軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

お母さん!若い!

お母さんがなんちゃって中世の服を着るとーー。

「あらぁ!少女の中に大人の女性が顔を見せてるわ!」

「腰が細いわねぇ。太ももの布の膨らみがおしゃれね……私も、この服が欲しいわ」

おばあちゃんとお姉様の感想が飛び交います。

素早く、メイドさんがお母さんの顔に化粧を施して、髪の毛を綺麗に纏めてくれて、その上に帽子をそっと、乗せます。(どこから持ってきた。その帽子は)

貴族の貴婦人の完成です。

お母さんがリアルに「これが、私?」を、やっております。

少し、羨ましいです。

いえ、いいのです。

私のお母さんは綺麗なのです。

そして、3人は代わる代わる私の頭を撫でていき、きゃぴきゃぴとお出かけしに行きました。

……私も、もう屋敷を出ないと教会前でインベルト商会の馬車を待たせてしまいます。

振り返ると、気配を感じさせずにいた侍女?さんと目が合いました。

侍女さんとメイドさんは支給されている服が違うので分かります。

「お出かけされますか?」

「はい!」

驚きすぎて、声が大きくなってしまいました。

そして、侍女さんが自己紹介します。

「驚かせてしまい、申し訳ありませんでした。

今日付けで、チヤ様のお世話をさせていただきます、セーラ・ジと申します。

チヤ様の手足となり働かせていただくので、よろしくお願いします」

え?えっ!?

誰も、そんな事、言ってなかったよね!?

てか、家名が「ジ」だけって、逆に珍しいよね!?

「だ、誰からの、指示、ですか?」

「大旦那様のご指示にございます」

大旦那様ーーおじいちゃん、かな?

次期当主の伯父さんは、多分、旦那様、だと、思う。

「おじいちゃん、ですか?」

「そうでございます。それでは、馬車の手配をいたしますので、準備を済まされましたら、玄関前でお待ちくださいませ」

セーラさんは、言うだけ言うと、颯爽と歩いて行った。

こんな、ちんちくりんの貧民の侍女に付けられて、不満に思ってるよね?

お母さんより歳はいってそうだけど、まだ、若かった。

ぽつん、と、残された私は、広い屋敷の中で迷いながらも、優しい使用人さん達に導かれて玄関にたどり着いた。

迷うから、私!このお屋敷、広いんだから!昨日来たばかりだからね!

いくら歓迎されていなくても、子供だから!(体は4歳児)

ニコリとした執事さんに玄関扉を開けてもらったら、昨日乗ってきた馬車とは違う、こぢんまりとしているけど女性が好みそうな馬車が待っていた。

馬は、2頭立てだね。

「お待ちしておりました。こちら、チヤ様付きになりました、護衛のモーゼと言います。モーゼ、ご挨拶を」

セーラさんが馬車の側で待っていて、騎士姿の女性のモーゼさんを紹介してくれた。

……おじいちゃんたら、過保護なんだから。

「お初にお目にかかります。騎士のモーゼと申します。チヤ様の筆頭護衛官になりましたので、ご挨拶させていただきます」

「よろしくお願いします。チヤです。なるべく、この家のルールに従いますので、間違いなどがありましたら指摘してください」

「……はっ!承りました!」

なんか、間があったけど、いいか。

セーラさんが馬車の扉を開けてくれて、小さい私の為に登り台を置いてくれた。

悪い人では、無いのかなぁ。

「ありがとうございます」

「いえ、当然のことでございます」

私が馬車に乗り込み座ったら、セーラさんも乗り込んできて、斜め向かいに座った。

「行き先はどこでしょうか?」

いや、当然のように馬車の中に一緒に座ったことをツッコミたい。

「……教会前です」

御者へと続く小窓を開けて「教会前です」と行き先を伝えている。

おお、1人で出かける時の勉強になる。

そして、静かに馬車が動き出した後に、スピードが出たのか、ガタッゴトッと振動がするようになった。

乗り合い馬車よりも、インベルト商会の馬車よりも揺れない。

貴族の馬車って凄い。

と、思いながらも、転落防止の手すりにつかまりながら、ゆったりと馬車は進んで行った。

窓を開けて外を見ると、何故か外の人と目が合う確率が高い。

何故だ?っと、ほっぺを膨らませたら、斜め向かい側に座っているセーラさんの声が口から漏れたので、見て見ると、バッチリと視線が合い、セーラさんの顔に力が入り、赤くなっているのがわかった。

それを見て、私は本音で話し合う決意を固めた。

「セーラさん」

「っ、セーラ、と、お呼びください」

「それでは、セーラと呼びますね。セーラは私の侍女に付けられて不満ですよね?」

「っ、い、いえ、そんなことはありません」

「本音で話して結構です。おじいちゃんに言いつけたりもしません。貧民街育ちの私に付くのが不満なら正直に話してください。近くにいてもらう人には自然体でいてほしいし、仲良くしたいです。

セーラには、私と仲良くする気がありませんよね?」

セーラのあまり表情の無い顔が少し焦った顔になった。

「いえっ、チヤ様付きになれて光栄だと思っておりますっ。ちっ、チヤ様、と、仲良くさせていただきたい、です」

あれ?

あれれ?

ツンデレのお姉ちゃんに見えてきたぞ?

「本当に、私付きで、不満は無い?」

「あるわけありませんっ!こんな、お可愛らしい主人に出会えて光栄ですっ」

セーラの顔が焦りながらも真剣だ。

本気、かも、しれない。

「さっき、屋敷に不慣れな、私を置いて行って、迷子にさせたのは?」

セーラが焦った顔をして、顔から汗が吹き出した。

本当に、漫画みたいに、汗って、吹き出すんだね?

「そ、そんなっ、わ、わたしは、なんてことをっ!」

うん、私を故意に迷子にさせた訳では無いようだ。

「今回は許しますが、私は小さな子供ですので、理解してください」

セーラは真っ赤な顔をして、涙目で私に頭を下げた。

「本当に、申し訳、ございませんでした」

本気で思ってそうなので、許すことにした。