軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

スイード伯爵家領地に帰還中 6

宿の風呂場は日本のお風呂並みに小さくて、1人ずつ代わりばんこで入り、私は小さいのでお母さんと一緒に入った。

最高級再生ポーションで、ほぼ纏まったお金が無い私は節約の為に温泉を購入せずに、宿につけられているお湯を出す魔道具でお風呂に入った。

お母さんはいつも私が「温泉に入るよ!」と勝手に温泉を出すからか、今日は出さないのを不思議がりながらも綺麗に私を洗ってくれた。

最初は1人で体を洗うのが苦手だった貴族令嬢のお母さんだけど、子供の私を洗えるくらいには進化したか。

と、感慨深く感じてしまう私だった。

宿に泊まっている従者や騎士達は、私達家族がお風呂を終わらせてから入浴するらしく、少し急かされるようにお風呂場を後にして、お母さんと一緒に寝るべく3階まで子供の足で登り(なんとかと馬鹿は高い場所が好きって聞いたことある)、とか思い出しながら疲れた足でベッドに入ろうとしたが、ここは王都の屋敷ではなかったとお母さんと私は寝衣に着替えて、私は満タンに回復した魔力でもしもの為にポーション各種を購入した。

以前にも購入したが、腐る物でも無いし(時間停止アイテムボックスの中)今日も購入した。

外がいかに危険かがわかったのだ。

お金が心許ない(いや、まだ結構有る)ので、しばらく魔力だけでの買い物だ。

今はインベルト商会に卸す商品も無いので、たくさん購入する物品が無いので楽だ。

まあ、王都に帰ってからが怖い気持ちはあるが。

クルガー商会長も私から収納鞄を購入したら、倉庫内の物を全部、収納鞄に入れて貸し倉庫をキャンセルしたようだから襲撃を警戒する必要が無くなったしね。

ああ、今は早めに貸したお金を返してもらいたい。

ベッドでお母さんの薄い胸に抱かれてチヤは眠ったのだった。(ココが1番安心できる)

◇◇◇

「ああっ!何で、チヤ君がいなくなった、このタイミングで王族からの催促があるんだ!」

クルガー商会長は、店の営業が終わっても店長のケインと対策を話し合っていた。

若干、クルガー商会長の愚痴もあるが。

「仕方がないでしょう。社交終わりに貴族の方が商品をまとめ買いするのを考慮しての仕入れだったのでしょう?それを売れすぎたからとチヤ様を責めても仕方ありません。

それに王族とは理不尽なものです。

『宝石石鹸』を他国の王族に先に渡したのが仇になりましたね」

わかっている。

わかってはいるが、宝石石鹸をクルガー家族で試用する時間が無くて、見た目だけで値付けをした自分も悪いが、他国の王族が来て若干パニックになっている自分に『宝石石鹸』を善意で渡したチヤも恨みたくなってくる。

事の起こりは『お忍びで他国の王族がインベルト商会に来た』事だ。

クルガー商会長、直々にの接客を望んでから『隣国の王族』だと身分を明かされてパニックにならない庶民はいない。

クルガー商会長は来月に売り出そうとしていた新商品の石鹸を一足早く紹介して特別感を出したり、現王族が使っている『最高級シャンプー』に『最高級固形石鹸』を紹介して、高い買い物を1つ2つ買うでは無く、まとめ買いする隣国の王族に咄嗟にケインを呼び、商品在庫の確認と買い物合計金額の計算とを任せて、店先に出てお見送りしたところ「是非とも次も新商品を期待しているよ」と言われて、「今日紹介したじゃねぇかよ!」とは言えずに神妙に頭を下げて見送ったのだが、それをチヤに商談の時に溢したら『宝石石鹸』なる、見た目を疑うほどの綺麗な固形石鹸を手に入れて、もしもの時の為に保管していたが、 もしもの時(・・・・・) が、早くもやってきた。

そう、『隣国の王族のお忍び再び』だ。

「紹介する最高級品は以前に紹介しましたが」と言っても、王族とは理不尽なもので「新商品があるだろう?それが欲しい」と上から目線で言われて、咄嗟に思い立った『宝石石鹸』を出してしまったのも仕方がないことだ。

それにいたく満足した隣国の王族は滞在している王城へと帰って行った。

そう『王城』へと。

この後の展開を予想出来なかったクルガー商会長にも責任はあるだろう。

王妃様の使者が次の日に矢の如く開店するや否やインベルト商会を訪れて「わたくし、新商品の『宝石石鹸』を貰っていないのですけど(怒)」という内容の文章を聞かされて、クルガー商会長は冷や汗垂らして言い訳した。

「宝石石鹸は作るのが難しくて、入荷しておりません」と。

使者は王妃様から聞かされたと思われる嫌味をネチネチと言ってきたが、「在庫が無いなら仕方がないが、自国の王族を敵に回しても知らんぞ」と言う恐ろしい言葉を置き土産に帰って行ったのが今日で、スイード伯爵家の門を叩くと出てきた門番に「チヤ様は領地に行かれました」と聞かされてガックリと膝から崩れ落ちたのが今でも思い出される。

そう、クルガー商会長は『大きなミス』をしてしまったのだ。

『隣国の王族』を優先して『自国の王族』を蔑ろにしたというレッテルが貼られてしまった。

そして、社交が終わり、自領に帰る貴族達の『まとめ買い』が発生して、それはもうインベルト商会は忙しかったのだ。

対策は『スイード伯爵領地に行ったチヤを追いかける』ことだが、クルガー商会長が推測しているだけで、チヤのスキルで卸している商品を手に入れているのでは無かった場合のリスクが大きすぎる。

チヤから『安価な髪専用石鹸シャンプー』の原価を聞いて、その時点から他国と『貿易をしよう!』と考えてすぐに出来る訳もなく、護衛と信用できる商隊を作る為に人材を揃えている最中だったのだ。

インベルト商会で扱う商品は安全のために『商業ギルド』から商品を卸してもらっている。

商業ギルドから商品を卸してもらうと値段が高くつくが、納品してもらえなかった時の保証がある為に、リスクのある商売をしたく無かったクルガー商会長は、チヤが卸している商品以外の全てを商業ギルドに頼っている。

しかし、今は『王妃様がチヤの商品を望んでいる』のであって、商業ギルドの保証は無い状態で有り、貿易の為の人員も少ない状況だが、やるしか無い。

クルガー商会長は店長ケインと入念な策を練った。