軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第39話 アークデーモン戦

(ああああああああ、くそおおおおおお、俺は何感情的になってんだっ!)

【ミズトさんのご高説、たいへん素晴らしいものでした】

(うるさいな! 管理職ってのは自分ができないことも偉そうに言い切る必要があんの!)

ミズトは剣を抜き、ゆっくりとベヒモスへ近づいて行った。

【それでもセシルさんには、ミズトさんの熱い言葉がしっかりと届きました。どのような結果になろうと、きっとセシルさんが後悔することはないでしょう】

(そういうのいいから! そんなことより、結局勝たねえと意味がない! またここまで来るとか、絶対有り得ねえし!)

【はい、戦闘に集中なさってください】

戦闘は、セシルと二体の精霊がアークデーモンと戦い、その間ミズトがベヒモスを抑える分担になった。

(やってやる、やってやるよ! 言ったからには、あの馬鹿デカいの一人で抑えてやるよ!)

【中級ポーションは全て渡してしまいましたので、攻撃にはご注意ください】

(ああ、分かってる! 避けまくって斬りまくってやるよ!)

ミズトはセシルに目を向けると、二体の召喚を終え、アークデーモンへ近づいているのが見えた。

アークデーモンもそれに気づき、立ち上がっている。

そして、エンディルヴァンド地下洞窟の最終戦が、セシルの声と共に切って落とされた。

「フェンリル、ウンディーネ、行くわよ!」

遠距離からの波状攻撃が始まった。

「うおおぉぉぉぉぉぉっ!!」

ミズトも同じタイミングで駆け出す。

ベヒモスに近づくにつれ、その巨大さにミズトはどこへ攻撃していいものか悩んだ。

突くべきか斬るべきか。下に潜り込んで腹部を狙うか、大きな身体を支える脚を狙うか。

そうこうしているうちにベヒモスが広範囲に渡る炎のブレスを吐いた。

ミズトはそれを跳んで避けるが、その跳躍はちょっとしたマンションよりも高い。

「そこかぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

ミズトはそのまま頭部を目掛けて叩きつけた。

ズン、と地響きのような振動が辺りに伝わった。

斬れはしなかったが、頭部に攻撃を受けたベヒモスが、前脚を崩して顔を床に打ちつけたのだ。

「ミズト、あなた……。フェンリル! ウンディーネ! あっちをお願い!」

セシルはミズトの強さを理解すると、すぐさま作戦をベヒモス討伐優先に変更した。

ミズトの方も、フェンリルとウンディーネがこちらに参戦してきたことで、セシルの意図を読み取った。

(セシルめ、一人であの悪魔を抑えるつもりか……)

これで戦いの鍵は、ベヒモスをいかに早く倒せるかにかかった。

少しでも早く倒して、セシルの援護に向かう必要がある。

ゆっくりと相手の攻撃を見極め時間を稼ぐつもりが、そうもいかなくなったのだ。

本来、今のミズトでもベヒモスは一対一で勝てる相手ではなかった。

しかし召喚されたセシルの精霊は能力が高く、とくにフェンリルの単純な攻撃力はセシルさえも越えるため、的の大きいベヒモスには効果的だ。

「こっちだ! デカブツ!」

ミズトは、立ち上がったベヒモスに体勢を立て直す間を与えぬよう、剣で斬りつけながらベヒモスの周りを動き回った。

ベヒモスの分厚い表皮に傷をつけるとまではいかないが、ミズトの一撃一撃は巨大な身体を 怯(ひる) ませるほど重く、ベヒモスを 翻弄(ほんろう) した。

その間に精霊たちが絶え間ない攻撃を浴びせ続ける。

結局、ミズトが注意を引きつけていると、それほど時間をかけることもなく倒すことができたのだった。

(よっし! よっし! セシルは!?)

ベヒモスの消滅を確認すると、ミズトはすぐにセシルの姿を探した。

戦闘はまだ継続しているが、セシルが明らかに負傷している。

ミズトはセシルのポーションを飲む時間を作るため、アークデーモンに突進した。

「こっちだ、悪魔め!」

それに気づいたアークデーモンは、ミズトへ攻撃魔法を連続で放つ。

それを何とか掻いくぐり、アークデーモンの懐まで近づき斬りかかった。

(避けられた?!)

アークデーモンは人間のミズトより二回り大きい程度。

今までのボスモンスターに比べるとかなり小柄な分、動きが格段に速いようだ。

「当たれぇ! 当たれぇ! 当たれぇ!」

ミズトは何度も斬りかかるが、アークデーモンはすべて避け続ける。

アークデーモンも目の前でミズトに魔法を撃つが、ミズトもそれを避け続ける。

ミズトではアークデーモンに傷をつけることすら難しそうだったが、それでもこの場合、ミズトは極めて重要な役割を果たした。

その間にセシルが回復し、フェンリル、ウンディーネと共に全力で攻撃へ転じることができるのである。

「ミズト、良くやったわ!」

三者の攻撃がほとんどアークデーモンに命中した。

アークデーモンはミズトに気を取られ、セシルたちの攻撃を避けられない。

一気にアークデーモンの動きが鈍くなり、ミズトの攻撃がたまに当たるようになった。

「いける!」

ミズトは距離をとろうとするアークデーモンに詰め寄り、更に斬撃を加える。

「いけない! ミズト、逃げて!」

突然セシルがそう叫んだが、同時にアークデーモンが魔法を唱えた。

先ほどまでと違い、攻撃範囲が広すぎてミズトも避けることができなかった。