軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第176話 ユウマの功績

共和国首都セルタゴに戻ると、革命鎮圧の依頼は完了となり、五百人の冒険者は解散した。

帝国軍たちと違って、ゾロゾロと一緒に帝都へ戻る必要はないのだ。

このまま共和国に残る者、他国へ向かう者、帝国軍とは別ルートで帝国へ戻る者、様々だ。

ミズトも、冒険者ギルドで報酬を受け取ると、フェルナンやジェイクたちと別れ、一人で首都セルタゴの南門に向かった。

「さすがミズト氏! ちゃんと時間前に来るんだね!」

ミズトが南門に着くと、ユウマ・サカキが待っていた。

「はい。約束の時間は守ります」

ミズトは、ユウマと待ち合わせをしていた。

本当は食事に誘われていたのだが、帝都へ急ぐ必要があると適当に答えると、せめて出発前に少し話したいと言われたのだ。

「悪かったね、時間もらっちゃって」

「いえ、ユウマさんこそ、立場的にお忙しいのでは?」

「ま、政府として帝国軍との交渉が色々あるんだけど、実は護送していた黒騎士と部下の四人が殺されててね。しかも『ゲート』って危ないアイテムも紛失したようで、ちょっと帝国軍がそれどころじゃないみたい」

(殺されたって……)

「とても物騒なお話ですね」

「うん、おかげで彼らが何者か分からずじまいで、真相は闇の中って感じさ」

「なるほど……。ところで、急かすわけではないのですが、お話とはなんでしょうか?」

早く話を終わらせたい本音を隠し切れずに、ミズトは言った。

「はは……本当はゆっくり話したかったんだけど、とりあえず伝えたい事だけ伝えるね。ミズト氏にはお世話になってばかりだから、ちゃんと言っておこうと思って」

(世話なんてしたっけ……)

「僕は共和国民なら 異界人(いかいびと) であろうとなかろうと平等にしてきたつもりだけど、それが良くなかったみたい。もっと苦しんでいる人たちに目を向けて、彼らには彼らに合った支援をするべきだった。これからは何でもかんでも平等とは違う、全ての共和国民のための政策を考えようと思ってる!」

(平等ではなく公平ってことね)

「それで、納得いく政策を施行できたら『スマイルファミリー』を解散しようと思ってるんだ」

「クランを解散するのですか?」

ミズトはユウマの表情を見ながら聞き返した。

「うん、皆には悪いけど、今の共和国に『スマイルファミリー』は無い方がいいと思うしね。それに、ちょっと旅に出ようと思ってるんだ」

「共和国を出るってことですか?」

「そ。僕はこの世界に転移してから七年、一度も共和国から出たことないんだ。スタート地点の一つであるこの共和国を良くしようと、僕なりに頑張ってきたし、それなりの成果も出したつもりでもいた」

(政府の要職に就いてるんだし、なかなかだと思うぞ)

「でも、ミズト氏を見て、井の中の蛙だって思い知ったんだ。旅をすることで内面も含め鍛え直して、さらには 異界人(いかいびと) の上限って言われるレベル59を越えて、いつかミズト氏に追いついてみせる。それが言いたくてね」

(俺を見ても参考にはならないぞ……)

なんだか申し訳ない気持ちになってきた。

「それに、 異界人(いかいびと) で唯一、上限レベル59を越えたって噂のヒロって人にも会ってみたいしさ」

「そうでしたか。頑張ってください」

「はは……。あ、そうだ、これを渡しておくよ」

ユウマは青い石を三つと、石板の欠片のようなものを取り出した。

「これは?」

「青い方は『覚醒石』と言って、一定時間攻撃が全てクリティカルヒットになるクランスキル『覚醒』を使用するのに必要なアイテムだ」

(クリティカル? 会心のなんちゃらってことか)

「で、もう一つは『クランの欠片①』と言って、クラン設立に必要なアイテムの一つさ」

「? すみません、私には不要なので受け取るわけには」

「いや、ミズト氏に持っててほしいんだ。『覚醒石』はランク3のクランマスターか、ランク4以上のクランメンバーしか使用できないんだけど、どっちもどこかで役に立つと思うからさ!」

(ううむ……)

「そうですか、そういうことなら頂戴します」

くれるというものを断り続けるのは心苦しく、ミズトは受け取ることにした。

「良かった! 伝えたいことは以上かな」

「なるほど。私などにはもったいないお言葉、恐れ入ります。私からすれば、むしろユウマさんの方こそ素晴らしい方だと思います。共和国の方々とは少し行き違いがあったかもしれませんが、とても素晴らしい功績でしたし、これからはきっとうまくいくはずです。良い旅になりますように祈っています」

ミズトは、何となく言いたくなったことを口にした。

「ありがとう、ミズト氏! 君にそう言わると、頑張れる気がするよ! 最後にもう一つ、お願いがあるんだけど」

(お願い事はちょっと……)