軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第8話

案の定、シーフィさんが顔を真っ赤にしてぷるぷると震えていた。

恥ずかしそうにしていたが……怒り、というよりは少し違うようだ。

ただ、彼女の反応だけでその下着が誰の物なのかわかってしまう。

ついつい、と俺の服の裾が誰かに引っ張られる。

見てみれば、そちらにはアリシアがいて、彼女は苦笑とともに俺の手を引いてきた。

「……ちょっと離れて見守ろう」

確かに、巻き込まれたら大変だろうしな。

「……そ、そうだな」

俺はアリシアに言われるままに距離を取る。

そんな俺たちから離れたところで、リガードさんが慌てた様子で手を横に振る。

「あ、あんたその下着……あたしのなんだけど。……なんで持ってるのよ?」

腕を組み、問いかけるシーフィさん。

リガードさんは何とかといった様子で声を絞り出した。

「そ、その……廊下に落ちていてな。たまたま拾ったんだ」

なんでそんな不安そうに言うんですか。

まるで嘘をついたのではないかという声の調子に、シーフィさんは少しばかり複雑そうに眉を寄せた後、

「あっそ! だったらさっさと返しなさいよバカ!」

シーフィさんは怒鳴りつけるような声とともにリガードさんの手から奪い取った。

下着をポケットにねじ込むようにしまった後、シーフィさんは腕を組んでそっぽを向く。

「……もう、あたしに興味があって盗んだのかと思ったのに」

ぼそりと小さく呟くような声で言ったシーフィさんに、リガードさんが首を傾げた。

「何か言ったか? よく聞こえなかったんだが」

俺の位置からだと聞き取れたのだが、リガードさんは聞こえていなかったようだ。

……そもそも、攻撃が来るかもしれないと顔を防御していたせいで、音が拾いにくかったのかもしれない。

シーフィさんはため息とともにひらひらと手を振る。

「なんでもないから。ああ、もう。拾ってくれてありがとね」

「あ、ああ。……ただな、熊の刺繍はさすがにないぞ? 子どもすぎないか?」

「う、うるさいわよ! 余計なこと言うな!」

シーフィさんが声を荒らげ、リガードさんの余計な一言を退ける。

再びリガードさんが怯えたように体を震わせる。

最後の一言は、絶対に必要ないよな……。

そう思いながら二人を眺めていると、アリシアが問いかけてきた。

「……ねぇフェイク」

「なんだ?」

「……あんな感じの下着って、どう?」

「ど、どうって……?」

「いや、その……デザイン的にいいと思う?」

「……まあ、その……ちょっと子どもっぽいというか」

俺がそういうと、アリシアの頬がぴきっという音を上げたように聞こえた。

それから沈黙してしまったアリシアに俺が首をかしげる。

「あ、アリシア……大丈夫か?」

「う、うん……な、なんでもない……あとで……新しいの……」

ぶつぶつとアリシアは何かを考えるように呟いていたが、その詳細までは聞き取れない。

改めてリガードさんとシーフィさんを見る。

とりあえず、問題は解決してよかった。

シーフィさんが詰め寄っている現状から目を背け、俺はそんなことを考えていた。

「第二話 告白」

次の日。

俺が廊下を歩いていると、向かいからシーフィさんがやってきた。

「あっ、おはようございますシーフィさん」

「おはよう、フェイク。……ってあっ」

挨拶をしてからその横を過ぎようとしたとき、シーフィさんが思い出したような声を上げた後、手招きしてきた。

「どうしたんですか?」

シーフィさんの前に行くと、彼女は首をかしげてきた。

「フェイク、今大丈夫?」

「大丈夫ですよ?」

「まだ直接フェイクには言ってなかったから、改めて伝えようと思ってね」

な、なんだろうか。

昨日の今日なので、警戒していると、

「アリシアとの結婚式、楽しみにしているわよ」

ウインクとともにそう言ってきたシーフィさん。

……昨日のリガードさんへの態度とは大きく違う。

やはり、シーフィさんは優しい人だと思う。

笑顔とともに頷いて返す。

「ありがとうございます。……そういえば、貴族の方の結婚式とかってあまり詳しくないのですが……やっぱり結構な人が出席するんですかね?」

シーフィさんはわりと俺と似たような考え方や視点を持っているため、参考程度に聞いておきたかった。

「まあ、多いとは思うわ。たぶん、緊張するんじゃない?」

「……緊張、すると思いますね」

「でも跡継ぎの子、リガードみたいな長男とかよりは少ないと思うわよ。バーナスト家にとって親しい家の人を呼んで、貴族的に言えば控えめな結婚式をして終わりって感じよ」

さすがに跡継ぎじゃないからな。

引っかかる言い方をしたシーフィさんに問いかける。