軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第164話 革命軍の目的

「今だ、ポーラ! 腕を!」

「はい、シェリル様!」

シェリルの合図と同時に、ポーラが落ちているシェリルの腕に飛びついた。

しかし、ポーラが腕を掴む寸前で、突然モンスターが出現し踏み潰した。

「あっ……そんな……」

ポーラは絶望的な声を出し、動きが止まった。

「馬鹿な奴ですね」

レイヴンがそう言った瞬間、出現した熊の姿のモンスターがポーラを弾き飛ばした。

「ぎゃっ?!」

ポーラはテントを巻き込んで、外まで飛ばされる。

「ポーラ!」

「残念でしたね。今なら中級ポーションでも腕を接合することが可能でしたが、こうなっては不可能です。はっはっはっは!」

「く、くそ、アーマーベアごとき」

シェリルは左腕で剣を抜いた。

「お待ちください、シェリル様! 見た目はアーマーベアですが、レベル82のグリノスアーマーベアというモンスターのようです!」

ユウマが引き留めるように言った。

「レベル82だと……?」

「はい。あれが先ほどから言っているグリノス種というものだと思います」

ユウマも剣を抜いた。

「お、おい、なんであんなモンスターがいるんだ?」

「そんな……シェリル様が怪我をされてる」

「あそこにポーラ様が倒れられてるぞ……?」

テントが壊れ、中の様子に気づいた周辺の帝国騎士が騒ぎだした。

「さて、次は――――グリノスよ! 周辺のモンスターを出現させなさい!」

レイヴンがそう言うと、革命軍の陣地内に何百体ものモンスターが発生した。

「さあモンスターたちよ! 帝国軍と革命軍を蹂躙せよ!」

レイヴンの言葉を号令に、グリノスアーマーベアが飛び出していった。

「レイヴン様。我々もあちらに」

黒いローブの一人がそう言うと、四人はグリノスアーマーベアの後を追っていった。

「ま、待て!」

「おっと、あなた方は私が相手しましょう」

飛び出そうとするユウマを黒騎士レイヴンが止めた。

いつの間にか黒い鎧姿に変わっている。

偽装アイテムで見た目を変化させていたのだ。

「いったい貴様は何だと言うのだ? 革命軍のリーダーではないのか?」

シェリルが疑問を口にした。

「はっはっはっは! 革命軍のリーダーで間違いありませんよ。私が共和国民をそそのかして、革命軍を立ち上げたのですから」

「な、なんだって!? なぜそんなことを!!」

ユウマが声を荒げた。

「それは、この地域に混乱をばら撒くのが目的の一つだからです。帝国では騎士団が不在時に少し騒ぎを起こす程度がやっとでしたが、共和国は 異界人(いかいびと) への不満が大きく、簡単に大きな混乱へ発展しました。大袈裟に革命の噂を流したことで、想定通り同盟国である帝国も巻き込むことが出来たことですし、上々の成果と言えるでしょう」

「口上もそこまでだ! さっさとそいつを倒すぞ! 続け!」

「はっ!」

シェリルと副隊長の男性帝国騎士が黒騎士レイヴンに飛び掛かった。

「トオルさん! 僕らも!」

ユウマもそう叫んで参戦する。

「はっはっはっは! 帝国軍や革命軍が皆殺しにされている間、少し相手をしてあげましょうか」

レイヴンは、シェリル、男性帝国騎士、ユウマ三人の攻撃を難なく捌きながら言った。

三人は息つく暇もなく攻撃を仕掛けるが、傷一つ付けることもできない。

レイヴンが言ったとおり、唯一レベル80台のシェリルが利き腕を失った時点で、勝ち目はなくなったのだ。

「こうしている間にも、さっきのモンスターが……!」

ユウマは周りの様子が気になった。

帝国軍が相手をしていると言っても、出現したモンスターの数も分からないうえ、グリノスと呼ばれたモンスターはレベル82だ。一般の騎士や戦士では太刀打ちできない。

ユウマの耳に届くのは、戦闘音と言うより、ほとんどが悲鳴だった。

「シェリル様! 遅れて申し訳ございません!」

ポーションで回復したポーラが戻ってきた。

「良い! この黒騎士、我々三人で仕留めるぞ! そこの 異界人(いかいびと) ! 貴様はあちらに行くがいい!」

帝国軍のプライドなのか、ユウマへの気遣いなのか、シェリルはユウマに、周りの応援に行くよう指示した。

「ありがとうございます、シェリル様! ここはお任せします!」

ユウマは隊長、副隊長の三人にこの場を預け、グリノスアーマーベアを追った。

周りはすでに多数の負傷者が出ているようだった。

ステータスが表示されるので、かろうじて死者はいないようだ。

ユウマはそのまま、人々の悲鳴が聞こえる方向へ向かった。

「フェ、フェルナン様、我々はいかがいたしましょう?」

何もできず、ずっと立ち尽くしていた冒険者ギルド事務員のブライアンが、青ざめた表情で言った。

「あの黒騎士相手に我々が出来ることはありません。あなたは革命軍の避難誘導を手伝ってきてください。私はユウマ殿を追います。老いた今でも、召喚獣の一体ぐらいなら何とか出せるはずです」

「しょ、承知しました!」

ブライアンはフェルナンの指示を受けると、逃げるように駆け出していった。

その様子を見届けたフェルナンは、黒騎士一人に押されている帝国騎士三人を見ながら呟いた。

「このままではどれほど犠牲が出ることか……。帝国の方々も長くは持ちそうにありません……。ミズト殿、ジェイクはご無事でしょうか。あなた方が頼りです……」

フェルナンもその場を離れた。