軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

26 冒険者活動

Cランク相当であるブラックシープの群れを討伐し、私は早速、魔物の解体をしようとしていたのだが、レベッカさんに止められた。

「クララ嬢、少し話さないか?それと他の者は解体の練習だと思って、各自やってみてくれ」

一体何を言われるのかと少し不安になった。特にミスらしいミスもしていないし、戦闘もほぼ完璧だったと思う。

「多分これから一番苦労するのは、クララ嬢だと思ってな・・・少し戦術の基本でも指導してやろうと思ったのだ」

「そ、そうですか?それではお願いします」

レベッカさんから指導を受ける。

冒険者パーティーには、大まかに個人個人の役割があるそうだ。このパーティーでいうと、ゴンザレスは敵を正面から受け止めて、味方を攻撃から防ぐタンクという役割だ。エスカトーレ様は魔法攻撃に特化したメインアタッカー、レニーナ様は弓をメインにしたサブアタッカーだという。

「ゴンザレスは不器用だが、タンクとしてはトップクラスだ。愚直な性格がタンク向きだ。そしてメインアタッカーのエスカトーレ嬢は言わずもがな、レニーナ嬢も並みのパーティーなら十分メインアタッカーとしても活躍できるだろう」

また、ミリアとネスカは役割を当てはめるなら、周囲の状況に合わせて、臨機応変に対応するバランサーという役割になる。

「ミリア嬢も思いのほか優秀だし、ネスカ殿は実力の半分も出していない気がするが、それでもこの二人がいれば、どんなパーティーに入っても、パーティー戦力の底上げになるだろう」

何の問題もないんじゃないの?むしろ、超優秀なパーティーでしょ?

そんな思いが顔に出ていたのだろう。レベッカさんに指摘される。

「このままのメンバーで活動を続けるのなら問題はないだろう。だが、このメンバーに派閥のメンバーが加わるのだろ?」

「そういうことになってます」

「だったらかなり苦労するだろう。困ったときは遠慮なく相談に来るといい」

私はレベッカさんの言葉をこのとき全く理解していなかった。それを思い知らされたのは、派閥の他のメンバーを加えて活動を始めてすぐだった。

★★★

最初に冒険者活動に参加したのは、将来騎士団や魔導士団への就職を希望する者たちだった。この者たちは、エスカトーレ様に取り入ろうという以外に別の思惑もあった。冒険者活動を定期的に続けて行けば、Dランク冒険者になれるのだ。Dランクになると騎士団や魔導士団への就職に有利で、将来の為にどうしても取得しておきたいのだという。

そのような事情だから、やる気はあるのだが・・・

「おい!!そこ!!出過ぎるな!!」

「エスカトーレ様が魔法を撃つので早く退避を!!」

「そこ!!勝手に魔法を撃たないで!!せっかく1箇所に集めたのに・・・」

いくら綿密に計画を立てたところで、言うことを聞いてくれなければ上手くいくはずがない。好き勝手動くので、怪我人が多く出るのに成果は、当初のメンバーだけの活動の3分の1だ。それなのに上から目線で指示してくる。

「おい!!そこの女二人。早く解体しておけ。戦闘で役立たずだったんだから、それぐらいやれよ!!」

私が戦闘で役立たずだったのは認めるが、ミリアはバランスを取ったり、怪我人を後方に搬送したり、何とか戦線を維持しようと必死だった。ミリアがいなければ、とっくの昔に敗走していてもおかしくはない。流石のミリアもこれにブチキレた。

「騎士爵の勘違い野郎が偉そうに!!実力がないんだから、アンタこそ、立場分かってるの?」

「なんだと生意気な!!俺の家は代々国に仕えてきた誇り高い騎士の家系だ!!女といえども容赦はせんぞ!!」

喧嘩になってしまい、数秒でミリアがノックアウトしてしまった。

当然、そこで本日の活動は中止になった。

次の日、レベッカさんに相談しようとしたら、すでに私たちに同行することが決まっていた。

「早速、ゴンザレスが泣きついてきた。話は聞いたから、ゴンザレスには助言してやった。これも奴にとっての試練だ。前衛職の者の扱いはゴンザレスに任せてくれ」

早速、本日のブリーフィングを始めたのだが、ゴンザレスが吠える。

「前衛職の者に告ぐ。指示を聞かない者は今すぐ前に出ろ!!俺が気合いを入れてやる!!」

これに3名の学生が反応した。

「何を!!親の七光りが偉そうに!!」

「そうだ!!お前は大したことないだろ?」

「戦闘でも守ってばかりじゃないか!!」

「能書きはいい。文句があるなら掛かってこい!!」

私はゴンザレスたちを止めようと動き出したが、レベッカさんに止められた。

「ゴンザレスには、殴ってでも言うことを聞かせろと言ってある。本当に殴り合いをするとは思わなかったがな・・・」

レベッカさんによると、立派な騎士になるには、戦闘力だけでなくリーダーシップも必要だと指導したそうだ。不器用で単純なゴンザレスは「殴って で(・) も(・) 言うことを聞かせろ」を変に受け止めて、「殴って言うことを聞かせろ」に変換してしまったようだ。

もめごとはというと、こちらもあっという間にゴンザレスに投げ飛ばされ、三人の学生はフルボッコになっていた。これで前衛部隊は険悪な雰囲気になると心配していたのだが、そうはならなかった。

「申し訳ありません、ゴンザレスの兄貴!!」

「兄貴についていきます!!」

「みんな!!ゴンザレスの兄貴に恥を掻かせるなよ!!」

「「「オオオー!!」」」

なぜか急にチームワークが出て来た。

「前衛職は単純な者が多いんだ。力を示してやれば言うことは聞く。これで「死んでも敵を通すな」と指示すれば、命尽きるまで体を張ってくれると思う。愚弟にしてはよくやったと褒めてやりたい」

そうだった・・・レベッカさんも脳筋タイプだった・・・・

前衛職はゴンザレスのお陰でまとまったが、魔法職は魔法職でまとめるのに苦労した。実力を見せようとエスカトーレ様が大魔法を放ったのだが、それがよくなかった。あまりの実力差に委縮してしまったのだ。自信を無くして、魔導士を止めると言い出す者もいたくらいだ。

結局、余程の相手でないかぎり、エスカトーレ様は指揮に徹するということになってしまった。メインアタッカーの攻撃が封じられた形で戦力ダウンだが、派閥のためを思うと仕方がないと割り切っていた。

何とか形にはなったのだが、苦労はまだまだ続くのであった。