軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

市場調査 1

私は今、とても困惑しております。

普通に外を歩いていたのですが、近所の人に会い、凄い勢いで引かれました。

なんだか初めて見る生物を見たような顔をして、逃げられました。

逃げるのは酷いと思います。

せっかく全身綺麗になったのだから「可愛いね〜」と言ってくれるのを期待していたのです。

子供っぽい?

子供上等です。

5歳児ですから。

教会の向こうに行けば平民街に出るはずです。

なので今は無心で歩いています。

だって遠いのです。

嫌になってしまいます。

そして、私を見る人、見る人が動きを止めてしまいます。

私は珍獣ですか?

もう、プンプン丸です。

あ、時代が出ました。

古い人間なのです。私は。

1人ぐらい「可愛いねお嬢ちゃん」くらい言えませんか!?私は待っているのです!いつでも言ってください!

何故か綺麗に洗う前の方が「可愛い」と言われていた気がします。

今は魔力が無いので、鏡が買えません。

実は生まれてから一度も自分の顔を見た事が無い私です。

「かわいいね」と言われてきたので、可愛い顔をしてるんだな、くらいです。

あれですね。

幼児は皆、可愛いのです。

私は自惚れていました。

骨と皮のガリ幼女が可愛い訳が無かったのです。

あくまで(貧民街の幼児)可愛い。

だったのです。

井の中の蛙。です。

前世同様に平凡な人間を頑張ります。

自惚れてはいけません。

自分が辛くなりますから。

「私は平凡な人間です」

と、頭が理解するだけで、人生が辛く無くなります。

心が落ち着いてくると、貧民街の人達の反応もわかります。

今の私は身綺麗にして平民に擬態しています。

貧民街に平民が普通に歩いていれば、それが幼女1人だったら?

驚きますね。

確実です。

髪の毛は少ないですが、幼女だからで誤魔化されてください。

それにしても、貧民街の住人から平民に見られたのは良い出来事です。

今から行くのは平民街ですからね。

貧民だとバレてはいけません。

きっとゴキが来た並みに嫌がられて、害虫のように扱われるのが想像出来ます。

教会の貧民街の住人への対応を見れば、ね?

貧民は「教会に来るな」って事でしょう?

孤児院学校の神官様達は優しかったですけど、老人まで経験した私は騙されませんよ。

教会自体の対応には腹を立てているのです。

教会の上層部、許すまじ。

きっと下部の神官様は優しいのです。

偉い人が規則を変えないから貧民の扱いが悪いのです。

むふーっ。

話が逸れてしまいました。

そう、平民に擬態出来ているのがいいんです。

あ、孤児院が見えてきました。

正面入り口側に行けばきっと道に迷いませんね。

あ、どうでもいい事ですが、貧民街のお隣さんは『職人街』です。

日当たりが悪いので、うるさいのと臭いのはまとめておけって事ですね。

なんとなくわかります。

でも、だからこそ、家で唯一の調理器具の鍋が安く買えたのでしょうから喜ばしいです。

ウチの鍋は万能ですよ。

焼いてヨシ、煮てヨシです。

お椀も1人一つ、スプーンも1人一つです。

こう考えると、私が使っている物は、本当はお父さんの物だった気がしますね。

机が2人掛けだし。

椅子2つ。大人用。

お父さんが生きていれば、子供用の椅子が増えていたのでしょう。

◇◇◇

ほわー!!

異世界の街並みが広がっていますよ!

思っていたよりも孤児院の正面は綺麗でしたし、そのお隣の教会には近寄りがたさを感じる意匠です。

きっと莫大なお金をかけて造ったのでしょうね。

よしっ!

観光はここまで。

目的地を探さないといけません。

とりあえず、人の流れにそって歩きます。

小さな店がぽつり、ぽつりと見えてきました。

この世界の文字で看板がかけてあるので教わってからで良かったです。

あそこは『どうぐや』。

あそこは『こくもつや』。

穀物屋ですか!?

見たいです!見に行きます!

近くで見た建物は普通です。(貧民街より綺麗)

中に入ると、粉っぽい臭いがします。

値札は書いて無いのでしょうか?

「お嬢ちゃん、どうしたんだい?迷子かい?」

顔をあどけなくします。

きゅるん!

「ううん、ちがうの!5歳になったからね、しゃかいべんきょうなの」

お店のおばさんの顔が緩んだ。

「あら〜偉いわね。何を勉強しているの?」

「ものの、ぶっかです!」

「難しい言葉を知っているのね〜。今暇だから、おばちゃんが案内してあげるよ」

「いいの!ありがとう〜!」

必殺!スマイル0円!

この後のおばさんは扱いやすかった。

「これなぁに?」と聞けば教えてくれるし、値段も教えてくれる。

説明不足な所は鑑定発動!

聞いた事を紙に拙く書いていると、おばさんの心に刺さったのか、より親切になった。

だいたいの品を教えてもらって「あっ!もういかないと!」と言えば、すんなりと解放してくれた。

ふむ、幼女、おいしい。

それに「良い匂いがするね〜」と言ってもらえた。

多分シャンプーの匂いだけど、臭く無い!のが最高だね!

次は何処に行こうかな〜?

歩いている人、買い物している人を物色すると、ちょうど良さそうな人を発見した。

「すみませ〜ん!えいへいさ〜ん!」

「ん?俺かい?お嬢ちゃん迷子かい?」

そうです!巡回中の衛兵さんです!見回りしているくらいだから地理に詳しいだろう。

「まいごじゃないよ!5歳になったから、しゃかいべんきょう!あのね、しおをうっている、ばしょを、おしえてください!」

「あー、教会学校か。えーと、塩はねぇ『調味料屋』に売っているんだ。ここから見えるんだけど、いや、いいや。おじさんと一緒に行こうか。案内するよ」

すっごい嬉しそうに「ありがとうございます〜!」

「手を繋ごうか」

「ありがとう!」

おお!衛兵さんの手、大きいし、なんか硬い!

歩きながら街のお店の解説をしてくれるのがありがたい。

うおー!運が向いてきた!