軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

九十七話

クロードは現在極力中立の立場からみた歴史書の執筆を行っていた。

それぞれの国の立場から見た各種問題の背景も注意書きとして乗せる徹底ぶりである。

今回の本は一巻から始まり続巻を書き終わったら順次出版する予定である。

「改めて見ると今一番警戒するべきはやっぱりミッシア辺境伯家と接するライヒルト公国なんだな。それに鉱物の流れを止めているシルフィード皇国も警戒すべきだな」

成り立ちや背景に今までの関係を考えるとこの二国は要注意なのである。

他にも探せば気をつけなければならない国はあるし国内でも問題のある地域はあるが概ねうまく舵をとってきた王族には頭が下がる思いだ。

先日反乱を起こした貴族の領地は現在天領となっており国王が任命した代官が治めている。

幸いなことに王宮の判断が早くプロミネンス侯爵領は被害を免れたが狙われていたのはプロミネンス侯爵家である。

「領民のことを考えて経営していても他の貴族から恨みを買うか。領地経営って難しいんだなぁ」

クロードは一巻から五巻までを書き終え父様の書斎を訪れた。

「失礼します。父様」

「クロードか。今回はどうした」

「歴史書を書いたのですがこれを出版できないかと思いまして」

「歴史書か。私が目を通して問題ないと思ったらになるが手配しよう」

「ありがとうございます」

「時にクロード。民のことを考えて色々手を打ってきたが他の貴族に敵意を覚えられている現在どうしたらいいと思う」

「そうですね。利益を独占せずうまく分配できればいいのではないでしょうか」

「満点に近いと言いたいがそれでは思いあがる家も出てこよう」

「注意をしてそれでも聞き入れられない場合は付き合いを切ればよいのではないですか」

「なるほどな。参考になった。下がってよいぞ」

「それでは失礼します」

父様の部屋を後にしたクロードは最近体を動かしてないなと思い着替えた後庭にやってきていた。

愛用している父様からプレゼントされた剣を構え基本の動きの確認を行いそれから演武を舞うように滑らかに体を動かしていく。

一通りの動きを終えてから剣を鞘に戻す。

程よくかいた汗に風が吹き抜けるのが気持ちいい。

「クロード。素晴らしい動きだったわ」

「アリシア姉様。ありがとうございます」

「ライヒルト公国に怪しい動きがあるのを知っているかしら」

「いえ。初耳です。ですが関係を考えるとおかしなことでもないですね」

「プロミネンス侯爵家が他の貴族から狙われていてもミッシア辺境伯家は国防のために動けなかったわ」

「役目を考えれば当然です」

「仮にミッシア辺境伯家が攻められてもクロードは動かないで欲しいの」

クロードが人殺しをしたくないと思っているのを知っているアリシアは心の底から願っていた。

弟のクロードが人殺しをしなくてすみますようにと。