軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第三百二十九話 幕間(超能力少女)

邪魔したらダメって言われたけど、何度も我慢できなくなりそうになったけど、でも気づいたら私もお兄ちゃんのことを見てるだけしかできなかった。

あのオーガの攻撃に頭でゴツンってして、それを最後までお兄ちゃんは続けた。

お兄ちゃんがそこまでやったのは、私もスレイヤ君も知らないお兄ちゃんのオーガのお友達が関係してるって言ってた。

お兄ちゃんならオーガのお友達がいるっていうのもほんとうかもしれない。でも、それならそのお友達、うらやましいな。

お兄ちゃんにあそこまでしてもらえるぐらい、お兄ちゃんはそのお友達のこと大好きってことだから。

「つぅ……もう、右膝……動かないーべさ……」

「隊長、しっかり! ですが……ついにあのイカれた人間は動かなくなりました! あと、俺たちで……エルフどもを!」

「……やめるーべさ」

「……え?」

「これ以上……これ以上ないぐらいオラも色んな誇りとか穢したが……これ以上の恥は耐え切れないーべさ……」

「た、隊長?」

「オラの負け……だーべさ。ここは撤退だーべさ……まぁ、それもできない可能性高いーべさ……」

お兄ちゃんは寝てるけど、他のオーガたちがなんかやろうとしていた。

私とスレイヤ君はもし何かあったら……と思ったけど、あの青いオーガが止めた。

もしこのまま逃げるんなら、私たちはべつに……ううん……それもダメ……

「族長、今がチャンスです! 敵の数も減り、部隊長もあの様子。一斉攻撃です!」

そのとき、族長さんに他のエルフたちが武器を持ってコソコソ話をしている。

「あなた、いずれにせよこの集落はもう魔王軍にバレたわ。ここであいつらを逃がしたら……次はもっと……」

「だよね……分かってる……」

うん……そういうことだよね。お兄ちゃんはどう思うか分からないけど、よくある話。

撤退している軍を後ろから殲滅……私も連合軍にいたときは何度もあった。

族長さんやイーテェさんや、他のエルフたちも、これからのことを考えたらそうなるよね。

「お嬢……すまないーべさ……」

「アオニー……なあ……まさか……アカは―――」

そのとき、青いオーガも全部分かっているみたいで、諦めたように笑ってる。

そして、捕虜のダークエルフに一回謝った。

それを見て、ダークエルフも…………

「ッ!? え?」

なに? 急に……ぶわって、寒い……!

「な、に? ……エスピ! これは……」

「う、うん」

スレイヤ君も気づいたみたい。

なに? 急にすごく寒くなった?

なにかくる? なにかくる! こわい? こわい!

「……はぁ……」

「あなた?」

「……困ったなぁ……次はもっと強いのが来るかもしれないどころか……ちょっと異次元すぎでしょ……」

族長さんも苦笑いして、何かが来る方を見てる。

「ぬっ、こ、これは……まさか!」

「な……なん……だ……この強烈なプレッシャーは……」

青いオーガもダークエルフも気づいてる。

何かが……

「ッ、ドラゴン、そこから逃げろおお!」

そのとき、族長さんがいきなり叫んで……

「ガ? ガヒュ――――」

「「「「「ッッ!!??」」」」」

五匹居た火竜の内の一匹の頭が無くなっちゃって……

「……ぺっ……小腹が空いたが……あまりうまくはないな……火を噴く能力など吾輩は既に持っているし、血肉も必要ない……」

そして、そのとき突然現れた誰かが、火竜の首を持って……た、食べ? でも、すぐにペッてして、首をその辺に放り捨てて……

「さて、随分と……面倒なことになったようだな……アオニーよ。そして、ノジャの部下までいるとはな」

「ッ!?」

「しかし、敗北を恥じる必要はない。今回貴様らだけで行かせたのは吾輩にも落ち度がある。故に、今回の失敗も次回に活かせば免除してやろう」

あっ……

「「「「「ッッッ!!!???」」」」」

何かが……来た。

大きくて……ううん。普通の人たちよりは大きいけど、あの青いオーガとか、他のオーガたちと比べればそんなに大きくない。筋肉だって、他のオーガたちのようにムッキムキじゃないよ。

