軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

侍女・セーラの気持ち 2

そして、信頼を得た私は領主様、自ら斡旋してくれた男と出会い、運良く心を交わせて子供を授かり、あの時、妹を助けてくれた女神様に感謝を捧げた。

夫になった男は、後から貴族だと聞いて驚いたけれど「家名だけ引き継いでるから責任はないよ」と言ってくれた。

2人の間に生まれた子供が成長して手があまりかからなくなると時間が空き、そんな時に夫に王都行きの移動が出されたので、妹と甥2人との別れを済ませて、夫と娘と一緒に王都へと旅立った。

王都はバビル領とは雰囲気が違い戸惑うこともあった。

価値観が少し変わり、使用人棟に家族で住むと、夫はなかなか使用人棟に帰って来なくなった。

不安は無かった。

私は薄々だが勘づいていたのだ。

『夫は普通の仕事をしていない』と。

私が夫がいないのを不審がらなかったのが、逆に夫の不審を買い、「何故聞かないんだ!」と夫に問い詰められた。

夫は私の事を、私が思うよりも愛してくれていたのだ。

そして、多分、その時期に私は妊娠して、次は男の子が産まれた。

妹に子供を見てもらいたい。

と、漠然とした思いを胸に子育てをして息子が教会で祝福を受けて教会学校に行くようになると、また、私に暇な時間が出来た。

使用人棟に入っているメイド達の手伝いをしながら情報を仕入れていると、漠然とスイード伯爵様の現在が見えてきた。

「人の口に戸は立てられない」

「次女のお嬢様が行方不明で大旦那様が必死で探している」事実を知り、夫の仕事はコレだ!と理解した。

私も暇な時間に王都をうろつき、小さな噂を拾い上げては夫に世間話として話した。

すると、「貧民街にとてつもなく美人の母子がいる」という情報を仕入れて、夫に報告すると、ちょうど春の社交に来ていたスイード伯爵家の皆様、自ら確かめられて、メイド達から「お嬢様がお帰りになった」と知らされた。

少しでも恩返しになったかしら?と思ったら、夫からとんでもない話を聞かされた。

「君の話を信じて捜査したと報告したら、大旦那様から君に帰って来たお嬢様の娘の侍女をしてほしいとお願いされたんだ。大旦那様、自らだぞ!凄いぞ!セーラ!俺の女神!」

仕事を隠さなくなった夫はそう伝えてくれた、その足で私を連れて大旦那様の元へと行った。

私が断るとは微塵も考えていない夫に笑った。

子育てがひと段落した私も断る気はさらさら無かったが。

それからは、久しぶりに見る大旦那様にお言葉を貰い感激して、侍女長に徹夜で鍛えられて、お見えしたお孫様のチヤ様はちょこんと座って何かをしていたと思ったら、ソフィアお嬢様の着る服を出していて、規格外の娘様ね。

と、思っていたら、徹夜明けでボケていたのか、大旦那様自らの抜擢に心が浮き立っていたのか、チヤ様に侍女をしたくないと勘違いされてしまい狼狽えて、失態を晒してしまった。

やはり、チヤ様は規格外で、何も無い所から不思議な見た事も無い、読めない文字の書いた袋?を取り出して『シャンプー』と言う物をスライム容器に詰め替えるお手伝いをした。

一言で言うと『不思議なお嬢様』だ。

大人と対等な取り引きをしたと思えば、大旦那様に甘えて、スイード家の面々に可愛がられていて、子供らしい一面もあるが、とても貧民街で育った子供には見えない。

私が信じればいいのは大旦那様が大切になさっている『ご家族』。

スイード伯爵家の皆様は我々を『裏切らない』のをわかっていればいいのだ。

筆頭護衛に抜擢されたモーゼは、少し信用できないと何故か気になる。

これは、夫から大旦那様に伝えてもらった方がいいかもしれない。

昔から私の勘はハズレ無い。

放っておけば妹が助からない場面でも動けたし、その後も何故か私の勘は外れなかった。

運が味方してくれているような、不思議がある。

モーゼは【要注意】だ。

◇◇◇

今日は、受付のおっちゃん神官様の前でバナナを取り出した。

おっちゃん神官様は、少し嬉しそうな顔をする。

わかってるって。

期待には応えるよ。

「神官様、ししょく、してみて?はじめてのたべものでしょう?」

幼女爆誕だ。

おっちゃん神官様には受けが良い。

ついでに私もバナナを食べる。

バナナはいつ食べても良いのだ。

私の食べ方を見て学んだおっちゃん神官様は、バナナを食べて顔を崩した。

美味しそうだ。

口に合って良かった。

「うんうん。これなら、教会の神官様もお喜びになるだろう。チヤちゃんは、いつも珍しいものを持って来てくれるから楽しみだよ。さあ、紙を渡して」

「はい!よろしくおねがいします!」

なんだか、戦争が起きるまでは個人授業だったんだけど、今は個別授業みたいになっている。

子供達個人に合わせた授業内容をしてくれて、以前よりも貧民街の子供達の知り合いが増えて仲間意識みたいなのが芽生えた。

ふふっ。

心はおばあちゃんだけど、童心に帰るのもいいじゃない?

と、最近では思ってます。

授業は順調だと思います。

専門書を若い神官様が用意してくれて、「今日は、このページの領地事の特産品を勉強しようね」と優しく教えてくれます。

休憩時間には、聖水の失敗作の水を子供達全員に飲ませてくれるけど、私だけは別室に通されて、神官様達に期待のこもった瞳で見つめられるから、布鞄から焼き菓子を取り出して神官様に配るとお礼を言われるから正解なんだと思う。

私も小腹を満たせるからね。

さすがの私も貧民街の子供達の前では砂糖を使ったお菓子は食べられません。

そうして、後半の勉強が終わったら帰るだけです。