軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第四百十三話 恋する三人の乙女

「前菜にまずは下の毛をツルツルに剃った状態で童貞をよこすのじゃァァァァァァ!! 一発ヤッた後は互いの尻の穴を――――」

「言わせるかァァァァ!! 大魔ソニックフリッカーッ!!」

狂乱ノジャ。容姿が幼女だろうと容赦は無用。

近づけさせないためのフリッカー衝撃波でしばいてやる。

だが……

「そんなもんいらんのじゃァ! いるのは貴様の肉体と心含めて全部なのじゃァァ!!」

「ッ!?」

ノジャは狂いながらも足を止めず、しかし的確な全身の揺さぶりで俺のフリッカーの全てを回避する。

当たらない。これは……

『ノジャの野生の勘だ!』

勘? そんなもので俺のフリッカーを全部回避するか?

なら、回避の隙間も与えねえぐらい、もっとギアを上げる。

「うるあァァァアアア!!」

ブレイクスルー状態での全力全速のフリッカーの連発。

避ける隙間なんて与な……

「いらんというとるのじゃァァァあ!」

もう、避けるのも面倒と思ったのか、ノジャはまっすぐ突き進み、自身の九つの尾を振り回して俺のフリッカーを全て弾いた。

「こ、こいつ……」

違う。やはり、洗脳状態の時とはプレッシャーや動きのメチャクチャさがまるで違う。

「あっ、ちょ、ケース先輩!」

「おい、そこの人間ッ!」

そして、そのとき「敵を倒すための人形」と化していたミカドの側近だった二人が……

「脅威、排除スル」

「滅スル」

この場でノジャが一番ヤバイと思ったのか、戦っていたシノブとラルウァイフを放棄してノジャに襲い掛かり……

「侵略すること炎のごとしッ!!」

「「ッッ!?」」

束ねた九つの尾を巨大なハンマーのように地面に振り下ろす。

それだけで、ギガ級の魔法でも放ったかのような爆発と、地割れと地揺れ、さらには衝撃波がこの場にあるものすべてを吹き飛ばそうとする。

その余波で強化状態だったオーガたちも一斉にふっとび……

「ケース先輩ッ! アシスト先輩!?」

「な、なんと、あの二人が……ノジャのやつ……」

「おいおい、これシャレにならないんじゃない!?」

洗脳されているとはいえ、相当な手練れだったはずの二人をも一撃で彼方まで吹っ飛ばすノジャ。

そのメチャクチャぶりに、吹っ飛ばされた二人と同じジャポーネ人でもあるシノブ、ミカド、コジローは顔を青くしている。

「ぬわはははははは! 婿ぉおおおおお、まずは一本咥―――」

ヤバイ。発情した獣が両手両足を大きく広げた状態で飛び掛かってきやがった。

なら、思いっきりカウンターを――――

「ここだ! 大魔スマッシュッッ!!」

アッパー気味に突き上げる渾身のスマッシュ。

当たる……というか……

「ギラン☆」

「ッ?!」

その瞬間、ノジャの目が光り、ノジャは体を反転させる。

体をねじって俺のパンチを回避? 違う。

ノジャは態勢を変え、まるでヒップドロップするかのように、尻を俺の拳に……

「おっほぉぉおおおおおおおおおん♥♥♥」

「いっ!?」

バコンと殴った衝撃音がする一方で、ぷにっという感触が右拳に残る。

ノジャの小さなプルンとした尻を……メチャクチャ手応えありの勢いで……

「よ、幼女のケツを殴っちまった!?」

いや、何百歳も年上だし別に攻撃だからいいんだけども……というか、今、ノジャは自分から尻を突き出してこなかったか?

