軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

スイード伯爵家領地に帰還中 11

初日に魔物に襲われて避難したのと、チヤのお腹が悪いと誤解されたせいで、予定していた明日に領都に到着出来なくなってしまった。

その為に5日の旅程だったが、6日目に領都に到着の予定だ。

ここいらで、異世界あるあるが起こるのではないか?

と、邪推したのが悪かったのか、すれ違うはずの馬車が魔物に襲われていて、騎士達がおじいちゃんの指示で先行して助けに行き、乗り合い馬車の護衛をしていた冒険者が5人死に、1人が生き残ったが、おじいちゃんが渡したポーションを飲んで回復しても、とてもじゃ無いが次の町までは行けそうに無いと、伯爵家一行の1番後ろからついてくる事になった。

チヤは死体が酷い状態なので、外に出ないようにおばあちゃんに抱きしめられていた。

チヤが、異世界あるあるの、襲撃イベントが有るかも! って、予想、したから?

いやいや、そんな事はカケラも無いのだが、幼女チヤの心は罪悪感で押し潰されそうになっていて、母性を求めていた。

馬車の中でチヤの顔色が悪いのに気がついたおじいちゃんとおばあちゃんは「また、お腹が痛いの?」と勘違いしていたが、チヤが「ひとが、しんだ」と言うと「あっ!」と驚いた顔をして、幼いチヤが『死』を理解している事に驚き、ものすっごく甘やかしてくれた。

が、チヤは心の負担に「これはダメそう」と思い、寝たら何でもリセットしていた前世を思い出して、魔力を空にして眠気を誘発してからおじいちゃんの膝を枕に眠りについた。

◇◇◇

「あなた、そういえばチヤちゃんの父親は魔物に襲われて死んだのだったわ。人死にが出てチヤちゃんがこんなに不安になって、ソフィアも大丈夫だったかしら」

おじいちゃんことウェンズは、少し気落ちした妻を見つめた後に、己の膝を枕にちんまりと寝てしまった可愛い孫を見て、他人の死に慣れていた自分に気づかされた。

つい最近、去年の秋だが、『秋の社交』に出れずに息子夫婦に社交を任せた原因の『両親の死』を思い出した。

ーー木族のおかげで長生きして老夫婦になった両親が趣味の旅行中に魔物に襲われて帰らぬ人となり、長年両親に仕えてくれた老齢の近従や老騎士達も帰らずに、かろうじて、若いからと伝言を伝える為に寝ずに馬を走らせてくれた40歳程の騎士が「大老様達は、きっと、もうーー」と魔物襲撃報告をした後に男泣きしてしまった騎士を叱咤して、ウェンズは騎士達を大勢連れて現場に急行し、大量の騎士を連れていた事で近隣の領主に警戒されてしまったが、急いだにも関わらずに、襲撃地には壊れた馬車と千切れた衣服や荷物と『夥しい血痕』しか見つけられずに、魔物の腹に収まってしまったであろう両親と老近従と老騎士達を弔う為に、何とか馬車だけを解体して持ち帰り、助けられなかった無力感で満たされたが、領主の仕事はやる事が多くて忙殺されるうちに、いつのまにか『死』に慣れてしまった。

「こんな世界だから」と。

屋敷の老騎士達や年老いた使用人がごっそりと抜けて、少しウェンズが腑抜けていたうちに、王都の屋敷に他家の貴族の使用人達が入り込んでいたとは思わずに「息子夫婦に後を任せて引退するかな」と考えていたが、まだ守るべき人達、ソフィアとチヤに気がついて、この地位にいると決めた。

私の覚悟は、まだ甘かったのか?

幼いチヤは父がいない事をずっと気に病んでいたのではないか?

ソフィアもアンドチヤの壮絶な最期を見て心に傷を負ったのではないか?

減った家族が増えて嬉しいと考えていたが、脅威は去ってはいないと自覚して、チヤの柔らかな髪を撫でた。

◇◇◇

街に着いたと寝ていたチヤは起こされて、チヤは気持ちも落ち着いて元気になったが、祖父と祖母の元気が無くなってしまい、私が2人の元気を吸い込んでしまったのかと思い、2人の足元にまとわりついて、何とか笑顔になった2人を心配しながらも、昼食を食べた。

人の生き死にに関わっても腹は空くので、まだ元気! と祖父母を元気にさせる為に「おじいちゃん、おばあちゃん、好き好き!」を決行したら、これが思ったより効果があって「ウチの孫は可愛いのぉ〜」と2人がご機嫌になった。

やったぜ!

やっぱり孫は強いぜ!

だがだが、何だか食事の時に目が赤くなったお母さんに気がついて、異世界人らしく、初めてお母さんのほっぺに、ちゅっ、とキスをしたら、お母さんが号泣したのには驚いた。

あれだよね?

私がお父さんに似てるから、ちゅっ、としたらお父さんを思い出しちゃったんだよね?

両親のイチャイチャを見なくて良かったと取るべきか、お父さんの死を悲しむべきか悩みます。

少女チヤ6歳です。(見た目は4歳)

故人が死んで6年も経てば悲しみは風化するかと思いきや、人の心は複雑で、まだ、お母さんの心の傷は癒えていませんでした。

ふむ。

これは、戦う道具は私だけが持つのでは無く、家族みんなに配った方がいいかもしれません。

いざという時のお守りです。

が、今は金がありません。

いや、いや、ね?

死にそうな騎士様を1000万ルビ(1億円)で助けたのは後悔して無いのですが、お金が、ね? あまり無いでしょ?

私とお母さんは帰りも魔物はこびる街道を走る訳ですから、先立つモノは必要な訳ですよ。

はい。

金儲け!

はい!

金儲け!

ちょっと歌風に言ってみたけど、気分は上がりませんね。

助けて!

クルエモン!(クルガー商会長)