軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第209話 日本卍会のジン・キトウ

セーフティエリア内には、三百人ほどの 異界人(いかいびと) がいるようだった。

その半分ほどは、『幻影の 方舟(はこぶね) 』が言うようなゴロツキばかりだが、残りの半分は普通の 異界人(いかいびと) に見えた。

(見た目通り悪意がある奴と、見た目通り普通の奴がいて、なんか不思議な感じだな)

【クラン『日本卍会』は、自ら希望して所属した者と、クラン戦で敗北して強制的に所属させられた者に、大きく分かれます】

(なるほど、そういえばそうだったな……)

ミズトはエデンの説明を機に、改めて気になっていた人物の気配を探ったが、意外と広くばらけていて上手く探せなかった。

「おい、その二人は何だ?」

一段と大きいテントに近づくと、付近にいた長髪の人物が丸坊主の男たちに話しかけてきた。

「ケンスケさん、チワっす! こいつらをジンさんとこに連れていくとこっす!」

丸坊主の男たちは、事情をケンスケと呼んだ男に説明した。

「ほう、こいつがミズトか。想像してたよりガキだったな。転生者ってのも面白え」

ケンスケという男は、興味あり気にミズトを見下ろした。

ミズトより十センチほど背が高い。

「まさかの無所属ですし、なんか面白いネタ持ってっかもしれねえっすぜ!」

「たしかにな! おいガキ! クソみたいなネタしかなかったら、斬り刻んでやっからな!」

ケンスケは背に差している剣の柄を握って言った。

ステータスを見るとレベル58のウォリアー。

これほど 異界人(いかいびと) がいてもレベル50台はほぼ見当たらず、58ともなると頭一つ二つ抜けているようだった。

それからケンスケもそのまま合流すると、五人は大きなテントの中に入っていった。

テントの中に入ると、まるで王様のような椅子がテントの奥に置いてあり、全身タトゥーだらけの大きな男がそれに座っていた。

髪は両サイドを綺麗に剃りあげ、金色の短髪で、顔にもタトゥーが入っている。

上半身は裸で、ジャラジャラと様々な小物を付けたズボンと、宝石のような飾りのあるフィンガーレスグローブを装備している。

ミズトは名前を確認するためステータスを見た。

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ジン・キトウ LV59

種族 :人間

所属 :日本卍会(ランク4)

加護 :力の天使

クラス:インパクトマスター(熟練度9)

転移者(熟練度8)

ステータス

筋力 :A(+B)

生命力:B(+C)

知力 :F

精神力:D

敏捷性:D

器用さ:E

成長力:E

存在力:E

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(あんまり強そうに見えんが、ユウマと同じようにステータスと強さにギャップがあるんかね)

【ユウマさんが聞いたら、ミズトさんだけには言われたくないと仰るはずですが、ミズトさんの言う通りになります。彼はクラン補正によりレベル70程度の基礎能力を持ち、クランスキルを使うことでそれ以上の能力を発揮することが可能です】

エデンがジン・キトウの能力を解説した。

(なるほど)

ミズトは、前の世界なら目も合わせたくないような、あからさまに危険な空気を持つジンの顔を見た。

「おい、ケンスケ。なんだ、そのゴミクズどもは」

ジンが、見下すような目でミズトたちを見てから言った。

「すいません、ジンさん。こいつら通りすがりの冒険者みたいなんですが、ちょっと面白そうなんで連れてきました」

「あ? どういうことだ?」

「このデカい騎士。エルドー王国って言やあ、あの『 神楽(かぐら) 』に滅ぼされた王国騎士ですぜ。あんな小国でレベル67なら、きっと隊長クラスの騎士のはずです」

ケンスケがウィルを前へ押し出した。

「エルドー王国の騎士隊長だあ? ガーハッハッハッ!! そいつは面白え!! あのヒロどもに滅ぼされたゴミクズかよ! おい、ウィルとかいうゴミクズ。故郷が 異界人(いかいびと) に滅ぼされるのはどんな気分だ? ガーハッハッハッ!!」

「…………」

ウィルは表情を崩さず黙っている。

(このガキ、ジェイクみてえにバカ笑いしやがって。クソ気に食わねえな)

「で、そっちの生意気な目で見ているゴミチビは何だってんだ?」

「す、すいません、ジンさん!?」

ケンスケはジンの言葉に慌てて反応すると、

「こっちはソロでダンジョン攻略ログを出していた野郎です!」

今度はミズトを前へ押し出した。

「ソロ攻略だあ? ……たしかにそんな名前だった気もするが」

ジンは値踏みするようにミズトを観察した。

「はい、間違いありません! ログはミズト・アマノって野郎でした!」

「低ステータスで無所属のくせに、レベル50のウィザードか……。おい、ゴミチビ。聞いたこともねえダンジョンばかりだったが、どうやってソロ攻略したか聞かせてみろ」

ジンは睨んだまま静かに言った。

他人を名前で呼ぶこともできないチンピラに話す義理はないが、ミズトは無駄な争いを避けるため、アウロラ大陸でスタートした話を伝えた。

「ほお、新大陸の初心者ダンジョンだったか。それならゴミチビでもソロ攻略できるかもな! ガーハッハッハッ!!」

ジンは楽しそうに笑った。

「それにしても、百万Gで大陸間を移動できる情報は初耳ですね!」

「ああ、帝国になんざ興味なかったが、そのうち行ってみるのも悪くねえな、ガーハッハッハッ!!」

ジンはケンスケの言葉に気分良さそうに答えた。

「楽しそうなところ悪いが、そろそろこちらの話をしてもいいか?」

ウィルがジンたちの会話に割って入った。