「ぉ、おおおお、んおぉ、おぉおおお、おほぉおおお♥ おほ♥ ほぉ♥ ほぉ♥」

そして、俺に殴られたノジャはそのまま地べたをケツ抑えながら悶え暴れる。おかしな奇声を上げ、目はトロンとして、頬を赤く染め、涙と涎を垂らして、しかも笑顔。

「ぬふぅ……良いのじゃ♥」

「え、えぇ?」

「しかし、これでは不十分なのじゃ……まだまだあのときのズボリュンヌには程遠いのじゃ♪」

寒気がしてゾッとしてしまった。

ヤバイ……いや、ヤバいのは知ってたけど、こいつはなんか本当にヤバイ中のヤバイ奴だ……

「もっとなのじゃ……もっと、もっとわらわの人生変えた一撃を放つのじゃァァ! 心満ちるまで吟味するのじゃァ!」

「うおっ!?」

再び飛び掛かってくるノジャ。

またもや、攻撃して来いと言わんばかりの全身投げだす隙だらけな状態だ。

だけど、殴りたくない。しかしこのままでは……

「させない! お兄ちゃんにエッチなことはまだ早いんだから! ふわふわ乱キック!」

「ぬぶあ!?」

「お兄さんの教育に悪い妖怪は立ち去れッ! 造鉄魔法! 鉄閃乱舞ッ!! 」

「ほびゃっ!?」

と、その時だった。

俺の貞操は絶対守りぬくという強い意志と瞳でノジャに強烈な攻撃をぶち込んだ、エスピとスレイヤ。

気流を纏った蹴りと、鉄棒で滅多打ち。

ノジャを地べたに叩きつけた。

「エスピ! スレイヤ!」

「お兄ちゃんは下がって!」

「安心して、お兄さん。お兄さんの初めては好きな人のために……ここはボクたちが絶対に守る!」

なんか、俺をどこかのヒロインやお姫様扱いにしているような感じで、俺の前に立つ二人。

すると、そんな二人の前に這いつくばらされたノジャはゆっくりと立ち上がり……

「ヲイ……二人とも……」

ッ!? ゾクっとするプレッシャー。威圧感。重い空気。

間違いない。

かつて味わったあのバケモノ……

「約束ヲ放棄するか? ヲイ、お゛い゛? どういうことなのじゃ? エスピよ……」

「ノジャ……」

「貴様らが再会するまで……それまでは手を出すな……ナゼその言いつけを守ったわらわの邪魔をするのじゃ? オ? コラ?」

俺の意思が一切無い約束とはいえ、一応は律義に守ったノジャ。

それなのに約束を破るのかと、エスピとスレイヤを睨む。

すると、エスピは……

「お兄ちゃんが好きなら、力ずくじゃなくて、ちゃんと惚れさせなよ。私たちが再会した後に解禁なのは、お兄ちゃんへの女の子としてのアプローチ」

「……あん?」

「そう、いきなり変態エッチなことじゃなくて……交換日記から始めなさいッ!」

と、仁王立ちしながら大声でノジャに告げるエスピ。

なんというか、俺のことを思っての言葉が伝わってくる。

だけど……

「ああん? 股間日記? 交姦日記? どっちにしろ、最後は契るのじゃ! 最初に契って何が悪いのじゃァァァ!!」

「日記だよ日記! お互いの趣味とか、好きな食べ物とか、そういう……」

「そんなもん体で教えてやるのじゃァ! 拒否るなら、犯してしまおう、男の子!」

ノジャにはまったく伝わってなかった。

ダメだこりゃ……

「な、なぁ、こいつをもう一回洗脳状態にできたりしないか?」

「そうだね、お兄さん……ボクもそう思っているよ……」

とりあえず、落ち着いて話し合いなんてものはまったく通じそうにないので、ミカドの時と同様に三人がかりでこのバケモノを―――

「あらあら……師匠の盟友という話を聞いていたから、どんな大物かと思ったら、意外とつまらない伝説の住人さんなようね」

「……あ゛?」

「「「…………え??」」」

そのとき、明らかに見下したような口調でノジャに物申すのは……

「ヲイ……黒髪小娘……今のは貴様か?」

「ええ。言わせてもらったわ」

……シノブだった。

「し、し、シノブうぅぅううううう!?」

「ちょ、何やってるの、シノブちゃん! 下がって! お兄ちゃんのお嫁さん候補なんだから危ないよ!」

「というか、君が今ある意味でお兄さんの次に危ないんだから!」

まさかここで、シノブがそんなことをノジャに言うなんて思ってもいなかった。

六覇相手にあんな口の利き方して、殺されるぞ?

俺たち三人は慌ててシノブを守るように駆け寄った。

「ハニーもエスピさんもスレイヤさんも……ミカド様とあれほどの伝説と言ってもいい戦いを繰り広げた後に、これはあまりにも蛇足。少なくとも私はそう思うわ」

だが、シノブは構うことなく……

「遥か昔に亡くなった愛する人を想って人間と戦うことをやめ……愛する人が眠る墓を何百年も守り続けている……大きな器でありながら、そんないじらしいぐらいの一途な愛を貫く師匠の盟友だって聞いていたのだけどね」

「……ん? 盟友……墓を……ん? ……あ……それはもしや……」

「同じ男に惚れている者同士で共感するところもあると思っていたけれど……何だか負ける気はしないわ。たとえ戦闘能力はあなたの方が上だとしてもね」

空気が少し変わった?

てっきり生意気なことを言ったシノブを殺しにかかると思っていたのに、そうではなかった。

なんか、ノジャはシノブの言葉に耳を傾け……

「……くんくん……くんくん……ぬぅ……」

っていうか、耳どころか鼻までクンクンさせて……

「ぬぅ……わずかに匂う……バサラの匂いなのじゃ……貴様……バサラの弟子なのじゃ?」

「ええ。そうよ。そんなに長くは……だけどね……でも、私の肩書は『弟子』じゃない。ただの恋する乙女よ。片思いのね」

なんか、ノジャが少し大人しくなった? え? っていうか、ノジャってバサラの盟友だったの?

『……まぁ、飲み友達だったな……余の居ないときも二人はサシで飲んでいた……バサラも六覇の連中をあまり好いてはいなかったが、ノジャとは気が合ったようだ』

知らなかった。でも、何だかシノブがバサラの弟子っていうのが結構意味があったのか、ノジャは少し神妙な表情。

さらに……

「シノブの言う通りですね……大将軍」

「ぬっ、ラル……」

「相手の気持ちを考えない……相手の想いに寄り添わない愛など……それではあなた様が本当に欲しいものは手に入りません」

恋するダークエルフであるラルウァイフまで諭しに入った。

なんか、意外な展開になってしまった。

オーガたちもすでに全滅してるし……

「メガファイヤ。メガサンダー。メガトルネード」

「燕返し三連撃ッ!! ……って、なんでみんな落ち着いてるじゃない? いや、なんでオイラしか戦ってないの!? そしてオイラそっちの状況も気になるじゃない!」

気づけばこの場で戦ってるのはコジローとベンおじさんだけという事態になってしまった。