作品タイトル不明
第46話
「それにしても、弟子、か」
「リグの話?」
リグが去った後、俺はぽつりとそんな声を漏らした。
食いついてきたアリシアに、こくりと頷いた。
「そうそう。アルメって子だな。……鍛冶師も弟子の育成とかを行うし、共同で作業を行う場合もあるな、と思ってな」
俺は全属性の魔法の才能があったからすべての作業を一人で行えるが、場合によってはそれらの作業を分担して行うのだ。
一人から四人程度で作業を分担することで、作業時間の短縮にもつながる。
より多くの武器の作製を行う場合、人数を増やすのは必要不可欠なことだ。
「……女の子の、弟子、欲しいの?」
じろーっとアリシアがこちらを見てくる。ち、違うからな? 浮気とかそうじゃなくてな?
「別に女の子ってわけじゃなくてな。弟子がいたほうが今後のことを考えると良いのかとも思ったんだよ」
とはいえ、簡単に見つかるものでもないだろう。
「アリシア、やってみるか?」
「……とても、申し上げにくいことがある」
「なんだ?」
「私、魔法の才能あんまりない……」
……なるほど。
魔力情報を見る才能があったため、それなりに出来るのではないかと思っていたがそうか、難しいか。
鍛冶師になるのなら、やはりいくつかの属性魔法を十分に使えたほうがいいからな。
「でも、弟子をとるというのは悪いことではない、よね。負担も減るし」
「……そうだな」
すぐに負担が減るということはないだろうが。
弟子が一人立ち出来るまでは、師匠がしっかりと見てやる必要がある。
「そういえば、フェイクはどこで鍛冶を学んだの?」
「俺は田舎の村で育ったんだが、拾ってくれた親が鍛冶師でな。そのまま教えてもらったんだ」
「拾ってくれた?」
「ああ。小さい頃に親に捨てられたらしくてな。それで、拾ってくれたんだそうだ」
「……そう、なんだ」
俺がそういうと、アリシアは申し訳なさそうに目を伏せた。
「気にするな。俺が捨てられたのは赤ん坊の時みたいで、親の顔さえも覚えていないんだからな」
「そう、なんだ」
しばらく話していると、残っていた武器も売れていった。
最終的な稼ぎは102万ゴールドとなった。
来週はどうしようかな? 再来週は確定で145万ゴールド分の売り上げがあるのだが、来週は現状何もないからな。
そんなことを考えながら、店の片づけを始める。
夕陽も傾き始めたこともあり、周りの店も片づけを始めている。盛り上がっていた市はこれにて終了というわけだ。
店を片付け終えたところで、こちらにイヴァスたちが駆けこんできた。
「フェイクさーん!」
嬉しそうに手を振るイヴァス。その後ろから、ちょっとばかり興奮した様子の表情のウェザーがついてきた。
「どうした、二人とも」
「やりました! Dランクに昇格したんです!」
「この剣のおかげだ」
二人がそういって来て、俺はアリシアと顔を見合わせる。
「良かった! それにしても、一気に上がったな……おめでとう」
「これもすべてフェイクさんの武器のおかげですよ! もう滅茶苦茶使いやすかったです! このままCランクまで駆け上がれそうです!」
ウェザーもこくこくと頷いている。
二人の羨望のまなざしに、俺は苦笑を返した。
「俺は武器を作っただけだ。それを使いこなし、Dランクに上がったのは他でもない二人なんだからな」
「……あ、ありがとうございます! また、武器が欲しくなったら寄りますね!」
「分かった。その時までに、もっと良い魔鉱石も仕入れておくな」
「あと、今度仲間が出来たらまた連れてきますね!」
「ああ、頼むぞ。それと、無茶をしないようにな? まだまだ若いんだから確実に冒険者ランクを上げていくように頑張るんだぞ」
「はい!」
二人はその報告をするためだけに急いでここに来てくれたようだ。二人はその報告だけをして、去っていった。後ろ姿だけでも二人が上機嫌なのは見て分かった。
「良かったね」
「……ああ、そうだな」
俺が作った武器を気に入ってくれた二人が順調に成長しているのは見ていて嬉しかった。