軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

135 ネスカ更生プログラム ②

ネスカが帰って来た。

私がネスカを呼び戻したのは、ネスカのことが好きだからとか、可哀想になったからではない。仕事が溜まる一方だからだ。

これでは罰を受けているのは、ネスカではなく、私のほうだ。

久しぶりに会ったネスカは、やつれていて、自信を失っていた。

一応、謝罪はしてくれたが、まだ信用しきれない。

「これからの貴方の態度を見て、判断します。それと定期的にエスカトーレ様と面談をしてもらいます」

「分かったよ・・・でも僕にできるかなあ・・・」

帰って来たネスカは酷かった。

以前のような謎の自信はなく、仕事も滞っている。

「この案件は僕では、判断できないよ。クララ大臣の承認を得てくれ。それとこちらもね」

難しい判断はしなくなってしまった。

仕方なく、私が確認して、ネスカに指示を出すようになってしまう。

これじゃあ、「雑用係の雑用係」じゃないの・・・

★★★

エスカトーレ様、レニーナ様、ミリアが定期報告に来てくれた。

エスカトーレ様が言う。

「更生プログラムは正直、上手くいっていませんね・・・自信を失わせただけですし・・・クララさんから要望はありますか?」

「とりあえず、以前の状態に戻ってもらいたいです。このままでは業務に支障が出ますからね」

そこから、如何にしてネスカに自信をつけさせるかの話になった。

定期面談では、エスカトーレ様を中心にしてネスカを励まし、私はちょっとしたことでもネスカを褒めることを提案された。

「まあ、やってみますよ」

私はプログラムに従って、ネスカを褒めた。

「ネスカ、ありがとう。貴方がいてくれて助かっているわ。だから、今までみたいに憎らしいほど自信たっぷりに仕事に取り組んでほしいのよ」

「そ、そうか!!やっぱりそうなんだな。僕がやって来たことに間違いはなかったってことだね?」

間違いだらけだろ!!

と思ったが、言葉を濁した。

「すべて間違ってたわけじゃなくて・・・ちょっとした誤解が・・・」

次の日、ネスカは新婚旅行の行程表を持ってきた。

「どうだい?完璧なプランだろ?きっと楽しい旅行になるよ」

あまりの態度に私は行程表を破り捨てた。

みんなに相談する。

ミリアが言う。

「どんな思考回路をしているのよ?ゴンザレス様もそうだったけど、私たちの周りにいる男は本当に極端よね」

エスカトーレ様が提案する。

「あまり褒められた方法ではありませんが、こちらで作ったマニュアルに従って、行動してもらうのはどうでしょうか?」

レニーナ様が賛成する。

「私たちには、ダミアン様のマニュアル作成のノウハウがありますからね。いいと思います」

結局、この案は採用されることになった。

数日後、今度はエスカトーレ様たちが、相談に来た。

「もう無理です・・・クララさんには悪いのですが・・・」

エスカトーレ様によると、ネスカがマニュアルに文句を付け始めたそうだ。

あれこれと要求し、挙句の果てには・・・

「これでは、クララの気持ちは掴めません。もっと真剣に考えてください。やり直しです」

ミリアが言う。

「一体、どの口が言っているのよって感じね。質が悪い事に指摘は的を射ているのよ」

エスカトーレ様が言う。

「ダミアンであれば、素直に従ってくれるのですが・・・これならダミアンのほうが100倍楽です」

そういえばダミアン様には、事あるごとにマニュアルの作成を求められたが、マニュアル自体に文句を言われることはなかった。それにマニュアルを忠実に実行しようとしてくれていた。ある意味、やり易かったのかもしれない。

ミリアが言う。

「クララ、この際、ネスカじゃなくて、別の男にしてみたら?男はいっぱいいるわけだし・・・」

ここまでの人生を振り返って、家族以外で親しい同年代の男性は、ネスカとゴンザレスくらいしかいなかった。

レニーナ様が言う。

「クララさんであれば、立場もありますし、クララさんとの結婚を望む者は多いでしょう。ただ、ネスカさんと同じように打算だと思いますが・・・」

エスカトーレ様が言う。

「国のことを考えると、クララさんには悪いですが、ネスカさんとの結婚を望みます。クララさんが別の男と結婚なんてすれば、ネスカさんがどんな行動に出るか予想ができません。きっと悪辣なことをやってくるでしょう。でも友人としては、あまりネスカさんをお勧めできませんが・・・」

それはそうだろう。

ネスカが敵になると考えるとぞっとする。かといって、このまま結婚なんてできないし・・・

★★★

ある日、人の気も知らないネスカは、私に言ってきた。

「実は、エスカトーレ様たちが、僕のために色々と案を出してくれているんだ。きっと喜んでもらえると思うから、楽しみにしておいてくれ」

前世を含めて、私の恋愛経験はゼロだ。

でも分かる。これは普通ではないと・・・

私は心の中で呟いた。

「とりあえず、様子見ね・・・」

結局、問題を先送りしただけだけどね・・・