軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第111話 緊急指名依頼

半月ぶりの王都ルディナリアに辿り着いたミズトは、イベントクエストの報酬が入ったこともあり、数日は何もせずゆっくり過ごすつもりでいた。

報酬アイテムが何に使うものなのか気にもなっていたし、進化したエデンの能力も確認したかった。

ところが、王都の入口で衛兵に冒険者ギルド証を見せると、ミズトの思いを邪魔するような伝言を聞くことになってしまった。

「B級冒険者のミズト様ですね? 冒険者ギルドより、指名依頼のために大至急ルディナリア支部へ来ていただけるよう、伝言を承っております」

(帰ったらいきなりか。面倒だな……)

「わざわざありがとうございます。ギルドの支部ですね、承知しました。それにしても、衛兵の方は冒険者ギルドから伝言を受けることがよくあるのですか?」

ミズトは衛兵から冒険者ギルド証を受け取りながら訊いた。

「いえ、自分はここに三年ほどおりますが、このようなことは初めてです。よほど重要で緊急な依頼なのかもしれません」

「そうでしたか……。分かりました、お勤めご苦労様です」

ミズトは軽く会釈をして、王都内へ入って行った。

(なあ、エデンさん。伝言を無視したり、二・三日後に行ってもいいと思うか?)

【衛兵の方が大至急とおっしゃっていました。このまま向かうのが適切です】

(それって、進化したエデンさんは内容を知ってて言ってるのか?)

【申し訳ございません、お答えできません】

(なんだかなぁ……)

戻ったばかりで、ミズトは悪い予感しかしなかったが、それでも話を確認するために冒険者ギルドへ向かうことにした。

冒険者ギルドという組織の一員として、最低限の義務を果たす責任感はギリギリ残っているのだ。

冒険者ギルドの受付に行くと、ミズトは五階の部屋に通された。

部屋には誰もおらず、何の説明もないまま二十分ほど一人で待たされた。

状況が分からずにもう一度受付へ向かおうと立ち上がったところで、勢いよく扉が開いて見覚えのある男が入ってきた。

「ミズト、探したぞ!」

クレア王女の護衛をしていた、王国騎士のエドガーだ。

「エドガーさん? どうも、ご無沙汰しております」

「ミズト殿、お待たせして申し訳ありません。どうぞお座りください」

エドガーの後ろから現われた中年の女性が、立ち上っていたミズトに席をすすめた。ミズトには見覚えのない女性だ。

ミズトは向かいに二人が座るのを確認すると、クロを抱えたまま再びソファ席に腰を下ろした。

するとすぐに、女性の方が今回の指名依頼についての話を始めた。

まず、彼女の名はリンダ。この冒険者ギルドの支部長だ。

そして依頼主は、隣にいる王国騎士エドガー個人ではなく、フェアリプス王家によるものだった。

依頼内容は、レガントリア帝国へ向かったクレア王女の捜索。

彼女はフェアリプス王国の使者として、親善訪問のためにノヴァリス大陸へ渡ったが、そのまま行方不明になってしまったという。

王女の行方不明という一大事に関わる依頼のため、王都滞在中で最も階級の高いミズトに白羽の矢が立ったのだ。

もちろん本来は王国騎士団が動くべき重要事項だが、他国の領土内に派遣するのは難しかった。

レガントリア帝国へ正式に捜索依頼を出すこともできるが、友好国というわけでもないため、借りを作るのは最後の手段にしたいようだ。

「王女のクレアさんが行方不明とは、たしかに一大事ですね。しかし、いくら何でもそれを冒険者に 委(ゆだ) ねていいのでしょうか?」

「逆だぞ、ミズト!」

先ほどから焦りを隠し切れていないエドガーが、早口で話し始めた。

「いいか、王国騎士が身分を隠して潜入なんてしてみろ。後から発覚したら大問題になるぞ! その点、冒険者ならギルドの依頼で入国するなんてよくあることだ!」

「そういえばこの前の討伐では、依頼のためにあちらの大陸から冒険者の方々がいらしてましたね」

「その通りだ! ましてやミズトはクレア様の友人で、王国ただ一人のA級冒険者! これほど適切な人選はないだろう!」

(ん? 情報が錯綜してないか? クレアの友人になった覚えもないし、B級の冒険者なんだが)

「えっと……」

小さいことを否定する空気ではないので、ミズトは言葉に詰まった。

「ミズト殿、本日よりあなたはA級冒険者に昇格されました」

リンダが虹色の冒険者ギルド証をテーブルの上に置いた。

(は? いやいやいや、頼んでないけど)