軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

102 救うべき同胞

次の日、魔王様に尋ねた。

「天使族ですか?竜人の里に一人居たような気はしますが・・・定かではないですね。魔人族は多くいるのですが、特に困ったことはないと思うのですが・・・」

魔人族は魔王国ブライトンには多く住んでいる。魔人族は人族に非常に近い特徴をしている。肌が少し褐色なくらいでぱっと見では人族と見分けがつかない。ネスカも人族と言っているが、魔人族と言っても特に何も言われないだろう。それくらいの存在なのだ。だから、個人的に困っている人はいるかもしれないが、種族として困っているかどうかと問われれば、困ってないというのが正しいのだろう。

となると、天使族か・・・確定ではないが、この国に一人しか住んでいないので、会うだけ会ってみるのも手かもしれない。

ネスカも同じ考えだったようだ。

「とりあえず、接触だけしてみましょう」

「分かりました。それでは私も同行しましょう。聖女様とドラゴン御一家とハイエルフの姉妹の接待はチャーチルとスターシアに任せるとしましょう」

魔王様は竜人族の特徴が出ているので、竜人たちとも交流があるようで私たちと竜人の里に同行してくれることになったのだった。

★★★

王都からホバークラフトで2日移動し、そこから1日山を登った先に竜人族の里があった。早速、魔王様が族長に挨拶をしている。

「お久しぶりですね、族長」

「おお久しぶりじゃな・・・魔王になる前に来たっきりじゃな・・・それよりどうじゃ?いじめられていないか?」

「そんな輩は、叩きのめすだけですよ。それにベンドラ様やブリギッタ様たちには許しをもらえていますからね。それもこれもこちらのクララさんたちのお陰ですよ」

竜人族がなぜ、このような辺鄙な所で暮らさなければならないかというと、ビッテとブライトン王の子孫だからだ。ベンドラ様たちの怒りを買わないようにひっそりと生活してきたそうだ。また、歴代魔王にはどういう訳か、竜人族の特徴を持つ者は選ばれなかったそうだ。

今となっては、理由は分かるけどね。

現魔王のダイアナ様は、歴代屈指の実力の持ち主で、初代からかなり年代が経過しているので、ダイアナ様が魔王となったそうだ。ダイアナ様の話では、魔王に就任してから、ドラゴン御一家とハイエルフの姉妹に会っても、3回目までは口も聞いてくれなかったそうで、ドラゴン御一家とハイエルフの姉妹の対応はチャーチル様に一任していたそうだ。

魔王様の説明を聞いた族長が言う。

「なんと!!ヤスダ様の生まれ変わりが見付かったというのだな!?」

「そうです。現在、魔王城でベンドラ様たちと旧交を温めておられます。まだ、記憶が曖昧なところはありますがね」

「そうか・・・それならルシルも喜ぶだろう。おい!!誰か!!ルシルを呼んできてくれ」

族長は里の者に指示して、ルシルという女性を呼びに行かせた。その女性は天使族の女性で、肖像画やアルバムにあったヤスダによく似ている。

やって来たルシルに族長が説明をしている。事情を聞いたルシルは魔王様に挨拶をする。

「ルシルといいます。王都ブリッドで生まれ育ったのですが、あるとき、前の魔王様から急に王城に呼び出されました。そこで、ドラゴン御一家とハイエルフの姉妹から『ヤスダの生まれ変わりだろ?どうして思い出せないんだ!!』と何度も言われまして・・・それから毎年のようにプレッシャーを掛けられました。なので、ひっそりと暮らそうと思って、こちらに移り住んだんです。昔は舞台に立って歌を歌ったり、劇に出演したりしていたんですが・・・」

相当なプレッシャーだっただろう。ヤスダの手記には同じ種族に生まれ変わることが多いと書いてあったから、あの方たちも必死だったんだと思う。気持ちは分からなくもないが、ここに被害者がいるからね。

そう言ったら、竜人族も被害者か・・・

「ネスカ!!もしかして、ルシルさんや竜人族を救うことが預言の意味かもしれないわね?だって、三人娘が「聖女」でヤスダ様の生まれ変わりなら、ルシルさんは王都で生活できるし、もうビッテのことは許してくれているから、竜人族もこんなところで暮らさなくてもいいと思うのよ」

「それはそうだ。とりあえず、希望を聞いてみようか」

希望を聞くと竜人族は、長年この土地に住んでいて愛着もあり、このままの生活を続けたいとのことだった。そして天使族のルシルはというと、王都に戻りたいとのことだったので、一緒に王都に戻ることになった。

そして2日後、私たちはルシルとともに王都に向けて出発した。

★★★

王都に戻るとそこはお祭り騒ぎになっていた。報告に来たスターシア団長から事情を聞く。

「聖女様たちが凄かったのよ。最初は魔王城を探検したいと言いだしてね。そうしたら、いろんな場所で隠し財宝を発見していくのよ。3日くらいして、それに飽きたらしく、王都を散策するようになったんだけど、行く先々でお宝や歴史的な遺産を見付けてしまってね。だから、今は聖女様たちが歩くだけで、パレードみたいな感じになっているのよ。警備は大変だけどドラゴン御一家とハイエルフの姉妹はご満悦だし、国も住民も臨時収入が増えて大助かりよ」

やはり、聖女の力は並ではなかったのだ。

魔王様がスターシア団長にルシルのことについて説明する。検討した結果、すぐにドラゴン御一家とハイエルフの姉妹に会わせることになった。

対面させたところ、開口一番ハイエルフの姉妹がルシルに言った。

「あっ!!お前はヤスダの偽物だな?危うく騙されそうになったぞ!!」

「最近見ないと思ったら、バレるのが怖くて逃げていたんだな!!」

これにはパミラ様がツッコミを入れる。

「ブリギッタ!!ブリギッテ!!私たちがヤスダの生まれ変わりと勘違いして、ルシルさんを困らせたのでしょう?謝るのはこちらの方です。本当に申し訳ありません。貴方たちも謝りなさい!!」

ルシルさんが言う。

「やっと信じてもらえたんですね・・・これで私も元の生活に戻れます。でも私が以前所属していた劇団はもうここにはありませんし・・・」

魔王様が言う。

「当面の間の生活支援はこちらでします。それから今後のことをじっくり考えてください。最悪、魔王軍に入団してもらっても構いませんからね」

「ありがとうございます。できれば歌やお芝居を続けたいです」

一応これで、同胞を救ったことになったのだろうか?

そうでなくても、人助けをしたことに変わりはない。今回のことはいいことをしたと思って、満足するとしよう。