作品タイトル不明
六百五十三話
しばらく魔物を狩っていると声がかかる。
『いやぁ。相変わらず化け物だね。魔物の討伐はそれぐらいでいいから中央に来てくれるかな』
森の中央には天を貫く巨大な木がある。
この世界の生命を生み出した神聖な木である世界樹である。
「あんな巨大な木が何で見つかってないんでしょうね」
その疑問はもっともであるが至極単純なことだった。
「精霊王が上手く隠しているからですよ」
異世界でもそうだったが精霊王は隠蔽がうまい。
ここ以外の世界にも世界樹は存在しておりその多くは人の目に見えないように隠蔽されている。
精霊達は回収しようか迷ったが久々に解放感を味わっているのを感じ取ってそのままにすることにした。
世界樹に向かってしばらく歩くと柵のようなものがある。
どうやらエルフ達の住まう領域に入り込んだようだ。
今もあちらこちらにこちらを警戒するエルフの視線を感じる。
彼等としては自分達の領域に人を入れたくないと考える者もいるのだろう。
「やぁやぁ。よく来たね」
そう言って実体化したのはシルフだ。
どこか悪戯好きのするような笑みを浮かべている。
「ご無沙汰しております」
「ほんとはね。もっと早く接触したかったんだけど馬鹿に気取られたくなくてね」
「何かあったんですか」
「君がいなくなってから色々ね。詳しい話をする為にも移動しようか」
そう言ってシルフはふわふわと奥へと飛んで行く。
クロードとフランソワもその後を追った。
今、クロードとフランソワの目の前には世界樹がある。
「こっちだよ」
慣れた飛びぶりでシルフは世界樹の中に入っていく。
地球の世界樹もどうやらダンジョンになっているようだ。
まさか、登れとか言わないよなとか内心思っていると狭い部屋に案内される。
そこには転移用の魔法陣が描かれていた。
「よかった。登れって言われたらどうしようかと」
「呼びつけておいてそれはしないよ」
魔法陣の中に足を踏み入れるとふわりとした浮遊感がある。
「うわわっ」
はじめての転移で驚いたのかフランソワが転んでいた。
「大丈夫ですか」
「ちょっとびっくりしただけですから」
顔をが少し赤い。
クロードはそれを見なかったことにした。
転移先はどうやら世界樹の頂上である玉座の間だったようだ。
他の4大精霊も揃っている。
神は遍在する。
それは4大精霊にもいえることのようだ。
というより、本来の彼等は並の神よりも強大な力を秘めている。
リソースの多くを世界の為に使っているだけなのだ。