軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第三百九十一話 馴れ初めと経緯

「では、改めて……」

「面を外させてもらいますえ」

コジローたちが連れた他の忍者たちは手当と休養にあたり、コジローとオウテイとカゲロウだけは族長の家に集まって話をすることになった。

ずっと顔を覆っていた覆面を外し、素顔を見せるオウテイとカゲロウ……ん?

「ん?」

その顔は……

「ん? どうしたでござる?」

オウテイ……似てる……『あいつ』の兄貴に……

「ウチらの顔に何かついとるん? それとも見惚れとるん? 残念。さっきも言うたけど、ウチはこの人の妻やえ♪」

カゲロウ……美しい黒髪の女……『あいつ』がもっと大人になったらこんな……

「でさ、さっきの話だけど、そのオウテイさん……今のジャポーネの国王のウマシカの弟ってことでいいんだよね? なんか、駆け落ちしたとかなんとか噂の」

俺が二人の素顔に呆然としている間に、エスピが確認を込めて尋ねた。

その話を、俺、スレイヤ、ラルウァイフ、族長、さらに……

「あ、ノジャちゃん。アース様たちは今とっても大事な話してるからシーだよ?」

「うぐるるるるる! がる!」

「きゃっ、もう暴れないで……あっ、おかしあげる。パイパイ、美味しいよ?」

「う~?」

俺から離れると暴れようとするノジャと、それをあやすアミクスが部屋の隅に居た。

そんなメンツの中、エスピの問いに対してオウテイは突如キリッとした面構えでその場で頷き……

「いかにも。某の旧姓はオウテイ・ジャポーネ。先代王である父、メイクン・ジャポーネの第二子にして元第二王子であった」

その瞬間、外で会った時とは違う、威厳に満ち、全身からオーラ漂う雰囲気が溢れ出たように感じた。

どうやら、本物のようだな。

「ふ~ん。で、駆け落ちしたって聞いてたけど、それって別に行方をくらませてたとかそういうことじゃなくて……」

「うむ。二十年ほど前まで、こちらのカゲロウ……長らく王家に仕えていた伝統ある名門忍者の家系の者で、某の側仕えでもあったが、某はある日カゲロウに攫わ……逆レ……いや、押し倒さ…………………愛し合う仲となり、カゲロウは子を身籠った」

なんだ!? なんか今、オウテイが何かを言うたびに隣のカゲロウがかなり怖い笑顔で「んふふ~」と笑って……なんかちょっとサディスみてーだな……

「いかに側仕えとはいえ、ジャポーネでも有数の名家の次期頭首を孕まさせら……子作りしたこと……それに拙者は第二王子で次期国王が兄者に決まっていたこともあり、当時の国王であった父は某に……『王族じゃなくて男としての責任取って来い! 次期頭首であるカゲロウが嫁に来れないなら、お前が婿になって来い! 王家から追放じゃー』……みたいな……その……ノリで、某は王家から出され、婿養子としてカゲロウと結婚することになったでござる」

何だかとんでもない話を苦笑い浮かべながら語るオウテイ。

確かに飛んでもねえ話だ。

仮にも王子相手に父である国王が、そんなメチャクチャなノリで息子を追放して……なんというか、いいのか?

『ふっ……そんなことがあったとはな……メイクンらしいな……』

だけど、そんな話をトレイナは納得したのか、何だか笑ってる。

当時のジャポーネの王って、そんな奴だったのか。

「うふふふ、そうしてウチはこの人と結ばれて、息子と娘を生んで幸せになりましたとさ。めでたしめでたしや~……やったんやけど……はぁ~」

オウテイの隣で照れ笑い浮かべてニコニコするカゲロウ……が、すぐに溜息吐いて頭を抱えた。

「ほんで、その息子と娘は生意気なこと言うて世界を回るだ何だと放浪……一方でウチらはどんどん情勢が悪化するジャポーネでついには現国王から命を狙われることに……ヨヨヨ」

まず、問題はそこなんだ。

オウテイとカゲロウの馴れ初めは分かった。

問題なのは、何でその二人が国王であり、しかも実の兄に狙われているのか。

だが、それは至極簡単な理由だった。

ん? 忍者の家で、息子と娘が放浪……ん? ……ん?

