軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

お母さんと私の帰る場所 2

え、私は別に貧民街に帰らなくてもーー

「帰るわよ。貧民街の家が私のお城だもの」

ええっ!お母さん、うそー!

さすがに、貧民街の家は「貧民街服屋」のお店にして、ここで暮らそうよ。

寒くなさそうだよ?

と、私が思っていたら、お母さん以外のみんながそう思っていたらしい。

「いや、ソフィアはこの屋敷で暮らすんだ。これは決定だぞ。周りの揚げ足を取る貴族が「スイード伯爵の娘さんは貧民街に住んでいるんですね?」と言ってきかねん。お前とチヤはこの家で暮らすんだ」

さすがに元貴族令嬢だからか、それが容易に想像出来たらしいお母さんは苦い顔をして家族の顔を見た後に、諦めのため息をついた。

「……チヤとは、同じ部屋にしてね」

おじいちゃんを始めとした家族4人は満足げな顔をした。

「それじゃあ、お風呂に入りましょう!ソフィアもチヤちゃんも綺麗だけれど、貧民街に住んでいたのですものね?去年から評判の最高級の石鹸があるのよ?ちょっとお値段が高かったけれど、以前まで使っていた石鹸には戻れないわ。それで、2人を綺麗にしてあげる!」

おばあちゃんが張り切って声を上げたけれど……その石鹸って、あれだよね?私がインベルト商会に卸している石鹸だよね?

私は、今、インベルト商会に1番の高値で卸している某有名メーカーの研究された最高級石鹸を手に取り出して、おばあちゃんに見せた。

「おばあちゃん、この、固形石鹸だよね?」

おばあちゃんが私の手から固形石鹸を受け取って手に持ち、不思議な顔をした後に、石鹸の匂いを嗅いで驚いた声を出した!

「あらやだ!この石鹸は私が買えなかった石鹸だわ!どうしてチヤちゃんが持っているの!?」

インベルト商会の固形石鹸の人気の品物は、実はワザと欠品を出す為に少なく納品していて、見本の石鹸だけを店頭で見せては予約を受け付けていて、商品価値を上げる戦略をしているらしい。(そちも悪よのぅ)

「実は、近日中には『髪専用石鹸のシャンプー』と言う物を発売予定しております。

私とお母さんはすでに使用済みですが、髪の毛を補修する『コンディショナー』と髪を艶やかに纏める『トリートメント』と『洗い流さないトリートメント』と言う、髪がワンランク上になる商品の販売も考えておりますので、どうか、おばあちゃん達は私チヤからお求めください」

おばあちゃんとお姉様が、ポカーン、としています。

私の営業トークが冴えわたりましたね。

もちろん家族なのでタダで差し上げます。

とか、キメ顔をしていました。

伯父さんはマメな男なのか部屋から出て、使用人にお風呂の用意をお願いしたそうです、が、私はおばあちゃんとお姉様にも『美肌の湯』を体験してほしかったので、伯父さん付きでお風呂場に行き、今にも浴槽に魔道具でお湯を出しそうな使用人さんに「ちょーっと、待ってー!」と止めて、清掃だけにとどめておいてもらいました。

もちろん、お湯は私が入る時に溜めます。

伯父さんからのおねだりがあったので、男湯も温泉の湯を出すことになりましたが、「どんな効果のお湯がいい?」と伯父さんに聞くと、この世界にある温泉の効果や種類を知っているのか、「お父様の髪の毛が最近薄くなってきたから、増毛の湯はあるか?」と聞かれて、「増毛の湯は危険なので私が一緒に入りますか?」と聞いたところ、私はめでたく男湯に入ることになりました。

みんなが居る部屋に戻ってその事を報告すると、女性陣に大反対されました。

「レディなのに男湯に入ってはいけません!」と怒られて、理不尽だなぁ、と思いました。

まだ、幼女ですよ私は。

どんな間違いが身内で起きるというのでしょうか!?

とか考えていたら、正気に戻っていたおばあちゃん達から「石鹸の入手方法は!?」と聞かれて「スキルです」と答えた瞬間に固まられました。

あっ!と、思い出しました。

オババ様が「私欲で私を使うな」というような『脅し』を家族にしていた事を。

おばあちゃんとお姉様に「私は利用されてないですよー。私がしたくてしているんですよー」と説得が大変でした。

だって、スイード伯爵家は、それはもう盲目的に木族を『神』と断言する一族です。

危険な思考だなぁ、とは思いますが、『神』の言葉は絶対的な物ですから、「オババ様が言ってーー」「だって、オババ様がーー」と理由はそれだけで充分なのです。

だから言ってやりました!

「私も『木族』だ!」と。

効果覿面でしたね。

「ああ!木族(神)が孫に!ならいいのよね?」と、ころっと意見が変わっていました。

ちょろ、くは、なかったですね。

手強かったです。

そして、お風呂に行って、まずは男湯に『美肌の湯』を溜めたあとに女湯にも『美肌の湯』を溜めて、みんな裸になって(なぜか使用人付き)風呂の中に入りますが、おばあちゃんだけは使用人さんが付いて優しくお湯を頭に体にとかけていきます。

お姉様は自分でやっております。

お姉様は貴族令嬢でしたが、降嫁して領地屋敷の家令さんと結婚したそうですから自分のことは自分でやるのでしょう。

そして、私は今日の秘密兵器を取り出します!

もう、1年前に使っていた「サロンのような市販シャンプー」ではありません。

『1000ml 11万円の超高級シャンプー』を使用してもらいます!

なんだか半端な『11万』の『1万』はなんなんでしょうね?