軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

スイード伯爵家領地に帰還中 8

あっ、と、忘れてた。

私の侍女・セーラの事。

「おじいちゃん、セーラがね、家族と過ごしてくれないの」

おじいちゃんがいきなり変わった話に変な顔をする。

「そうだね?セーラはチヤの侍女だろう? チヤが寝るまでお世話してくれるのは普通じゃないかな?」

そうなんです!

この世界って「休み」って言う概念が無いくらいに庶民は毎日、毎日、毎日、働いている。

お母さんと2人暮らしの時もお母さんは毎日働いていたからね。

何だか『働く』のは庶民にとって当然と言えるくらいの仕事だ。

「私の侍女だけど、里帰り中の今は家族で過ごしているから『家族のお母さん』でしょ? 私にはおじいちゃん達やお母さんがいるから寂しくないけど、セーラの子供達は寂しいと思うんだ。

ねぇ、おじいちゃん。

里帰り中はセーラにお休みをあげてもいい?」

ふっふっふっ。

頑ななセーラに家族サービスをさせるには、雇い主のおじいちゃんを落とすのが確実だ!

「だがな、セーラもお給料が貰えないと困るだろう? 子供の将来もあるだろうし」

「大丈夫! 日頃から働いてくれているセーラがお休みの間も私がお給料を出します!」

最上級再生ポーションを買ってお金が無いと言っている私にもそれくらいの甲斐性は有ります!

でも、何だかおじいちゃんは働かないのにお給料をあげるのはおかしいと感じているみたいでーー。

私はおじいちゃんを説得する為に、庶民に休みが無いと、いかに経済が回らないかを教えます。(一般論)

おじいちゃんは貴族の当主をしているくらいですから、大まかな私の説明も馬鹿にしないで「ふんふん」と聞いてくれます。

「庶民が休む利益はわかったが、その日暮らしの平民や貧民もいるだろう?無駄なお金は使えないぞ」

そうなんです。

日本は、一昔前のホームレスはいなくなって『生活保護』を国にしてもらい、お金を貰いながら自立を促すのですが、この世界には『生活保護』なんて出す余裕は何処にもありません。

くぅ!そこを突かれると痛いんです!おじいちゃん!

「え、え〜と、国家事業、じゃなくて、領地開拓をするのです! 貧民は村人になればいいのです!」

「う〜む」

あ、おじいちゃんが考え込んでしまいました。

おばあちゃんを見ると苦笑しています。

私とおじいちゃんの討論がおかしかったのでしょうか?

「そうだな。もうそろそろ領地の人口もいっぱいだな。外壁を拡張するか悩んでいたが、村を作っても良いかもしれない。領都にも食料が必要だからな」

おじいちゃんは1人で納得しています。

領都を拡張するか悩んでいたのですか?

私が適当に言い訳した言葉を真に受けてしまいましたか?

知ってるんですよ。

開拓作業は過酷だって。

「よし! 村を作るなら木族の方達を呼ばないとな」

ん? 聞き捨てならないことを聞きましたよ?

「おじいちゃん、さっき、木族の方を利用してはいけないと言っていませんでしたか?」

おじいちゃんは私の言葉に、「ああ!納得した!」という顔を浮かべた後に苦笑した。

「チヤちゃん、確かに木族の方達を利用してはいけないが、木族の方が望むなら動いてもらっていいのだよ。

言っては悪いが、木族の方達の中にも刺激を求める方がいる。

開拓村を作る名目がある時に魔物と戦ったり、自然破壊をしたいと思っている方々もいるらしい。

オババ様に聞いたのだが『生きるのに飽きている』方もいるようだ。

だが、木族の里は広いらしいが、日常の変化に乏しいようでな「開拓作業は喜んでするぞ」言われた事がある。

その時はな、おじいちゃんの親が街を開拓する前だったのだ。

まぁ、木族にもいろんな方達がいるんだな」

ちょっと遠い目になったおじいちゃん。

本当に『木族』を『神』と等しく思っているのだろうか?

それよりも、話が大分逸れたが、セーラの話だ。

「おじいちゃん、セーラにお休みをあげてもいいでしょう?」

「うん?あ、ああ、自分のお金からお給料を出すのもちゃんと考えてのことだからな、いいぞ。

でも働きたいのを無理に休ませてはいけないぞ?話し合いは大事だからな?」

良いおじいちゃんだ。

「うん!セーラはおじいちゃん次第だって言ってたから、多分、大丈夫!」

「うん?そうか、そうか、話し合いは済んでいたんだな。偉いぞ」

褒めて伸ばしくれる人、大好き!

ふっふっふっ。

頑ななセーラめ。

存分に家族サービスをするがいいわ!(セーラに妹がいるのは知らない)

その後はおじいちゃんが私を膝に乗せたがって、ちょっとふざけて遊んでいたらおばあちゃんに注意されて「淑女教育をしないといけないかしら?」と、不穏な事を呟いていた。

私には淑女教育は必要無いよ。

だって、庶民だし。

次の街に着いたら、衛兵さんがおじいちゃんの顔を知っている人で、ペコペコと頭を下げていた。

おじいちゃんの領地に入ったからかな?

昼食を食べる手配はもうしてくれているらしくて、馬車は順調に街中を歩く速度で走っている。

ふむ、王都より道幅が狭いんだね。

しかも、この馬車、凄い注目されている。

(なんだろう? なんて言っていいかな? 畏怖? いや、尊敬? 違うな。なんだか敬われている感じの視線が刺さってくる)

ヒヒィーン!

ガクリッ! と、馬車が急停止して、外から怒鳴り声が聞こえてきた。

「こら! 危ないだろう! 領主様の馬車と知ってのことか!?」

えっ?馬車が事故った!?