けてくれ」

【始まりの町の全NPC(47/47)から許可を取得しました】

【始まりの町の地下への入口が解放されました】

酒場の地下室の奥に──階段が現れた。下に続く、長い階段。

セレスとハルが横にいた。

「トワ。いく?」

「行く」

「ハルも、いく?」

ハルが緊張した顔でうなずいた。

「い、行きます! 師匠と一緒なら、どこでも!」

「師匠では──」

「「ない、でしょ? 知ってる!」」

セレスとハルが同時に言った。冬夜は口を閉じた。

三人で、階段を降り始めた。

始まりの町の──その下へ。

旅の始まりの場所の、さらに奥へ。