軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第20話

昼食を終えた俺は、午後鍛冶を行いながら息抜きがてらに店へと来ていた。

そこでは、兵士たちが品出しがてらに剣を眺めていた。

「……この店の剣、どれもでき良すぎだよな」

「こんだけいい剣おいてると、盗難の危険もあるよな」

……そこまでか?

最高の素材はシーレア魔石の剣だ。

その数は十本程度。そこから下は、多少ランクを落とした剣たちばかりだ。

カプリたちは俺に気づいたようで、すっと頭を下げてきた。

「フェイク様、どうしたんですか?」

「いや、ちょっと休憩に来たんだ。……お店のほうは大丈夫そうか?」

「ええ、任せてください。今、どの辺で警備をしようか考えていたところですね」

「そっか。……悪いな。余計な仕事増やさせてしまって」

「いえいえ。気にしないでください。ちょっと、相談なんですけど……当日は、オレたち私服でもいいですか?」

「どういうことだ?」

今の彼らは、騎士たちのような鎧に身を包んでいた。

防衛面を考えれば、私服よりも鎧のほうがいいと思うんだよな。

彼らにも何かあっては困る。

「お客さんのふりをしていたほうが店の中でも威圧感がなくなると思ったんですよね」

「……ああ、なるほど」

確かにカプリのいうことも一理あった。

カプリたちがいることで、犯罪などの防止面では活躍してくれるかもしれないが、威圧的に感じてしまうお客様もいるかもしれない。

カプリたちが私服であれば、その心配は減るだろう。

ただ、決して威圧感が悪いというわけでもない。

犯罪が起きる可能性は極端に減るだろう。

……俺が一番心配しているのはアリシアだ。冒険者の中にはアリシアを知らない人だって多いはずだ。この街で暮らして育った人ならともかく、外から入ってきた冒険者の中には、アリシアにセクハラまがいのことをしてくる可能性がある。

万が一にも触れられては困る。そういうのを考えれば、威圧的な方が良い可能性もある。

「とりあえずは、奥で一人が兵士の格好で待機とかではどうだ?」

「なるほど……っ。オレたちは客のふりをして見張りをして、何かあれば奥から兵士が駆けつけてくるってことですね。それはいいかもしれませんね!」

カプリだけではなく、他の兵士たちも頷いてくれた。

どうやらこの折衷案とも呼べるべき作戦は、皆には良い考えだと思ってもらえたようだ。

ひとまずは、そのように運用して、何か問題があればそれからまた考えればいいだろう。

まだまだ分からないこともたくさんあるので、手さぐりになってしまうが仕方ない。

俺はちらと棚の一画へと視線を向ける。

そこには、包丁やフライパンといった料理で使うような道具が並んでいる。

俺も宮廷に行く前はこういった小道具を良く造っていた。これも鍛冶師の仕事の一つだ。

もしかしたら主婦とかが買いに来るかも……という可能性もあるので、一応置いている。

スペース的には少ないけど。

「アリシア、休憩はとってるか?」

「うん、大丈夫。フェイクも鍛冶ばっかりしないでね」

「分かってるって。今だって休憩中なんだからな」

俺だってきちんと休んでいる。そう自慢するように胸を張ると、アリシアはじとっとこちらに顔を寄せてくる。

「休憩なのに、色々お店のこと考えてるの?」

「……い、いやぁそれは」

「ふふ、そんな困ったような顔しないで。大丈夫、分かってるから」

アリシアが冗談めかしく笑って見せ、俺はほっとする。

……た、確かに休憩とかいって店の方に顔を出していたらあまり休憩を取っているとは思われないかもしれない。

でもなぁ、アリシアの顔も見たかった。彼女の顔を見ているのが一番元気が出るし、休んでいる気がするのだ。

アリシアはそんなこと気づいていないようで、首をこてんと傾けている。

「どうしたの?」

こちらをじっと見てくるアリシア。

彼女の優しい言葉を思い出し、俺は笑みを返した。

「いや、アリシアの顔見ているのがやっぱり一番癒されるなって思って」

「……い、いきなり何言ってるの……っ。み、みんなに聞かれる!」

……あっ、そうだった。

いつものアリシアをからかうようなつもりで言ってしまった。

もちろん、先程の発言はすべて本気ではあるが、わざわざ口に出したのはからかうためである。

耳を赤くして、アリシアが声を上げる。近くではカプリたちや、レフィもいる。

俺も少し照れ臭くなってしまった。

「あっ、オレたち大丈夫っす! 家の柱だと思ってください!」

「ええ、私もです。どうぞ気にせずイチャイチャしていてください。勝手に楽しんでおきますから」

「オレたちもレフィさんに同意です」

思えるか馬鹿……。

「そ、それじゃあアリシア……またあとで」

「……えっ。こ、このまま置いていくの……? ちょっと、フェイク……っ」

顔を赤くしているアリシアが手を伸ばしてきたが、俺は逃げだした。

「それじゃあ、そろそろこれで作業は終わりにしよっか」

「分かった。屋敷に帰る?」

「……きょうはちょっと泊まっていこうかな。事前に、開店してからの流れも確かめてみたいし」

もうすぐ店も開く予定だ。

事前にシミュレーションしておいた方がいいだろう。