作品タイトル不明
六十三話
「父様。ありがたく使わせてもらいましょう。これだけの資金があれば街が軌道に乗るのもすぐのはずです」
「うむ。そうだな。クロード必ず返すからありがたく借りさせてもらうよ」
「街ですか。今の状態で問題があるようには見えませんが」
「今の街の状態は問題ないよ。ただ、移民してくる住民に十分な環境を与えてあげられない状態でね。新しく街を作ることにしたんだ」
「そういうことなら上下水道の完備にこういった物があればいいのではないでしょうか」
前世の記憶を頼りにあったらいいなと思うものを次々にあげていくクロードにファイネルとファールハイトは感心しきりだった。
曖昧な部分をファールハイトが補完して実現可能な状態に持っていく。
「ふむ。なるほどな。資金はそれなりにかかるが実験的に導入してみてうまくいくようなら他の都市にも導入しよう」
その後もどうしたらよりよい街づくりができるのか白熱した議論を繰り広げる。
構想が完成したころ書斎の扉がノックされ使用人が入ってくる。
「旦那様。お食事の準備ができております」
「もうそんな時間か。今日の所はこれぐらいにして食事にしよう」
三人仲良く食堂まで向かい席につく。
そんな様子を見ていた母様がからかってくる。
「三人一緒なんて仲がよいのね」
「ふふ。妬いておるのか」
「最近みんな忙しくしていて寂しいのですよ」
「確かに家族で過ごす時間が減ってきていたかもしれんな。善処しよう」
食事は和やかな雰囲気の中進んでいく。
「クロードは最近長期で出かけることが多いけど何をしているのかしら」
「はい。陛下から任された軍需品に必要な素材集めにいってました」
「そう。無理はしてないかしら」
「無理なんてしてませんよ。一人で無理ならネツァルさんに付き合ってもらいますし」
クロードは母様に面白おかしく素材集め中の話をしていく。
その話を聞いたファイネルは小声でファールハイトに話しかけていた。
「クロードが鍛冶屋に何か頼んでいるのは知っていたが詳しく知っているか」
「いえ。後で確認しておきます」
「任せたぞ」
食事を終えたファールハイトはクロードが何をしているのか確認するため直接贔屓にしている鍛冶屋を訪れていた。
鍛冶屋は騒音を出すため作業時間が細かく決められているため今は静かな空間となっていた。
「こんな時間にすまないな」
鍛冶仕事を終えた親方が出迎える。
「ファールハイト様。こんなお時間に何かありましたか」
「クロードが何か仕事を頼んでいるはずだが詳細が知りたい」
親方は疑問を覚えつつ詳細を話しはじめた。