普通の人と同じぐらいの大きさ? 人間みたい。ちょっと背が高いだけで、あれぐらいなら連合軍にもっとムキムキの人もいた。

顔も……何だろう……若い人に見える。でも。人間じゃない。

頭に四本の角が生えた……長い髪も、肌も、顔も、全部が真っ白い……分かんない。わかんない。

こわい。

こわいこわいこわい!

こいつ……今まで会った誰よりも……ヒイロより……ゴウダより……

「だ……大将軍……なぜ……」

「イナイたちの依頼内容……あのあとエルフたちに関する情報を色々と聞いて、少しお前たちでは荷が重いかもしれぬと、吾輩がきたが……ふむ……予想外な者がいるな……なぁ? 小娘よ」

こっち見た!

「だ……大将軍だ……大将軍が……」

「な、なぜ、大将軍自ら……だ、だが、助かった!」

「ああ、これで……いや、でも、俺らこの状況じゃ……ま、まずいんじゃ……」

大将軍? オーガ? 大将軍? それって……ううん、今は、だめ、やらなきゃ、殺される!

「さて……エルフ……野生の竜や獣たち……人間……全員……もう後悔しないで死ねる人生を送ったか?」

「「「「「ッッッ!!!???」」」」」

「後悔あるのなら殺さず、捕えず、喰って吾輩の血肉として活かしてやろう」

あ……何で……皆……震えて座り込んじゃった……

勝てない? ううん……死んじゃ……だめ、やらなきゃ!

「ふわふわパニックッ!」

「ほぅ」

私の力で、めちゃくちゃにする!

浮遊の力でいっぱい揺すって、意識を飛ばしちゃ―――

「ふむ……サイコキネシス……魔法技術研究の中で古代人たちが偶然発見した分野か……」

「……え?」

な、なに? 弾かれた?

私の力であいつをぶん回してめちゃくちゃにしようとしたのに、私の力が見えない何かに弾き飛ばされた?

「哀れだな。物珍しい力を身に着けて生まれたがために、力もないのに七勇者に担ぎ上げられ……すぐに楽にしてやる」

「ッ!?」

なに? 白いオーガが腕を分って振り回し……ッ!?

「あ、う、あああああああああああああああ!?」

なに? すごい力! 風!? 台風!?

「吾輩を操ろうなどとせず……女児らしく人形遊びでもしていればよいものを……」

ちょっと腕を振り回しただけなのに、飛ばされちゃう!

「え、エスピッ!? な、……ちょ、あんた、子供に何を! エスピ、エスピッ!」

「なんだ、あの白いオーガは!」

「くそ、新しいオーガが……なんだ、こいつは!」

痛い……私、飛ばされちゃって、誰かの家にぶつかって、壁に穴が開いちゃって……痛い! 痛い!

