軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

013 数年ぶりの地上

ダンジョン【黒きアビス】から地上に出た俺を真っ先に迎えてくれたのは、木々の隙間からサンサンと降り注ぐ太陽の光だった。

「……2年ぶりの陽光は、さすがに少し眩しいな」

率直な感想を呟いた後、周囲を見渡すと辺り一面には森が広がっていた。

それを眺めながら、俺は2年前のことを思い出し始める。

まず大前提として、俺たち【黎明の守護者】は『交易都市トレードヘブン』を拠点に活動していた。

冒険者と商人が多く行き交うにぎやかな街だ。

そしてここはトレードヘブンから1時間ほどの距離にある『カレイド大森林』。

俺たちは2年前、ここに新しいダンジョンが出現したとの報告を受け調査依頼にやってきた。

「うん、思い出してきたぞ。そんでもって、次に取るべき行動はと……」

今すぐ復讐を始めたい気分だが、その前にまずアルトたちの足取りを追う必要がある。

なにせあれから2年も経っているのだ。

活動拠点を代えている可能性は十分にある。

パーティー解散までは、さすがにいっていないと考えたいが……

「……アルトは2年前の別れ際、俺のレベルを100まで上げてから貴族に売るつもりだったと言っていた。数年単位の計画を立てていたわけだから、そう簡単に解散したりはしていないはずだ」

もっとも、俺がパーティーからいなくなったことをきっかけに解散している可能性はあるが……

その辺りは出たとこ勝負になる。

まあ現状がどうであろうと、全員の居場所を見つけて復讐するという計画には変わりない。

「何はともあれ、まずはトレードヘブンに戻らないとな」

今後の目標を決めた俺は、その足でカレイド大森林を抜け出すのだった――

――しかし、その十数分後。

「おい、兄ちゃん。持っている荷物を全部置いてここから消えな」

「………………」

カレイド大森林の外に出るや否や、5人の盗賊に絡まれてしまった。

さすがにこれは想定外の事態だ。

どう対応したものか考えていると、俺が恐怖で動けないとでも勘違いしたのか、先頭にいるリーダーらしき男が得意げな様子で告げる。

「ハハッ、ここで俺様たちに遭遇するなんて運が悪かったな兄ちゃん。まあ安心しな、抵抗しないんだったら命だけは助けてやる」

「…………はあ」

俺は深いため息を吐いた後、少しだけ会話に応じることにした。

まさか数年ぶりの話し相手が、こんな訳の分からない奴らになるなんて。

「それはこっちのセリフだ。今、お前たちに構ってやる気分じゃないんだ。今なら見逃してやるからさっさと消えろ」

「おいおい、口の利き方がなっちゃいねえなあ! 雑魚冒険者の分際で」

「……雑魚冒険者?」

コイツらは目の前の相手との力量差も測れないのだろうか?

そんな疑問を抱いていると、何を思ったのか盗賊はさらに笑みを浮かべる。

「ああそうだ、そのみすぼらしい見た目が何よりの証拠よ!」

「……ふむ」

そう言われ、俺は自分の格好を確認した。

今はブラック・ファングの毛皮から作った簡素な衣類に身を包んでおり、装備も 骸の剣(ネクロ・ディザイア) と骨短剣のみ。

たしかに見た目だけなら実力者には思えないだろう。

しかしこれは盲点だった。

今まで考えていなかったが、確かにこの格好のままトレードヘブンに向かえば不審な目を向けられる可能性がある。

復讐を終わらせるまで、できるだけ目立ちたくはない。

さて、どうしたものか。

そう考えながら顔を上げた俺の視界に、盗賊たちの高そうな装備が映る。

「どうやら剣だけはそれなりのモンを持っているみたいだが、お前の格に見合ってねえ。ほら、さっさと俺様に渡すのが吉ってもんよ」

「………………」

「ここまで言っても断るようなら力尽くだ! やるぞ、テメェら!」

「「「おう!!!」」」

リーダーの号令に従い、5人が一斉に襲い掛かってくるのだった。

◇◆◇

数分後。

俺は盗賊たちから奪った装備に身を包んでいた。

「……ふむ、この格好なら不審には思われないか」

軽く自分の見栄えを確認した後、下着一枚の姿で横たわる盗賊たちを見下ろす。

「運が良かったな、出会ったのが今日じゃなかったら、お前たちは全員ここで死んでいた」

「は、はい……助けてくださり、心から感謝いたします……」

先ほどまでの態度はどこへやら、震える声でそう告げる盗賊たち。

彼らを生かすことにしたのは、アルトたちへの復讐を遂げる前には誰も殺したくないという俺のエゴからだった。

周囲から見ればつまらない理由に思えるかもしれないが、俺にとっては重要なことだ。

「じゃあな」

俺は装備だけでなく、盗賊たちの持っていた荷物を持ってその場を後にする。

それなりに活動を続けてきたのか、荷物の中には金になりそうなものが多く詰まっていた。

しばらく資金には困らなさそうだ。