軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

020 ギルドバトルを吹っかけられた!?

「え、えっ!? ちょっと待ってください! どうしてそんなことに!?」

「理由はウチらにも分からん。ウチらにギルドポイントを奪われたことを恨んどるのか、それとも……」

「大人げないわよね。こっちは三人しかいないのに。パラッパ・レードのメンバー数は十八よ?」

「じゅ、じゅうはち!?」

そ、そんなのムリだって!!

こちとら、さっき六匹のガルムにビビってたってのに!

十八人の人間に本気で襲われるなんて無理無理!!

「いや、ルル。こっちは戦えるのがサキはんだけやから実質一人だけや」

「私だけ!? 1 vs 18!?」

いやいやいやいや、私なんて力も頭もないステータスボロボロの元社会人ですよ!?

剣もまともに振るえないのに、戦力に数えないで!?

そう私が取り乱していると。

「私がいるので問題ありません」

そう言ったのは、アルテミス。

そうだった、アルテミスは私の従者だから正式なギルドメンバーに数えられてないけど、きっと参加できるはず。

昇格試験でも一緒に出られたわけだしね。

無表情でそう言うから、頼もしいったらありゃしない。

「というより、アルテミスちゃんだけね」

「あ、あとはジョンソンとブルースがいます!」

そうだそうだ、私には異常個体──剛体種のゴブリンズがいる。

「ジョンソン? ブルース? 誰やそれ?」

「あ、私の召喚するゴブリンたちの名前です!」

「あぁ、アイツらか!……まあ、それ含めても三、か」

いや、ちょっと待って。

私の魔力量の最大値って……どれくらいだっけ?

私は『ステータス』を開き、確認する。

────────────────────

人間 召喚士 Lv. 6

【体 力】 13

【魔 力】 1(15)

【持久力】 12

【攻撃力】 1

【防御力】 1

【 運 】 999

【速 度】 1

【知 力】 1

【精神力】 1

【スキル】

亜人召喚Ⅰ 低魔召喚Ⅰ 時短召喚術

獲得経験値増Ⅰ

────────────────────

私の最大魔力量は15。

つまり、【時短召喚術】を利用すれば、ゴブリンを最大七体召喚することができる。

全員が全員、ジョンソンやブルースみたいな剛体種が出てきてくれるかは分からないけど、とりあえず8 vs 18にすることは可能かも。

──いや、何なら今からレベル上げをして【魔力】を上昇させれば……?

つまり、ギルドバトルがいつ開催されるのかによる、ということになる。

一ヶ月とかなら、全然間に合うかも。

そう思い、パンさんに聞いてみることに。

「ちなみに、ギルドバトルはいつなんですか?」

「明後日や」

「なるほど、明後日……ええええええ!?!?」

いくら何でも急すぎない!?

「完全にやってるわよね、彼ら。私たちが準備できないようにしてる」

「そんなのありなんですか!? ふっかけたもん勝ちじゃないですか!?」

「せやな、実際仕掛けた方が有利や。裏で先に準備できるからな。だからウチらみたいな……まあええ」

「その上、パラッパ・レードには第四天位の冒険者がいるみたい。こっちは第一……そうだ、サキちゃんの昇格試験はどうだったの?」

「あ、はい! 第三天位に昇格できました!」

「おー、そうか、良かった──って、第三!?」

「なんか、そうなって」

「ず、随分ノリで昇格したんやな……。まあええ、こっちは第三天位やからそういう意味でも不利やな……。せや、サキはんは全力出せば何体くらいゴブリン召喚できるんや? 五体くらい並べられれば、いけるかもわからん」

……あ。

私の今の魔力量が1。

魔力は一日に1しか回復しない。

イコール、明後日の魔力量は3……。

これじゃあ、ゴブリンズも一体しか召喚出来ないじゃん……。

「あのー、さっきゴブリンズ召喚しちゃったので、魔力が足りなくてゴブリンも一体しか召喚できそうになく……」

「……そりゃもう詰んどるな……」

「え? いや、私がいるので大丈夫だが……」

「……いや、アルテミスはんの実力を疑ってるわけやないんやで? ただ、十八人相手にするとなると、さすがになぁ」

「え?」

アルテミスが何か言ってるが、パンさんの言うことが正しい。

確かにアルテミスは強いと思うけど、多勢に無勢という言葉もある。

それに、私たちを守りながら戦うなんて無理だよね。

実際、護衛の任務はゲームでも高難易度だし。

そういえば、ギルドバトルのルールはどうなってるんだろう?

