軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第29話 ミズトVSジュリオ

(朝から面倒くせえやつが……)

ミズトは一方的に 慕(した) ってくるジュリオを無視し、いつもの日常を始めた。

まずは昨夜に作成したポーション類を売り、空き瓶を買ってから、荒らされなくなった部屋に置きに戻る。

朝食は朝市で果物を一つか二つで済ませ、昼食用に干し肉を購入してから、エンディルヴァンド地下洞窟へ向かう。

だいたい途中で調合に必要な薬草が見つかるので、ついでに採取しておく。

エンディルヴァンド地下洞窟では地下二階と三階で『青の魔石』を入手できるが、地下二階は他の冒険者と出会う確率が高いので、地下三階で集めることにしている。

地下三階に出現するモンスターはレベル30前後で、今のミズトは一振りで倒すことができた。

『青の魔石』はその日に必要な分しか持ち帰らないことにしている。

エデンが言うには、必要以上に持ち出すと同じ場所では入手できなくなる可能性があるようだった。

仕組みはよく分からなかったが、そういう仕様なのだろうと思うことにして、持ち帰る量を制限した。

『青の魔石』を必要な分だけ入手しエンディルヴァンド地下洞窟を出ると、ちょうど日が暮れる時間になる。

それから町へ戻り、荷物を置いて料理屋で夕食を取るのがミズトの一日のサイクルだった。

「アニキ、今日は一日ありがとうございました! 明日も頼んます!」

結局、ジュリオは一日中ミズトについて回った。

ミズトがジュリオの存在を無視し続けたにも関わらず、少しも意に介すことなく横で話し続けていた。

(あいつ、よくもまあ一人であそこまで話せんな)

ミズトは嬉しそうに手を振るジュリオを見ながら思った。

【彼が言っていた通り現状でもミズトさんの方が強いので、力づくな行動をとることも可能です】

(ついてきたら殴り飛ばせばいいって言ってんのか? いや、さすがにそんな横暴には出れないな……。まあ凶暴戦士らしいけど、俺)

そうは言ってもさすがに鬱陶しいのは事実だったので、明日も付きまとわれるようなら、実力行使に出ようと考えていた。

「アニキ、おはようございます! 今日もいい天気っすね!」

翌日もジュリオは宿屋の前で待っていた。

(こいつ、やることないのか……?)

ミズトはジュリオに 呆(あき) れながらも、前日と同様に完全無視で一日をスタートさせた。

「でね、アニキ。マックスの奴が偉そうに言うんで、二、三発殴ったら逃げていったんすよ。マジで腰抜けっすよね!」

ミズトは町での用事を済ませ、町の出口へ向かって歩いていると、ジュリオはすぐ後ろを歩きながら話し続けている。

(ここら辺ってとこか)

ミズトは町を出たところで立ち止まった。

「アニキ? どうしました?」

ジュリオも合わせて立ち止まる。

もうついてくるな、と怒鳴ったところでジュリオが諦める気はしなかった。

彼は単純なだけに真っ直ぐな性格で、決めたことは曲げないように思えるのだ。

ここで暴力に訴えるほど落ちぶれたくないという気持ちもあり、ミズトが選んだ手段は、全力ダッシュだった。

「アニキ!?」

ジュリオの声が一瞬で遠ざかる。

ミズトが全力で走ると、野生動物よりも遥かに速く、しかも疲れることなく走り続けることができる。

ジュリオがすぐに追いかけてきたが、追いつかれるどころかみるみると引き離していく。

【いくら逃げても目的地が分かっていますので、最終的には追いつかれます】

エデンが自分から声を掛けてきた。

(そんなもん分かってるが、諦めるかもしれないだろ)

ミズトはそのまま速度を落とすことなく、エンディルヴァンド地下洞窟の地下三階まで駆け抜けた。

「ふう。肉体的には疲れないけど、なんか精神的に疲れた気がするな」

後ろにジュリオがついて来ていないことを確認しながらミズトは呟いた。

エンディルヴァンド地下洞窟に入ると、外を察知することはできない。

ダンジョンの仕様なのか、外にいると中を察知できないが、一歩入れば中のモンスターを察知できる代わりに、外の事が分からなくなる。

そのためジュリオがまだ追いかけているのかは分からないのだが、ミズトはさっさと『青の魔石』を集めることにした。

(来やがった……)

それから五分もしないうちに、ジュリオの気配を察知した。エンディルヴァンド地下洞窟に到着したようだ。

そしてその三十分後には、ミズトの位置まで追いついた。

「ハアハア……、アニキ……、速いっすよ……ハアハア……」

ジュリオはかなり疲れた様子で、荒い息が止まらない。

(どうするかな。他に『青の魔石』が取れる場所ないか聞いてみるか……)

「アニキ……ハアハア……、言っときますけど……ハアハア……、あっしアニキの匂いが分かりますから、ここ以外でもちゃんと行けますんで……ハアハア……」

(マジか……)

ミズトはちょっと心が折れそうになった。