「だ、大将軍……あの子供は……」

「七勇者のエスピだ。なんだ? 知らずに戦っていたのか、アオニーよ」

「え!? 七……七勇者ッ!? い、いや、オラが戦ってたのは……そこの……」

「ん? ああ、そこで転がっている……ん? そやつも……人間か? なぜ、エスピや人間がここに居るか知らぬが……とりあえず、連合軍の者か?」

あっ、ダメ! 分かんないけど、あの強い白オーガがお兄ちゃんを! だめ、お兄ちゃんには絶対に……

「シャイニングオーガバスターブレイドッ!!」

あっ……

「あ……大将軍ッ!」

スレイヤ君! やった! スレイヤ君がコッソリあの白いオーガを後ろから、大きい剣で攻撃しようとしている。

もう、避けられな―――

「…………ふむ」

「……な……に?」

うそ……

「な、っ、う……うわああああああああああああ!」

スレイヤ君の剣が白いオーガの首に当たったのに、剣の方が折れちゃった。

それに、スレイヤくんが剣を持っていた手から血がいっぱい出て、手も……ボキって音が……

「造鉄魔法……これもまた、珍しいもの……そして、貴様は確かゴウダあたりがぼやいていた、天才少年ハンターか?」

「うっ、あ、あああ……う、腕が……」

「折れたか。半端な力で吾輩に攻撃するからそうなる。吾輩の首など狙わず、少年らしく川で魚でもハントしていればよいものを」

ダメ、お兄ちゃんもスレイヤ君まで殺されちゃう。

ううん、皆が殺されちゃう。

私がやるんだ!

「う、うううううううう~~~~! ふわふわ世界ッ!!」

容赦なんてしないんだから。

「わ、なんだ、俺らの持ってる武器が!?」

「わわ、弓矢が、剣が……空に!」

「あっ、オラの金棒が……」

「ちょ、待って! 森の岩が……大木が……どんどん上空に集まっていくわ!」

武器も自然も全部まとめて叩き込んじゃうんだから!

こいつだけは普通じゃダメ。

「エスピ……ッ……今だ!」

あっ、蹲ってたスレイヤくんが、みんなが上を向いている間に、倒れてるお兄ちゃんを引っ張って……

「エスピッ!! ぼ……ボクのも! ぞ、造鉄、アンリミテッドブレイド!」

「ナイスだよ、スレイヤくん!」

スレイヤ君がお兄ちゃんを引きずりながら、一緒にいっぱいの剣を作って……うん!

「まとめて一緒に~~~!」

「ああ、やってしまえ!」

スレイヤ君が作ってくれた武器も空に集めて混ぜちゃって、とにかく大きな塊を作って、それを一気に白いオーガにぶつける。

お兄ちゃんも巻き込まない。だから、容赦なんていらない。

「潰れちゃえ! ふわふわ隕石ッ!!」

「……ふむ……」

なに? 笑ってる? なに、ヨユーのつもり? 笑ってられるのも今のうち――――

「ヒイロたちよりも遥かに劣る……所詮はベトレイアル王国が、金を積んで得られただけの七勇者の肩書か……」

……え?

「それにしても懐かしい……ゴミで作ったとはいえ、玉遊びをするのはな……少々形は歪だがな」

うそ……え?

「な、なに!? バカな……」

「あ、あんな……山みたいに大きな塊を……あ、あいつ……」

わ、私の、全力のふわふわ隕石を……片手でパシッて……

「余談だが……この世に吾輩より強者は存在する。しかしそれでも……大魔王様……冥獄竜王ですら、吾輩を滅ぼせていないのだ」

「あ……あ……う……あ……」

「その辺に落ちているゴミをかき集めてどうにかできるとでも思ったか?」

うそ……今のは……私が使える一番強い……なのに……全然へっちゃらで……

「だが、久々に吾輩も童心を思い出したことだ。気まぐれに……月に眠るカグヤに供え物でもくれてやるか」

そして、なにするの? 私のふわふわ隕石を持ったまま……え?

「ヌン!」

「「「「「な、ななな、投げたッ!!??」」」」

なげた!? あんな大きく重くした私のふわふわ隕石を、お空に向かって投げちゃった……

「……ん? ふふ……大気圏で燃え尽きたか。まぁ、よいか。ゴミが本当に月に届いてしまったら、バサラが怒って飛んでくるかもしれんしな。カグヤ……貴様の墓への供え物は、また改めてにしよう」

「あ……う……あ」

ダメ……勝てない……お……おにいちゃん……

「とりあえず、まずは……どうしてここにいるかは分からぬが、好都合。ここで始末してやろう……エスピ……そしてスレイヤとやらよ。能力はいらんが……生きたいというのなら喰ってやろう」