軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第42話

次の日。

昨日はイヴァスの剣を作ったので、今日はウェザーの剣だ。

イヴァスのときと違う、ウェザーの剣はさらに多く魔鉱石を溶かす必要がある。ウェザーの剣の方が値段が高くなるのも、これが理由だ。

まずは大きな板金を作るため、溶かしながら細長く固めていく。

その作業を終え、板金が出来上がったところで、再び熱を与えていく。

ウェザーの剣は事前に聞いていた長さを意識しながら作製していく。

イヴァスの時と同じでとにかく鍛錬を丁寧に行っていく必要がある。

イーレア魔鉱石を取り出し、溶かして小槌を叩きつけ、板金を作り上げていく。

一度出来上がったところでもう一度魔鉱石を溶かし、叩いてを繰り返す。

板金が出来上がったところで俺はエンチャントを施す。

魔力情報を一度整えたあと、出来上がった板金を金床において俺は一度深呼吸をする。

あとはここから形を整えていく。剣をどのような形にするかはおおよそ決まっていた。

ウェザーはイヴァスと違い、両刃を使いこなしていた。そのため、剣は両刃の剣とするつもりだ。

ウェザーの剣に必要なのは確実な必殺性だ。イヴァスが敵を引きつけ、ウェザーが刈り取る。彼らの戦いの基本はそれだからだ。

だから、ウェザーが一撃で敵を倒せるだけの重量、そして鋭さをこの剣に込める必要がある。

板金へと熱を与える。その表面が赤く光ったところで、小槌を叩きつけていく。

魔力情報が破損したところで、もう一度整える。人間の筋肉が傷つけられ、再生するとより強化されるのと同じだ。

魔力情報も整え、傷を与え、整え……という過程を繰り返していくことで強化されていく。

イーレア魔鉱石とはいえ、それ以上の性能になることだって可能だ。

何度も叩いていくと、板金は段々と剣の形へと変化していく。……さすがにサイズが大きい。俺も、肉体にエンチャントを施していかなければとてもじゃないが扱えないような代物だ。

しかしだ。

ウェザーに確認してもらった剣の重さとほぼ同じ。

彼が求める剣の水準に到達したところで、形を整えていく。

……さすがに、サイズがサイズだ。イヴァスの時よりも時間がかかってしまう。

昼休憩を挟み、それから午後にもう一度長剣の作製に取り掛かっていく。

そうして、夕方になったところでようやく長剣が出来上がった。

俺は赤く熱を持ったままの長剣を持ち上げる。……凄まじい重みだ。自分の肉体を一度強化してから、両手でしっかりと持った。

水魔法を用意し、剣をそこへと突っ込んだ。

じゅわっと水が悲鳴を上げるように音をあげ、剣が急速に冷やされていく。

……出来上がったな。

俺は水魔法から長剣を抜き、確認する。

何度か両手で振りぬいてみた。しっかりと体全身に力を籠めないと長剣に振られてしまいそうになる。

……よし、これで問題なさそうだな。

あとはウェザーの反応次第だな。俺がいくら問題ないと言っても、ウェザーは違和感を覚える可能性だってあるからな。

俺は風魔法の準備を行う。これだけの長剣を研ぐための、鋭い風魔法だ。

ウェザーの剣は両刃だ。俺はすぐに風魔法を生み出し、剣の刃を研いでいく。

あとは、本人に実際に使ってみてもらう必要があるが。

俺は風魔法を準備し、その剣の刃を研いでいく。

いつも以上に気を張り巡らせ、刃を研ぐ。

……長剣というのもあって、いつも以上にすべての作業が大変になる。構想の段階では、作業量を想定していなかったがイヴァスの剣よりも圧倒的に時間がかかる。

これならば、もうちょっと価格をあげておいても良かったかもしれない。

そんないやらしい思考をちらと浮かべながら、研ぎを終えた長剣を構える。

とりあえず、試し切りだな。俺は土人形を作り出し、それに長剣を振り下ろした。

……すっと切れたのは当然ながら、その重量に任せただけでも斬ることが出来た。

これならば、どんな魔物だろうと一撃で仕留めることが出来るのではないだろうか?

さて、仕上げだな。再度金床に長剣を置いてから、エンチャントの作業へと移っていく。

ウェザーの能力を引き出せるよう、長剣を強化していく。身体能力を補助出来るよう、エンチャントを行っていく。

ちらと外を見ると、陽が落ちていた。

一日がかりの作業だったが……長剣は出来上がった。

俺は改めて両手で持ち上げる。しっかりとした重量、そしてその重量がただの飾りではないというのが分かる。

出来上がった長剣の鞘を作ったところで、それで本当に完成だ。

俺は鞘の職人ではないため、鞘に関してはそこまで飾り気のあるものではないがウェザーの無骨な感じにはこの方が合っているのではないだろうか?

俺は一度息を吐き、額の汗をぬぐった。

すっかり暗くなってしまい、俺は部屋にあった魔石灯に魔力を籠め、部屋に明かりをともす。

出来上がった長剣を壁に立てかけたあと、俺は大きく背筋を伸ばした。

これで、武器が二つ出来上がったな。

俺がしばらく鍛冶工房で休憩をとっていると、扉がノックされた。

……恐らく、夕食の時間になっても来なかった俺を心配してアリシアが来たのだろう。彼女にはいつも苦労をかけてしまっているな。

「アリシアか?」

「うん、夕食の時間だけど……どうする?」

「作業も終わったし食べに行くよ」

「分かった……それが、ウェザーのために作った剣?」

「ああ」

アリシアが気になっていたようで、彼女の方に長剣を向ける。

受け取ったアリシアは、両腕と全身で受け止める。まるで、壁に手でも押し付けるような姿勢だ。

「……お、重い」

「ウェザーはこのくらいの重量がいいって言っていたからな」

アリシアは一度深呼吸をしてから、長剣の柄へと手を伸ばした。彼女は魔力で肉体を一時的に強化したのだろう。

アリシアはしっかりと両手で長剣を持っていた。しかし、腕はぷるぷると震えていた。

「……凄い長剣。イーレア魔鉱石でここまでのものを作れる人はたぶん世界に二人といない……」

「それほどか? 案外いるもんじゃないのか?」

「ううん。私は見たことない。やっぱり、フェイクは凄いよ」

アリシアはやっとの思いで長剣を鞘へと戻して、口元を緩めた。

「それじゃあ、夕食でも食べに行こうか」

「うん。行こう」

これで次の市に向けての作業は終わりだ。

あとは一般の客用の武器作製くらいだろうか。

イヴァスとウェザーの二人に合うかどうか。不安だが、楽しみでもあった。