軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第18話

「久しぶり、お父さん。最近の領内は大丈夫?」

ここに来るまで、特に問題は起きていないように見えた。俺の予想は正しかったようで、ゴーラル様がこくりと頷いた。

「ああ。フェイクの作ってくれた武器のおかげもあるのか、領内で魔物による被害などは聞かないな。兵士たちからの評価もかなり良いものだ」

屋敷では鍛冶の練習用に剣を打っていたこともあったが、それを活用しているようだ。

ほっと安堵していると、アリシアの視線もこちらを向く。

「そうなんだ。フェイク、良かったね」

「そう、だな」

果たして俺の武器が領内の平和にどこまで力添えできているかはわからないが、もしも少しでも力になれているというのなら嬉しい限りだ。

そんな話をした後、ゴーラル様の視線がこちらを向いた。

「まずは、リガードの問題を解決してくれてありがとう。迷宮の件だけでなく、オストルア家の問題まで片付けてくれたらしいな」

シーフィさんの件だ。

しかし、俺は別にこれといって何かしたというわけではないんだよな。

「その件は俺というよりもリガードさんの活躍のほうが大きいと思いますが」

「報告を受けたが、魔剣の破壊のためにフェイクもかなり尽力してくれたそうじゃないか。ありがとう」

ゴーラル様が頭を下げてくる。

そんな頭を下げられるようなことをしたつもりではなかったので、うろたえてしまう。

俺がやったことはあくまで剣を打ったことだけだ。

最後の部分で活躍したのはリガードさんだしな……。

「いえ……俺は別にそこまではしていません。リガードさんがシーフィさんを助けたいと自分から行動したんです」

俺の言葉に、ゴーラル様がゆっくりとうなずいた。

「リガードはもちろんそうだろう。ただ、リガードが困ったときにフェイクが力を貸したからこその解決だとも聞いている。実際、リガードからは『フェイクがいなければどうしようもなかった』と話は聞いている」

その言葉に、頬が緩む部分はある。

やはり褒められて悪い気はしなかった。

過剰に謙遜していても、話も進まないだろう。

剣を打ち、それが魔剣に打ち勝ったという部分は、自分を認めないと。

自分に自信を持つというのは、そういうことだろう。

「そうですね。その部分では、鍛冶師としての力を振るえたとは思います」

「それなら、やはり感謝する部分はあるな。ありがとう、フェイク」

改めてそう言ったゴーラル様に、俺はまだ迷う部分はあったが受け入れた。

それから、頭を上げたゴーラル様は、こちらをじっと見てくる。

「それで、少し質問したいのだが……リガードにどんな印象を抱いた?」

「……え、えーとそれは――」

「正直に答えてみてくれ」

「……」

ゴーラル様、それは中々酷な質問です。

俺の立場からなら、普通はリガードさんを悪く言うようなことはしないほうがいいだろう。

ただ、恐らくゴーラル様が聞きたいのはそういうリガードさんを立てるような言葉ではないはずだ。

では、俺がどのようにゴーラル様に伝えればいいのかというと、これには非常に頭を悩まされる部分はあるのだが……考える。

少し考えてみたが、リガードさんは……とにかく記憶に残る人だった、というほかない。

上手い表現が見つからない。

仕方ない。ゴーラル様にどのように思われるかはわからないが、もう正直に今の考えを伝えてしまおう。

「……ちょっと情けない部分もある人です」

「ああ、そうだな」

ゴーラル様がこくりと頷き、アリシアもうんうんと頷いている。

二人の考えは一致しているようだ。

そして、俺の発言にゴーラル様が怒っていない様子から、この発言が間違いではないのだと分かる。

分かるが……リガードさんも悪いところばかりではないので、きちんと説明しないと!

「でも、力も才能もある人だとも思います」

「リガードが、か?」

俺の言葉に、ゴーラル様が探るようにこちらを見てくる。

「はい。口からは色々な言葉が出てきますが、本当に大切な何かのためには本気で何とかしようとしていました。そういった誰かの力を借りられ、そして貸せる人だと思います」

それが、俺がリガードさんとともに過ごして思ったことだった。

リガードさんは、良い意味で周りに力を請える人だ。

俺は昔、宮廷鍛冶師だったときに周りに助けを求めることができなかった。自分が頑張れば、自分がなんとかすれば……そう考えてしまっていた。もちろん、環境的な問題がまったくなかったというわけではないと思う。

でも、リガードさんは人の上に立つ身でありながら、周りにすぐに助けを求められる。

その部分を好意的に受け止めるなら、部下に仕事を割り振れる人間といっても間違いではないはずだ。

俺の言葉に、ゴーラル様は少し考えた後首を縦に振る。

「そうか。フェイクはリガードをそう評価するのだな」

「は、はい」

ゴーラル様の表情はしばらく険しかった。だが、それから彼は口を開いた。

「オレからすればリガードは、情けない奴だとは思っている」

「……そ、そうですか」

ゴーラル様は不機嫌そうな様子で腕を組む。

これからバーナスト領を引っ張って立たなければならない以上、やはりゴーラル様からすれば思うところはあるのだろう。

今のゴーラル様を見ていれば、確かにリガードさんはまだ力不足の部分が見られる。

ゴーラル様はしかし、しばらくして表情を少しだけ和らげた。

「……だが、人の上に立つものとして、決して劣っているわけではない。フェイクがいうように、リガードは周りに頼れる力を持っている。まあ、情けない姿を見せることもあるとは思うが、フェイクも支えてやってほしい」

……俺にこの話を振ったのは、俺にもリガードさんを支えてほしいという意味があったのだろうか?

今回のリームナルへの移動も、もしかしたら、俺とリガードさんを一度合わせるというのが目的の一つにあったのかもしれない。

ゴーラル様から頼まれなくとも、俺はリガードさんに頼まれれば助けたいという気持ちはある。

……もちろん、すべてに手助けするようなことはしないが。

今のアリシアくらいの立ち位置で接するつもりはあった。