「国王となった兄者……ウマシカは欲と権力に溺れて、重税をかけては国民を苦しめ、その収穫をも私事につぎこんでやりたい放題だったでござる」

「流石にオイラたちも見過ごせなくて、ミカドのジーさんも窘めて緩和しようとしていたんだが……その暴走は止められなかった。予算の割り振りも圧迫され、軍備縮小……戦士たちもどんどんと国を離れ……特に忍者戦士たちには不遇な扱いをしてしまったじゃない」

「せやな。ウチらの息子と娘も、そんな現状や今の王族や国に仕えたくないという思いもあって国から出て行ったんよ……まぁ、世界を見て回るのも経験になる思ってウチらも止めへんかったけどな」

「だが、やがて一部の戦士や国民たちの我慢も限界に達して……その……反乱が起こったでござる」

「そして、反乱を起こす者たちの間で、ウマシカ国王を引きずりおろして、何だかんだで国民からの人気もあったオウテイの旦那に新たな王にという話が持ち上がったというわけじゃない」

「で、その話を耳にしたウマシカ国王が……」

なるほど。大体の話が分かって、俺たちはある程度納得できた。

つまり……

「ん~……つまりバカ王に怒った国民がオウテイさんを新しい国王にしろーってなって、それを怒ったバカ王がそんなことさせるか~ってなって、実の弟を殺そうと……んで、ミカドのおじーちゃんと、コジローは……」

「ああ。それを止めようとしたミカドのジーさんとオイラはクビに……しかも、前々からミカドのジーさんを嫌ってた国王はジーさんを牢にぶち込んだ……んで、オイラはその時ジーさんに、オウテイの旦那を守るように言われたじゃない。別に旦那を王にしようってことじゃなくて、もし旦那が死んだら全国民が止まらなくなる……ってことで」

エスピがだいぶボロクソに言ったが、話の筋としてはそんなところで、コジローも苦笑しながら頷いた。

たしかに、俺でも「バカ王」って思うぐらいにヒドイ奴らしいな。

そういうことで、オウテイが狙われて逃げてたってのは分かった。

でも、まだそれだけだと半分だ。

「で……それであなたたちが国王の命令で戦士たちに追われていたのは分かったが……シテナイ……お兄さんとエスピから聞いた話では、シテナイ・ボクメイツと名乗ったらしいが、その男と組織が何でその問題にも絡んでいるんだい? しかも、そのタイミングで帝国と魔族の調査団まで襲われて……」

そう、まだ分からないのは今スレイヤが尋ねたのがまさにそうだった。

何でそんな組織が絡み、しかもベンおじさんやノジャまで?

だが、それについてはコジローも少し困った表情を浮かべて……

「正直、調査団が襲われたことまではオイラたちも予想外だったじゃない。でも、シテナイの組織が前々からジャポーネ王国に入り込んでいたのは事実。元々は、ジャポーネの『オサナスキ』という大名が個別に付き合ってたんだが……まぁ、そのオサナスキも最近不慮の事故で亡くなったんだが、そのオサナスキが懇意にしていた少女が、現在ウマシカ国王に寵愛されて室に迎えられるようになり……そしてその少女の紹介もあって国王はシテナイの組織と私的な取引をするようになったじゃない」

と、コジローがそんな話をすると、少しオウテイとカゲロウの眉がピクっと動いて少しだけ悲しそうな表情を浮かべたような気がした。

すると……

「その少女はまだ……アース・ラガン君……君と変わらない年齢……そして、その少女は……某の娘の友人でもあった……」

そう言って唇を噛み締めるオウテイ。

俺と変わらない年齢? 王の寵愛? 室? 室って、アレな意味だよな? オウテイは見たところ三十代後半とかか? それの兄。で、俺と変わらないぐらいの年齢の女を?

なんか、気持ち悪くなる話だな……

『童。それよりも、そのオウテイの娘についてだが……』

あっ、そうだった。トレイナの言う通り、確かめなきゃいけない。

「なぁ、オウテイ……さん。あんたのその娘なんだけど……名前はひょっとして――――」