やっぱり、ギルドマスターがやられたら負け、とかなのかな?

そう思い、パンさんたちにギルドバトルの基礎を教えてもらうことに。

──要するに、ギルドバトルはこうだ。

指定された日時、場所で、ギルド同士が衝突する。

制限時間は予め定められており、今回は三時間とのこと。

もっと大きなギルド同士のバトルだと準備期間が設けられたりすることもあるんだとか。

その準備期間で建造魔法で城塞を築いたり、罠を仕掛けて接近を防いだりするらしい。

そして、肝心の勝ち負けのルールだけど、非常にシンプル。

ギルドメンバーの誰かが持っている、ギルドクラウンという宝玉を取られたら負け──これだけらしい。

ギルドクラウンは大抵ギルドマスターが持ってるから、それぞれのギルドは相手のギルドマスターのもとまで辿り着き、ギルドクラウンを奪えば勝ち、というわけだ。

あとはルール無用。

同盟を結んで他のギルドに参加してもらったり、飼っている魔物を使役したり。

もちろん召喚もありとのこと。

「せやから、建造魔法が使える冒険者はそれだけでかなり重宝されるわけやな。城塞を築けばそれだけでギルドマスターのとこまで行くのが困難になるわけや。召喚士も同様や。数が増えるのは純粋に強いからな」

「ギルドの総合力が試されるってことね。私たちが一番弱いところよ」

確かに、私たちってまだまだギルドとしてはボロボロだもんね……。

私なんて、パンさんたちが普段何してるのかも知らないし。

とりあえず、みんなで状況をまとめてみる。

試合は明後日。

そのときの私の魔力は3。

つまり、召喚できるのは剛体種ゴブリン、ガルムちゃん、未召喚のスライムのどれか一体──それも一時間だけ。

つまり、アルテミスと召喚獣 vs 十八人……。

これは、もう無理かも。

「ま、負けたらどうなるんですか……?」

「そりゃもう、何でもありや。といっても、大抵はギルドポイント全部奪われるか、ギルドポイントはそのままでいいから配下に下るように言われるか、や」

「ギルドポイントを奪われちゃったら、再起は難しいからね。ほぼ解散よ」

つまり、解散か従属か……。

「もしかしたら、サキはんを配下にしたいのかもしれんけど……」

「うぅ……きしょい……」

「そこは大丈夫や。ウチらが守ったる」

「力じゃ難しいけど、それ以外でなら任せてね。社会的に殺してあげる」

そんな二人の言葉に安心しつつ。

「でも、まだ負けたわけやない。何か策が無いか、考える時間くらいはある」

「いや、十八人だろう? 私が殺るぞ?」

「そうね、三人寄れば文殊の知恵。何か思いつくかも」

「私が──というか私もいるから四人では……」

「そうだ、パンさんたちの伝手で他のギルドに協力を依頼できたりしませんか?」

「(マスター可愛い)」

他のギルドに協力を依頼すれば、数の問題は解決するかも?

咄嗟の思いつきだけど、アリじゃない?

「うーん、難しいやろなぁ。明後日やろ? 他のギルドも準備できへんやろうし。それに、ウチらに手を貸してくれるところは少ないやろなぁ」

「知り合いは多いんだけどね。表立っての協力関係は結びたがらないかな、みんな」

うーん、じゃあこの案もダメかぁ。

うーん、うーん、と皆で唸っていると……。

「……この前のドルトステラに協力を依頼するのはどうだ?」

そう、アルテミスが口を開いた。

「──それや!」

「それ、ありかも」

ドルトステラはこの前のギルド市で知り合ったルーアンさんの所属するギルドだったよね。

「ドルトステラはこの前の一件でウチらに借りがある。まあ大きな借りやないけど、交渉の取っ掛かりにはなるはずや。それに、烈火のオルダンが参戦してくれれば百人力やしな」

アルテミスの思いがけない提案で、私たちの方向性は一気に固まった。

「早速やが、ウチとサキはんはドルトステラに行ってくるわ。その間、ルルは情報収集を頼むわ」

「分かった。急ぐわね」

そう言うと、ペールルージュさんは早速外に出掛けていく。

「ウチらも急がな。時間が過ぎれば過ぎるほど、準備できる時間は限られる。そうなると他のギルドに協力してもらえる可能性も減ってまう」

「はい!」

こうして、私たちはドルトステラのギルド本部に向かうことになった。

……ちなみに、案が採用されたアルテミスは、なんだか一日上機嫌だった。