軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【四つの戦場】

ソルシア全域に展開された封印の兵は──想像以上だった。

各エリアに百体以上。全て光属性。聖騎士、弓兵、魔導士、槍兵──バリエーションが豊富で、連携して動く。個体のレベルはLv90前後。単体なら上級プレイヤーで対処できるが、数が多い。

南部──レナ&カイン

「多いな」カインが短剣を抜いた。

「多いけど──〈深紅の牙〉を舐めないでほしいな!」

レナが剣を構えて突撃した。ここでギルド対抗戦で鍛えた連携が活きる。レナが前衛で敵を引きつけ、カインが影から急所を突く。リゼの魔法が範囲攻撃で複数体を巻き込み、マルクの回復が前衛を支える。

しかし、いくら倒しても──光の粒子が集まり、再生する。

「再生する!? 倒したのに!」

「封印が生きている限り、兵は何度でも復活するらしいぞ」カインが舌打ちした。「つまり──トワが中央の楔を抜くまで、俺たちは永遠に戦い続けるしかない」

「上等!」レナが笑った。「トワさんが楔を抜くまで──一歩も通さない!」

東部──ミコト

『東部の状況を実況します! 封印の兵が百三十五体! 〈聖銀の盾〉東部隊と共同で防衛中です! ──視聴者数、八百万を超えました!!』

ミコトは配信しながら弓を射っていた。【鷹の目】で敵の位置を把握し、ただの配信者でないことを、正確無比な速射で見せつけていく。伊達に配信者をやっていない、情報共有は得意だ。【鷹の目】で得た情報は、間髪入れずにチャット欄に打ち込んだ。

「ミコトさんの配信が作戦指示になってるぞ!」

「配信見ながら戦うの新しすぎる!」

『三時方向に弓兵二体! 盾部隊、前に出てください! ──はい、そこです! 今!!』

配信者の実況が、そのまま戦場の指揮になる。ミコトにしかできない戦い方。

北部──ハル&ヴェノム

「旅人の集い、全員配置完了! 浄化薬の散布準備できてます!」

ハルの合図で、二十人の旅人たちが、北部の雪原に散開している。

全員Lv1だが、ハルの指揮によって、類を見ない連携力を発揮していた。

「ヴェノムさん! 三体、左から来ます!」

「わかった、ここは俺に任せろ!」

ヴェノムが影の短剣で光の兵士に斬りかかった。元Lv86の盗賊のプレイヤースキルは、たとえLv1だろうが旅人クラスになっても健在だ。影属性の短剣が、光の鎧を切り裂く。

「旅人の集い、地形安定化開始! 浄化薬を散布して、戦闘エリアの【侵蝕】を抑えて!」

旅人たちが動く。ジャガーノート戦で根を斬り、裏世界で記憶断片を集め、病んだ地形を治してきた旅人たち。──戦闘力はないが、戦場を整える力がある。脇役魂は、誰にも負けていない。

「ハル、お前──立派な指揮官だな」

ヴェノムが光の兵士を蹴り飛ばしながら言った。

「師匠に教わりました!」

「トワか……あいつの弟子は、どうしてこうも真っ直ぐなんだよ」

「弟子じゃないです、仲間です! ──でも、たまに師匠って呼んじゃいます!」

「クソ、こんな時にのろけんじゃねえ……!」

「のろけてません、事実を――」

「言っているだけ、ってか? ったく、どこまでも師匠に似てきてやがるぜ……!」

西部──ソラ&バルト

「風よ!」

ソラの風魔法が、光の兵士の隊列を吹き飛ばした。西部はアストレアの祈りで侵蝕が消えたばかり。

しかし、再び光の兵士が現れ、蘇った大地を蹂躙している。

「ここは……俺が、守る」

バルトが大盾を構えた。〈深紅の牙〉のギルドマスター。Lv90の重戦士。

「トワに任されたんだ。──死んでも、通さん!!」

各ギルドの有志──剣士、魔法使い、僧侶、弓使い。旅人以外のプレイヤーも、ソルシアを守るために集まっていた。

中央へ──トワ、セレス、ゼクス、アストレア、タマキ

五人は、ソルシア中央区画に向かって走っていた。

道中にも光の兵士がいる。だが、五人の前に立ちはだかるには、格が足りなかった。

トワの影銀の剣が光の騎士を両断する。ゼクスが影の中から槍兵の首を刈る。アストレアの聖剣が弓兵を薙ぎ払う。

三人が前衛で道を切り開き、タマキが回復を飛ばし、セレスが月光で影を守る。

もちろん中央に近づくほど、光が強くなる。空気が白くなる。影が薄くなる。

「影が──消えかけている」

ゼクスの影潜りが不安定になっていた時、セレスが【覚醒形態】になった。

「【銀月の揺り籠】全力展開。──ゼクス、わたしの月光の範囲から出ないで」

「了解した!」

セレスの月光が五人を包む銀色の繭になる。白い光の中に、銀色の安全地帯。

中央区画に突入した。