軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

2回目の商談をしましょう 1

ケインは接客スペースに、ちょこんと座る幼女を見つけた。

格好は以前と大分違うがチヤ様本人だと顔を見て確信した。

「お待たせいたしました。ケインでございます。お久しぶりです、チヤ様。本日の御用向きをお聞きしてもよろしいでしょうか?」

チヤはクルガー商会長に紹介されたケインさんが来てくれてホッとした。

「お久しぶりです。商材を持って来たので商談をお願いしてもいいですか?」

ケインはにっこりと微笑んだ。

「もちろんでございます。それでは商談室までご案内いたします」

ケインに促されるままに店の奥に向かって歩いて行く。

煌びやかな店内よりもバックスペースに入って、チヤは肩の力が抜けた。

以前も歩いた階段を登って、商談室に案内されて1人残された。

◇◇◇

ケインは足早に女性従業員を見つけた。

「よかった、リナ!商談室にいるお客様に高級茶葉で紅茶を入れて持って行ってくれ!私は商会長に話があるからお願いするよ」

リナは立ち止まって業務連絡を聞いて了承し、お茶を入れに行った。

ケインは3階に上がり、商会長室に行き扉をノックする。

「誰だ?」

「ケインです」

「入ってくれ」

商会長の許しを得て室内に入ると、商会長が新しく仕入れた商品の検品をしていた。

確か上得意様のご注文品だったか。

「チヤ様がおいでになりました。商談だそうです」

いっとき、沈黙があった後に「はあ!?」と商会長が顔を上げた。

「チヤ君が来たのか?早いぞ?」

「商談室にご案内いたしました。ご用件は商談があるとだけ」

「わかった。商談室だな?すぐに行く」

「それでは私はこれで失礼します」

ケインが出て行った後に、ため息をつく商会長がいた。

◇◇◇

チヤは綺麗なお姉さんが入れてくれた、この前と同じ紅茶を飲みながら、アイテムボックスから2種類のスライム容器に入った塩を取り出して机の上に置いた。

蓋の色が違うから多分、『精製塩』と『天然塩』を間違えないだろう。

まあ、味も違うが。

緊張が解けてボーッとしているとノックの音がしてから扉が開き、クルガー商会長が入ってきた。

チヤは立ち上がって挨拶した。

「お久しぶりです。いきなり来ての商談を受けて下さり感謝いたします。チヤでございます」

「ああ、いい、いい、そう言う挨拶は要らないよ。この間と同じにしてくれ。君には聞きたいこともあるしね」

ざっくばらんに言ってからチヤのソファの前にどさっと座り、ポットから自らお茶を入れて一口飲んだ。

チヤもソファに座り、紅茶を飲もうとしてカップの中が空なのに気がついてポットから紅茶を注いだ。

「あのな、言っておくが、この紅茶は高級茶葉と言われているスルガ産の紅茶だ。大量生産に成功して富裕層に手が届く商品になったばかりだ。

それを踏まえて言わせてもらう。

この間くれた君のおすすめ茶葉はこれと比較にならないほどの最高峰の高級茶葉の味がした。この僕が初めて飲む茶葉だ。王族だけが飲む茶葉だと言われても信じられる美味しさだった。

理解したら簡単にあの茶葉をタダで誰かれなく振り撒くな。君の身に危険が迫るぞ。

あ〜〜〜、もう!前も同じ事を言った気がする!」

チヤに長々と注意した後に1人でキレたクルガー商会長を見て、チヤは嬉しくて笑った。

変わってないなぁ、と。

クルガー商会長が紅茶を飲み干した後に笑っているチヤを睨んだ。

「こら!子供だから話がわからないとは言わせないぞ!この間までゴブリン肉を食べていた者が簡単に用意出来る茶葉では無いんだ。こっちは真剣なんだぞ!」

少し怒らせてしまったようだ。

チヤは背筋を伸ばして頭を下げた。

「ご注意ありがとうございます。私の周りにはそのように忠告してくれる人がおりませんので、お言葉有り難く頂戴いたします」

「もう……君は……。だから普通にしてくれよ。ふーっ」

気が抜けたようにクルガー商会長が息を吐き出した。

「じゃあ、今からは普通にしますね。石鹸とは違う商材を持って来ました!」

クルガー商会長はチラッと机の上に乗っている物を見た。

「今度は普通の物だよな?」

チヤは自信を持って頷く。

「そうです。今日は2種類の塩を持って来ました」

「2種類の、塩、とは、産地が違うのか?」

「ちっちっちっ。塩を作る製法が違い、栄養素が違います。ちなみに、1つ目の塩に比べて、2つ目の塩は10倍以上の値段がする塩です。そう!名付けて!超!最高級の塩!です!」

「超、最高級の、塩じゃねーーー!!!また、面倒臭いのを持ってきてからにーーー!!10倍とは何じゃー!!」

あ、クルガー商会長が壊れた。

人格崩壊だ。

「はいはい、落ち着いてくださいねー。試食をしてくださいねー?」

クルガー商会長は、はぁはぁ言っていた息を整えて、ポットから紅茶を注ごうとして、少ししか出なかったポットを眺めた後に、ポットを持って立ち上がり外に出て行った。

チヤは「ふむ」と考えた。

次の商材は『砂糖』にしようと思っていたが、砂糖もクルガー商会長をキレさせるかな?と思ったのだ。

しかし、「うーん」と考えても、次に確実に儲かるのは『砂糖』だと心の声が告げてくる。

まあ、クルガー商会長が、キレたら、その時は今みたいにするかな?と納得しておいた。